宝石眼でオークションに出されて絶望しましたが、買ってくれたのが美しい人なので、死ぬまで離れません
オークション会場の目玉商品であるビアンカは絶望していた。何故オークションにかけられているのは、それは宝石眼だったからだ。
森で木の実を採っていたところ、人攫いに遭ってしまった。
金になることから酷い待遇はなかったが、これから買った主人によっては最悪目玉をくり抜かれてしまうかもしれない。
姉がもうすぐ結婚式を挙げるはずだった。
姉に会いたい。
会場が熱狂している中でビアンカはオークションにかけられた。
掛け声とともに数字の札が上がっていく中で、静かな声が響いた。
「一億サイ払おう」
ビアンカは見惚れる。
美しい男性を。
あれほど姉に会いたがった気持ちがどうでもよくなった。
それほどまでに美しいかった。
美しい男性はリアム・オコナー。
美しい顔をしているが、瞳はくすんでいた。
「私から逃げようとするなら今すぐでも目玉をくり抜きますからね」
「はい!」
ビアンカはリアムの腕に抱きつく。リアムは引き離すがそれでも抱きつくので好きにさせた。
「何だか調子が狂いますね」
「ビアンカと呼んで下さい。それと料理と掃除ができます。やらせて下さい」
「別に構いませんよ」
「得意料理はビーフストロガノフです! それからデザートはエンガディナーです!」
「思ったより作れるんですね。エンガディナーは知らないんですけど、どんなデザートですか?」
「サクサクのクッキー生地の中に、蜂蜜と生クリームを煮詰めて、香ばしい胡桃がぎっしり詰まってます」
「ビーフストロガノフは確か煮込み料理でしたよね?」
「細切り肉とマッシュルームなどを酸っぱいクリームベースで煮込んだ料理です」
「なら任せましょう」
「任せて下さい!」
絶対にリアムの部屋に入るなと言われていたビアンカだが、気になってそっと部屋を覗いた。
部屋には沢山の瓶に入った目玉があった。
「見ましたね」
いつの間にか背後にいたリアムに、ビアンカは悲鳴を上げそうになった。
「どうしてあんなに目玉があるんですか!?」
「それは私が目玉愛好家だからですよ」
「目玉愛好家……」
「逃げたくなりましたか? いいですよ逃げても。追いかけて目玉をくり抜きますので」
ビアンカは首を振った。
「逃げませんよ」
「何故逃げないんですか? 他の人は私から逃げ出したのに」
「他の人なんて知りません! 私は死ぬまであなたと一緒にいます!」
リアムは目を見開き、泣きそうな顔になった。
「そこまで私のことを好きなんてわすね……」
(顔が美しいからって、言っちゃ駄目だよね)
リアムはビアンカの頬に触れる。
「最初は早くあなたの目玉をくり抜きたくてしょうがありませんでしたが、くり抜かない状態で側にいてほしいなんて、思ったのは初めてですよ」
(この人目玉愛好家だなんて頭おかしいけど、顔が美しいからどうでもよくなるなぁ)
ビアンカはにっこりと笑った。
「死ぬまで離れませんから」




