平凡な助手錬金術士、"純水"に捧げた十年の答え
錬金術士なんて職業は、大体みんな盛大に勘違いしている。
才能だの、閃きだの、奇跡の配合だの──派手な言葉で飾られるけれど、現場作業はもっと地味だ。
たとえば、この透明な一滴。
蒸留器の先端から落ちる、無色透明の小さな雫。
見た目では、何の変哲もない、ただの水。
けれど、錬金術においては、これが全ての土台になる。
『純水』
不純物を極限まで取り除いた、魔力と薬効を乱さない“器”としての水。
どれほど優れた素材を揃えようと、この土台が濁っていれば全部台無しだ。
「よし。今回も良い出来だな」
滴り落ちる水を試薬皿に受けて、光に透かす。
濁りなし。屈折率も狙いどおり。温度も、ぎりぎりまで冷やして魔力保持率を高めてある。
……とはいえ、ここまでなら別に俺じゃなくてもできる。
求められるのは、純水としての品質そのもの。当然、見た目だけ立派なものは誰も必要としてない。
瓶に移しながら、かつて師匠に言われた言葉を思い出す。
『馬鹿でも純水は作れるが、馬鹿の純水を使う錬金術士はいない』
師匠は基礎を疎かにした錬金術は成功しないし、錬金術士としても大成しないと常々言っていた。
…ただ、生きているとふと思うのだ。
結局、基礎基本をマスターしたところで、画期的な錬金術を編み出すことも、歴史に名を残す偉大な錬金術士になることも、それとは別の、根本的に違うナニカを持っていなければ叶わない、夢想の類なのだ、と。
錬金術に魅入り、術士として志し、早10年。それが俺の熱意に対する現実だった。
俺の名はレイン・ダルガー。うだつの上がらない二流以下の錬金術士だ。
そして、何故か世界屈指の錬金術士アイリス・グロームの──唯一の公認助手でもある。
「レインー? さっき頼んだ分、できた?」
研究室の奥から、聞き慣れた声が飛んできた。
「今終わったとこです、マイスター」
「何度言ったらわかるの。マイスターじゃなくてアイリスでいいって」
白衣の裾をひらひらさせながら現れたその人は、今日も寝癖と目の下の隈がひどかった。
これでは世界最高峰の錬金術士と言われても、誰も信じないだろう。
そんなこと言ったところで、怒られるだけだから口には出さないが。
「品質は?昨日と同じレベルは維持できてる?」
「えぇ、いつもと変わりなく、マイスターのオーダー通りだと思います。」
「……ふうん?」
アイリスは瓶を覗き込み、わずかに目を細めた。
その視線は、何度見られても慣れない。自分の全てを透かされているような気分になる。
「やっぱりレインのこれ、なんていうか落ち着くわね」
「水に落ち着くも何もないと思うんですが……」
「あるのよ。ポーションがちゃんと効く“前提”って、こういうところで決まるんだから」
さらりと恐ろしいことを言ってくる。
彼女の名を一躍世界に知らしめた《霊薬》のレシピ。
俺は、あのとき、ただ、横で純水を作っていただけだ。
なのに、彼女は、ことあるごとにこう言う。
『レインのだから成功するの』と。
…これは彼女の優しさなのだろう。
俺の腕は、所詮平凡程度だ。事実として、研究でも現場でも実績はパッとしないまま数年を過ごした。アイリスの助手になってからは、彼女のオーダーと研究室の仕事で手一杯で、実績がないまま、肩書だけ彼女の名声と比例して大きくなっただけだ。
