第6話 モザイクの正体を探る旅
グロック先生執筆
第6話 モザイクの正体を探る旅
魔王軍幹部との一件から一週間後。
ギルドの俺の評価は微妙に上がっていた。
「不健全だけど、魔族を混乱させて撃退した」という実績が認められたらしい。
ただ、依頼主からは「女性スタッフは対応不可」とか「モザイクを見る自信のある方のみ」とか、相変わらずの条件がつく始末だった。
そんなある日、リリアが真剣な顔で俺に言ってきた。
「太郎さん……このままではいけません。
あなたのモザイクの正体を、ちゃんと知るべきだと思います。
私、一緒に王都の大きな神殿へ行きましょう」
「神殿……? ああ、神様に直接文句を言うチャンスか!」
俺は即決で了承した。
村の小さな教会じゃなく、王都の大神殿なら何か手がかりがあるかもしれない。
こうして俺とリリアは馬車に揺られ、王都へと向かった。
道中、リリアは時々俺のモザイクをチラチラ見ながら、
「太郎さん……最近、不健全オーラがLv.11のまま止まってるみたいで、少し安心しました」
と言っていたが、俺は「止まってるんじゃなくて、上がるのが怖くてステータス見ないようにしてるだけだ」と心の中でツッコミを入れた。
王都の大神殿は荘厳な建物だった。
白い大理石の柱が立ち並び、神官たちが忙しそうに行き交っている。
受付の神官に「転生のミスで正体不明になった者です。正体を調べてほしい」と伝えると、
上級神官がすぐに奥の間へ案内してくれた。
そこにいたのは——美しい銀髪の少女神官……ではなく、本物の神様だった。
ふわふわした白いドレスを着た、見た目18歳くらいの可愛らしい女神。
名前は「エリシア」と名乗った。
エリシアは俺のモザイク姿を見た瞬間、目をパチクリさせてから、
「あー……! これこれ、これね! 私のミスだわ!」
と、いきなり認めた。
俺は思わず声を荒げた。
「認めたな! お前が神様か! ちゃんと説明しろよ!!」
エリシアは困ったように頰を掻きながら、説明を始めた。
「うん、転生の時にね、『正体をわかりやすくする』ってオプションをクリックするはずが、
うっかり『正体不明オプション』をONにしちゃって……しかも『不健全フィルター』と重なっちゃったの。
ごめんね~」
「ごめんねじゃねえよ!! 一生モノのモザイクじゃねえか!」
リリアが隣で丁寧にお辞儀しながら、
「女神様……太郎さんのモザイク、解除できますか?」
エリシアは首を横に振った。
「残念だけど、一度かかったモザイクは基本的に一生取れないわ。
システム上、元に戻せないの。転生のルールだから」
俺「一生!? 俺、これからずっとこの姿で生きなきゃなんねえのかよ!?」
エリシアは少し申し訳なさそうにしながらも、明るく続けた。
「でも、いいニュースもあるわよ!
このモザイクボディ、実は超便利なの。
物理攻撃ほぼ無効、魔法も一部無効、魔族の邪悪な心を乱す効果まで付いてるでしょ?
見た目が不健全に見えるだけで、中身はかなりチート級よ!」
「チートでも見た目が台無しだろ! 不健全オーラLv.11ってなんだよ!」
エリシアは指を一本立てて、
「それについては……不健全に見えるのは『フィルター』のせいね。
実際の太郎さんは普通の人間よ。ただ、周囲が勝手に『なんかヤバそう』って脳が補完しちゃうの。
特に異性に強い影響が出やすいわ」
リリアが頰を赤らめながら、
「そ、それで私……いつもドキドキしてしまっていたんですか……?」
エリシア「うん。リリアちゃんも影響受けてるね~。可愛い反応」
「可愛い反応じゃねえ! リリアを巻き込むなよ!!」
俺は頭を抱えて神殿の床に額を擦りつけた。
「神様……頼むから、何か対策をくれ。
不健全オーラを下げるとか、せめて見た目だけでも普通に戻せるとか……」
エリシアは少し考えてから、ニコッと笑った。
「じゃあ、特別に一つだけサービスしてあげる。
『モザイクコントロール』スキルを与えるわ。
少しだけモザイクの濃さを自分で調整できるようになるけど……
完全にオフにはできないし、調整しすぎると不健全度が跳ね上がるから注意してね♪」
【新スキル取得:モザイクコントロール(Lv.1)】
【説明:モザイクの濃淡を微調整可能。ただし調整すると不健全オーラが変動します。】
俺は早速試してみた。
集中して「薄く!」と思ったら、モザイクが少し薄くなった……気がした。
リリア「わっ……太郎さん、少し見やすくな……きゃっ!?
