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白き洋人娶る

黒土亜天真と言う主人公の群像劇。

 第四話 白き洋人娶る

 出版した第一小説で純文学の芥川龍之介に因む誉れ高き賞を戴いた。『異界録』のヴォーカルとしても広く世に知られる機会を得た。『異界録』は知る人ぞ知るマイナーなバンドだった。

 今回の文学賞の会見で報道陣の前にいる。

「A賞受賞おめでとうございます」と記者が言い、「今のお気持ちは如何なものでしょうか?」

「嬉しいばかりです。文学新人賞に入選する事を考えずに書いた小説がこのような名誉ある賞を戴けた事を非常に嬉しく思っています」

「次回作の構想などをお聞かせください」と別の記者が質問する。

「幾つか並行して書いている作品があって、出来た順に発表しようと思っています」と私は答える。

「どのような作品を書かれているのか、少しお聞かせ願えませんか?」と別の記者が言う。

「純文学的に人間の心をしっかりと描写するようなホラー小説と古代の神話をイメージしたような作品を書いています」 


 会見が終わると、審査員や編集の方々と料亭で食事をする。

審査員の大御所の作家と話をするのは楽しい。高校大学と趣味で楽しく読んでいた小説の作家と話が出来るのは非常に嬉しい。『異界録』でデビューした時には国内外の好きなアーティスト全部に会わせて戴いた。小説家としてデビューしても好きな作家と全部会わせてもらえるのだろう。その辺でオタク的な要素を捨て去り、有名アーティスト達と同じ土壌に立って、プロ意識を持って小説を書くのだ。

 深夜、自分のマンションに帰宅し、風呂に入ると、熱い湯に浸かって眼を瞑り、漸くほっとした気持ちになる。何だか閉じた瞼の裏に一瞬見知らぬ女性の顔が浮かぶ。夢ではない。可愛い二十代ぐらいの日本人女性の顔だ。心霊現象だろう。私は特に気にも留めず、熱い湯の癒しを楽しむ。

 明日はフランスの世界を賑わす天才美人女性ピアニスト、プリシア・ミゼルのコンサートを観に行く。プリシアはピアノで神を表現するオリジナル曲でコンセプチャル・アルバムを三枚リリースしている。一枚目、二枚目はコンサートを行わず、今回の三枚目で漸くコンサートが実現する。俺は相当に熱心にプリシアのアルバムを聴き込んでいる。

 俺もプリシアの影響で神をギターで表現したいと思っている。プリシアの神をイメージしたピアノ曲は世界各国の神話を題材にしており、音で神を表現し得た大傑作である。二十世紀のアルバムではピンク・フロイドの『原子心母』やクラウス・シュルツェ辺りのアルバムに神が音で表われる。

 風呂から出ると、少し小説を執筆し、早目に寝る。


 翌朝は早朝五時に起床し、身支度を済ませると、朝御飯を作りにかかる。とろろ丼と子持ちシシャモの焼き魚だ。

 朝食を終えると、ヴィデオでタルコフスキー監督映画『ストーカー』を観る。これまで私は『ストーカー』を百回は観てきたろう。私にはそう言う何度も観た映画が沢山ある。好きな映画を繰り返し観る事はクリエイティヴな作業する上で文学の研究に役立つ。小説や漫画や詩集や絵本の再読やアルバムを何度も聴き込む事でも創作意欲が刺激される。私は執筆中に必ず音楽を流す。それが執筆の集中力にも繋がり、ホワイト・ノイズと言う、とても良い効果を与える。

 『ストーカー』を鑑賞しながら、『ポテト・チップス』のコンソメ味を食べ、よく冷えた牛乳を飲む。牛乳は毎日二リットルは飲む。

 『ストーカー』を観終え、川端の『雪国』の文庫本を持って、近くの中古ヴィデオ屋にヴィデオを買いに行く。此間、『にっかつロマンポルノ』のヴィデオ・シリーズが全巻揃って売られていたのだ。

 お目当ての『にっかつロマンポルノ』のヴィデオ・シリーズはまだ残っている。私は早速それを購入し、蒲田の駅ビルに入る。私は昼食を食べにレストラン街をうろつく。何を食べようか暫く迷う。私は中華料理屋に入り、ジャージャー麺と餃子を注文する。昼食は勤め人のように外食する事が多い。注文した品が来るまで『雪国』の文庫本を読む。『雪国』のプロットはまだ把握出来ていない。一歩引いて読むような研究が非常に勿体なく感じられ、川端の美の世界を堪能する事ばかりに夢中になっている。

 ウェイトレスがジャージャー麺と餃子を運んでくる。ここのジャージャー麺は私の好物だ。

 今日はプリシア・ミゼルのコンサートの楽屋に花束を届ける予定でいる。コンサートが終わったら、プリシア・ミゼルを夕食に誘おうと考えている。

 ジャージャー麺と餃子の昼食を食べ終え、帰りにアーケイドに二軒ある古書店を梯子する。一軒目では興味深い絵の漫画同人誌を幾つか買い、二軒目ではSF小説の絶版になった文庫本を買い込む。

 帰宅すると、コンサートに出かける時間まで小説を執筆する。ホラー小説の執筆には様々な音楽を効果的に流し、環境の音楽の変化により大胆な場面展開を試みる。ホラー自体が古くなってきているため、近未来的な世界観や同性愛やカルト映画的な感性を導入している。執筆中のCDは『ザ・ヤング・ゴッズ』や『ライバッハ』のアルバムをよく流す。作中音楽にはルー・リードの『ベルリン』やクリス・レアの『オン・ザ・ビーチ』やシャーデーの『プロミス』などの曲を流し、近未来の田舎町に二十世紀的な名残りを取り入れ、都会の喧騒から離れた田舎の静かな暮らしを演出している。自分の第二小説は是非ともエンターテイメント系の小説にしたいと思っていた。この小説の構想期間は長く、『異界録』の時代から少しずつ書き足してきた。

 コンサートの時間が迫り、JRを乗り継いで新宿まで行く。警備員に楽屋に通してもらい、プリシア・ミゼルに面会する。

プリシアはマネージャーらしき女性に声をかけられ、奥の個室から出てくる。プリシアが逆上せたような仕種をしている。私はプリシアに花束を手渡し、握手を求めると、握手をしたまま、「黒土亜天真です。元ロック・バンド『異界録』のヴォーカリスト兼ギターリストで、今は小説家です」と自己紹介する。

 プリシアは黒い髪に黒い眼をした白人女性で、胸元に深いスリットの入ったメタリックなピンクのドレスを着て、大きな唇に赤い鮮やかな口紅を付け、瞼一杯に青いメイクを施し、頬紅を付け、全身に金粉を付けている。

「お初にお目にかかります。プリシア・ミゼルです。今日は私のコンサートにいらしてくださって、ありがとうございます」とプリシアが丁寧に英語で挨拶する。

「あなたの神を表現する音楽には多大なる影響を受けました。私もギターで神を表現したいです」

「あのスタイルのピアノはクリシュナ様にお祈りして戴いたものなの」とプリシアがキュートな笑みを浮かべて言う。

「クリシュナって、あのインドの青い体をしたブラフマンですか?」

「そう。私はヒンドゥー教徒なの」とプリシアが自信満々に言う。

「お風呂上りみたいに部屋から出てこられたのは瞑想か何かしていらしたんですか?」

「そうなの。よく御存知ですね。もしかして、あなたも瞑想をされるんですか?」とプリシアが顔を突き出すようにして訊く。

「毎夜、頭を空にするために座禅を組みます」

「禅ですか。なるほど。仏教は確かに興味深い宗教です。