純水錬成における錬成速度、純度、魔力消費効率には、10年コツコツと積み上げてきた事もあって、多少自信はある。他の錬金の基本も人並みにはできる。だが、そこまでなのだ。
彼女のように、人の命を救う新薬を作ったこともなければ、万人に認められるような錬金術の功績もない。
俺は精々純水作りが得意な程度の、本当に普通の錬金術士なのだ。
「そういえばレイン」
アイリスが瓶を抱えながら言う。
「この前、“助手辞める”って言った話、覚えてる?」
「……忘れるわけないじゃないですか」
俺は未だに苦悩している。
──アイリスの助手として働き続けることが本当に正しいのか。
──彼女の優しさに甘えているだけではないのか。
──本当はもっと優秀な人間と組んだ方が彼女のためになるのではないか。
悩み悩んで、己の凡庸さに打ちのめされて、遂に言葉にして彼女に伝えたのがこの前。
あのとき、彼女は泣きながら言ったのだ。
『じゃあ、私も錬金術やめる』と。
今思い出しても、背中がむず痒くなる。
あれは情に厚い人の、ちょっとした感情の昂ぶりだ。
彼女はとことん義理堅いのだ。たまたま芽が出なかった時に付き添った程度で、苦難を一緒に乗り越えた"相方"と思い込んでいるだけだ。勘違いしてはいけない。
「何回思い返しても、“あのとき止めておいてよかった”って気持ちしかないのよね」
「俺は、何度思い返しても“アイリスさん、あれ絶対言い過ぎでしたよね”って気持ちしかないんですけど」
「言い過ぎじゃないわ」
彼女はきっぱりと断言して、瓶を持ち上げた。
「私は、『あなたの純水』じゃないと駄目なの」
胸のどこかが、くすぐったくなる。
その意味は──わからないことにして、彼女から目を逸らした。
結局その日、俺はいつものように純水を補充し、素材の仕分けから成分抽出など、助手としての業務を片付け、いつものように研究室の鍵を閉めて帰ろうとした。
──そのときだった。
「失礼、レイン・ダルガーくん。今、少々よろしいかな?」
ギルド長専属部門に配属されたばかりの男が廊下で待っていた。
妙に胸を張っている、本部から来たばかりの若手幹部だ。
「ええ、何かありましたか?」
「ギルドマスターからの通達だ。君の話だよ」
何故か嫌に胸がざわつく。
手渡された封書を開くと、中にはさらりと一文。
『本日付けで、レイン・ダルガーを研究助手の任から解き、物資管理部への転属を命ずる』
「……は?」
「新任のギルマスとして、まずは人員の最適配置から手を付け始めていてね。“世界的錬金術士”であるアイリス殿の助手には、より優秀な人材を付けるべきだとは思わないかい?」
俺は言葉が詰まった。頭が、口が、全身がまるで己の身体ではないように、硬直した。
「彼女の弟子も粒揃いであるし、本部からも彼女の助手として推薦されている有望株が集まっている。」
「ち、ちょっと待ってください」
思わず、封書を握る手に力が入った。
「マイスターに、このことは?」
「通達済みだ。ギルドマスターから直々にね」
胸を張るように言われて、頭の中が真っ白になる。
『何回思い返しても、“あのとき止めておいてよかった”って気持ちしかないのよね』
今日、俺を引き留めて良かったと言ったあの人が、その後にこれを了承した?