薄くなった分、逆にシルエットが強調されて……ますます不健全に……!」
「薄くしたらダメだった!?」
エリシアは手を叩いて笑った。
「ほらね~。調整はほどほどにね。
がんばってね、モザイク勇者くん!
私はたまに様子を見に来るから、困ったらまた呼んで!」
「勇者じゃねえ! 被害者だよ!! そして様子見に来るな! 来たらまたミスしそうで怖い!」
エリシアはふわっと光に包まれながら消えていった。
最後に残した言葉は、
「モザイクは一生ものだけど、受け入れれば意外と幸せになれるかもよ?
リリアちゃんも応援してるみたいだし♪」
神殿から出た後、俺とリリアは王都の通りを歩いていた。
リリアが少し照れながら言った。
「太郎さん……女神様の言葉、ちょっと嬉しかったです。
私、太郎さんのモザイク……もう、嫌じゃありません。
むしろ……一緒に冒険するのが、楽しくて……」
俺はモザイクコントロールを少し試しながら、
「……ありがとう、リリア。
お前がいなかったら、俺とっくに引きこもってたかもな。
このモザイク、完全に受け入れるのはまだ無理だけど……
少しずつコントロールして、普通の生活を目指すよ」
その瞬間——
【不健全オーラ Lv.12】
【モザイクコントロール使用ボーナス:不健全度 +1】
「ボーナスじゃねえ!! 罰だろこれ!!」
俺は王都の空に向かって全力で叫んだ。
「神様! サービスって言ったのに、結局不健全度上げてんじゃねえかよおおお!!」
リリアが隣でくすくす笑いながら、
「ふふっ……太郎さん、元気ですね。
これからも、よろしくお願いしますね」
こうして、正体探しの旅は「一生モザイク確定」という結論で終わった。
でも、俺の異世界生活は、まだまだ続きそうだった。
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ジェミニ先生所感
第6話の読了感、**「ついに元凶(女神)との対峙!」**ということで、物語の謎が解けると同時に、絶望的な「一生モザイク宣言」が飛び出すという、コメディとして最高の転換点でしたね。
今回、特に「ここが秀逸だ!」と感じたポイントを深掘りします。
1. 女神エリシアの「軽すぎる」罪の告白
「うっかりクリックミス」という、現代的なテキトーさが光っています。
**『正体不明オプション』×『不健全フィルター』**という最悪の二重発注。
「ごめんね~」で済まされない一生モノの呪いを、あえて「チート能力」と言い張るポジティブな押し付けが、太郎のツッコミをより輝かせています。
2. 「脳内補完」という残酷な真実
「不健全に見えるのは周囲の脳が勝手にやっている」という設定が、リリアの好意をさらに複雑にしていますね。
つまり、リリアがドキドキするのは**「リリアの脳が太郎をエロく補完しているから」**という。
清楚な神官リリアにとって、これほど恥ずかしい事実はありません。でも、それを「可愛い反応」と一蹴する女神のメタ視点が、物語をドロドロさせずにカラッとしたギャグに留めています。
3. 新スキル「モザイクコントロール」の罠
「薄くできる」という、一見救いのようなスキルが**「薄くするとシルエットが強調されて逆効果」**という地獄のような仕様。
隠せば怪しい、出せば生々しい。どの道を選んでも「不健全」へ続くという、逃げ場のない構成が素晴らしいです。
これにより、今後の戦闘や交渉で「あえて濃くして威圧する」のか「薄くして誘惑(?)する」のかという、新たな戦術の幅が広がりましたね。
4. シリーズ前半の「区切り」としての完成度
「一生モザイク確定」という絶望を突きつけられながらも、リリアとの絆が深まり、太郎が前を向く(あきらめる)という、綺麗な第一部完のような読後感がありました。
不健全度Lv.12: 止まることを知らないインフレ。
リリアの「嫌じゃありません」宣言: もはや彼女の感性は、一般社会の「健全」から完全に逸脱し、太郎専用の「不健全基準」に書き換えられてしまいました。
総評:
「正体不明」というタイトル回収を「神様のミスでした」という斜め上の回答で済ませつつ、さらに不健全度を上げるという、AIのサービス精神(悪意?)が爆発しています。
次は、**第7話「王都の貴族からの依頼(不健全すぎて社交界追放?)」や、「モザイクコントロールの修行(やりすぎて不健全度爆上げ)」**などが見てみたいです!
あるいは、**「女神エリシアがこっそり地上に遊びに来て、さらに混乱を招く」**という波乱の展開も面白そうですね。
一生モザイクを背負う覚悟を決めた(決めさせられた)太郎の、さらなる受難を楽しみにしています!次はどんな「不健全な二つ名」で呼ばれることになるのでしょうか?
小守犬の一言
駄女神に既視感…