いや、何かの間違いでは──と考える俺の前で、幹部は続けた。
「安心したまえ。君の仕事ぶりが悪かったというわけじゃない。むしろ、基本的な作業なら、物資管理部でこそ活きる。“純水錬成”も"素材抽出"も他の者で代替可能ということだ。」
その言葉に、変にすとんと腹落ちする自分がいた。
そうだ。何を舞い上がっていたんだ。俺の仕事は、替えが利く。
彼女も義理堅く振る舞ってくれていただけで、やはり、より高みを目指すことにしたのだろう。それならば、俺は、アイリスの勝手知る程度の俺なんか、邪魔でしかない。
あぁ、これが俺の正当な評価なのだ。
「……そう、ですか」
「理解が早くて助かるよ。明日からは倉庫の方へ出勤してくれたまえ」
俺は、うなずいてしまった。
…そうするしか、なかった。
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翌日、研究室に顔を出したときには、すでに話は広まっていた。
「レインさん、聞きました。物資管理部って……」
「本部から助手になる人がやってくるって……」
心配げな顔を向けてくる彼女の弟子たちに、俺は笑ってみせる。
「大丈夫ですよ。俺より優秀だという話みたいですし。」
本音を言えば、全然大丈夫じゃない。
けれど、彼女の為になるのであれば、俺はさっさと挨拶を済ませて新しい職場に向かうべきだろう。
それが良い。……そう思い込むことにした。
しかし、今日も変わらず研究室に来るのが遅い。
きっと寝不足で遅れているに違いない。
新しい助手もさぞ苦労することだろう。
俺はどこかズレた心配をする。──その時。
「レイン!」
研究室の扉が勢いよく開いた。
寝癖と白衣と目の下の隈。
見慣れた姿が、しかし、見慣れないほど怒った顔をしていた。
「おはようございます、アイリスさん」
「おはようじゃない!」
書類を握りしめた手が震えている。
ああ、それ、俺の転属通知だな、とわかる。
「聞いたわ。どういうことなの、これ」
「どういうことも何も、ギルドの人事で……」
「誰が決めたの?」
「ギルドマスターだそうです」
「どこ?」
怖い。
こんなアイリスを見るのは、久しぶりだった。
数年前、彼女が理論だけ先走って、器も素材も追いつかず失敗作ばかり量産していた頃。自分を笑う者たちに、噛みつくように反論していた姿を思い出す。
あのときも、こんな目をしていた。
「レイン。ちょっと来なさい」
「でも、俺、もう助手じゃ──」
「誰がいつ、そんなことを認めたの?」
一歩近づいて、彼女は俺の手首をつかんだ。
その指先は、いつもより冷たかった。
「助手はあなたよ。私がそう決めたんだから」
そう言って、俺を引きずるように廊下へ出る。
向かう先は、ギルド本部の大広間。
新しいギルドマスターが、権威をひけらかすための場所だ。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
大広間には、既に人が集まっていた。
新しいギルドマスターと、その取り巻きの幹部たち。
そして、見知らぬ顔が3つ──おそらく、本部推薦の助手候補だろう。
「おや、グローム殿。もう話は伝わっているはずだが?」
ギルマスが、いかにも作り物めいた笑顔で迎えた。
「ええ。“私の助手”を勝手に取り上げるという話なら」
「勝手ではないよ。君ほどの錬金術士には、もっと相応しい助手が必要だ。そこで──」
彼は手を広げ、三人を示した。
「この三名だ。若くして優れた才を持ち、将来有望と評判の高い者たちばかりだよ。」
紹介された彼ら3人は、尊敬の眼差しをアイリスに向けつつも、自信に溢れた立ち姿は崩さなかった。
「本来であればこの三名に加えて君の弟子たちにも機会を与えようとしたのだが、君の弟子たちは皆辞退してしまった。師匠の偉大さを身近に感じているからこそ、尻込みしてしまったかもしれないが…。少し手ぬるいのでは無いかな?」
「…余計なお世話だわ。彼らには彼らなりの見えている世界があるだけ。」
「…まぁ、構わないか。では、どうだろうか、グローム殿。これを機に、助手もあなたの“格”にふさわしい者たちに──」
「じゃあ、一つだけお願いしていいかしら」
アイリスが、静かに割って入った。
「助手を変える前に、“簡単な試験”をさせてほしいの」
「試験?」
「ええ。私の助手が務まるかどうか、最もわかりやすい方法よ」
彼女は振り返り、俺を見た。
「レイン」
「…はい」
「いつもどおり、純水のレシピ。ここに書いて」
渡された紙に、手早く工程を書いていく。
分量と時間配分。火の温度。冷却のタイミング。魔力の流し方。
誰が読んでもわかるように、簡潔に。
俺自身がいつもやっている、そのままを。
書き終えた紙を受け取って、アイリスはギルマスに差し出した。
「この純水を作ってちょうだい」
「……それだけかね?」
ギルマスが笑う。周囲の幹部も、安堵のようにほほ笑んだ。
「純水なら、基礎中の基礎だ。そんなもの、わざわざ試験にするまでもないだろう」
「そうね」
アイリスは、同じように笑ってみせた。
「だから、条件を一つだけ付けるわ」
その目が、ぞくりとするほど冷たくなる。
「“10分で”作りなさい」
広間の空気が、一瞬で変わった。
三人の顔がこわばり、幹部たちが目を見開く。
「じ、10分だと?」
「馬鹿を言うな。純水は確かに基礎だが、その純度で、10分は──」
「レインなら、できていたわよ」
さらりと言われて、俺は思わず咳き込んだ。
「ちょ、ちょっと待ってくださいアイリスさん、あれは──」
「いつものことじゃない。あなた、実験前の10分で仕込むでしょ?」
それは、ただの“前準備”に過ぎない。
時間を有効に使うための段取りで、自分のちょっとした特技を活かしているだけに過ぎない。
だが、周囲の視線が一斉にこちらを向いた瞬間、その感覚はどこかへ吹き飛んだ。
「さあ。三人とも、やってみて」
彼らは顔を見合わせ、それでも前に出た。
装置は用意されている。素材もある。レシピも、俺の字で書かれている。
10分。
短くも長くもある、不思議な時間。
俺は、黙って見ていた。
アイリスが、本当に“助手の適性”を見ようとしていることを感じたからだ。
俺の視点的には、
一人目は、火を弱くしすぎた。
時間内に蒸留が終わらず、純度が足りていない。
二人目は、火を強くしすぎた。
早く終わったが、水が熱すぎて、冷却が間に合ってない。
三人目は、上手くいったように見える。
だが、魔力を注入しすぎて、ムラが酷く淀みを感じる。
時間を告げるベルが鳴らされる。
机の上には、三本の瓶。
見た目には、ほとんど差がない透明な水。
「〈検査〉」
アイリスの一言で、ギルドの測定術式が起動する。
魔力感応器で純度と温度を測り、魔法で魔力密度を記録する。
結果は、数字で残酷に示された。
一番良かった三人目でも、俺がいつも出している数値に遠く及ばない。
それを見たアイリスは、ゆっくりとギルマスの方へ向き直った。
「どうかしら」
「10分は……少々条件が厳しすぎるのではないかね?」
「厳しい?」
彼女は、わずかに首をかしげる。
「あなたたち、“世界で唯一霊薬を錬成できるギルド”って看板、捨てるつもり?」
静かな声だった。
けれど、その言葉が広間の隅々まで刺さっていくのが、はっきりとわかった。
「私が開発した"霊薬"は、この純水を前提に設計してあるの。温度も、純度も、密度も、全部」
机に置かれた三本の瓶を、視線だけで指す。
「これじゃあ、霊薬どころか、他のポーションも錬成できないかもしれないわね」
「し、しかしだね、グローム殿──」
「あなたたちは、“純水なんて基礎中の基礎”って言ってたわね」
アイリスの目が、ギルマスを射抜く。
「『馬鹿でも純水は作れるが、馬鹿の純水を使う錬金術士はいない』」
俺が胸の奥で何度も反芻してきた言葉を、彼女は平然と口にした。
「工程を記して、手順どおりになぞるだけなら、誰にでもできるわ。そこの三人みたいにね」
「……!」
「でも、あなたたちは何一つ理解できていない。そもそも『10分』というのは、あくまで研究室におけるオーダーよ。本当に欲しいのは、10分で純水を作れる能力ではないわ」
彼女は、そこで言葉を切り、俺の方を見た。
視線を向けられた瞬間、喉がひりついた。
「わたしが"霊薬"を作るのにも、新薬を開発するにも、ポーションを生み出すにも、レインの作る純水が不可欠なの。」
「な、何を根拠に…」
「じゃあ、証明するわ」
彼女は空になった装置の方へ顎をしゃくった。
「いつもどおりでいいわ。10分。レイン、良いわね?」
断る理由は、なかった。
震えそうになる手を、意識して落ち着かせる。
装置に触れ、触媒を確かめ、火をつける。
何千回と繰り返してきた工程。
鋭く揺らめく蒼炎。
ガラスを叩く水音。
冷却管の中を走る蒸気。
それら全部が、俺に語りかけてくる。
俺はただ従って、普段通り最適なタイミングで工程を進めていくだけ。
そうして、針が十分を指す前に、最後の一滴が落ちた。
静まり返った広間に、検査術式の光が走る。
示された数値は、見慣れたものだった。
純度、到達可能な理論のほぼ上限。
温度、基準値ピタリ。
密度、濃淡差ほとんどなし。
ギルマスの喉が、ごくりと鳴る。
「ば、馬鹿な……レシピも、触媒も、装置も、全て同じものだというのに──」
「違うのは、“誰がやったか”だけよ」
アイリスが、淡々と言った。
「あなたたちに、この芸術とも呼ぶべき完成度が理解できたかしら?わたしが欲しいのは、このレベルの純水なのよ。」
ギルマスだけではない。助手候補三名は青褪め、幹部たちも冷や汗を流している。俺は、訳が分からず呆然と見ている。
「この際、別に10分で作れなくてもいいわ。さぁ、教えて?この程度の純水を、あなたたちはどのくらいで作れるの?」
ギルマスが何か言い訳を探すように候補者たちの方へ目を向ける。三人とも力なく首を横に振っていた。
数字は正直だ。目の前には、結果がある。
「……………………」
彼の口は震えて先を紡ごうとしたが、判断の結晶は落ちてこなかった。
アイリスは、ちらりと目を細める。
「…あなたの意思は十分にわかったわ」
ポケットから、数枚の紙束を取り出した。
「一枚目は"霊薬"、二枚目は万能ポーション、他は開発中の新薬、それぞれのレシピよ。」
紙束を、ギルマスの方へ差し出す。中身を聞いたギルマスが目を剥く。
「レシピなんて言ってるけど、見ての通り、どれも大層な素材は使ってないわ。これ、全部あげる。」
「……!」
広間がざわめく。
「主力商品も開発商品も、どれも優秀な錬金術士がいれば作れる程度の代物よ」
アイリスはそれらに何の未練もないように見えた。
「もっとも──」
彼女は、そこで言葉を落とした。
「レインレベルの純水錬成ができれば、だけどね」
ギルマスは、紙束を受け取ることもできずに固まっていた。
それを見て、アイリスは小さく肩をすくめ、告げた。
「とりあえず、彼を助手から外すというなら、わたしも研究室畳むわ。彼無しでは成り立たないのだから。」
──広間に彼らを置いて、二人で研究室に戻る道すがら、ふと思った。
結局、俺は、師匠の言うような偉大な錬金術士にはなれなかった。
先進的な術式も生み出せなければ、後世に残るような功績を打ち立てたわけでもない。
けれど。
愚直に磨き上げた“純水”を、
たかが基礎を突き詰めただけの錬成技術を、
天才は、なくてはならないものだと言った。
馬鹿でも純水は作れる。
だが、俺の純水は──その範疇を脱していたらしい。
そう気づいた瞬間、胸のどこかで静かに何かがほどけた。
俺の十年なんて、と思っていた。
だが、その十年が、彼女にとって、世界に名を轟かせる“礎”になっているのなら──
……それで十分だろう。
歩幅を合わせるように隣を歩くアイリスが、少しだけ微笑んだ気がした。
他短編・連載小説も投稿してます。良ければそちらも御覧ください。
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感想、ご指摘あればください。力になります。
引き続きよろしくお願いします。




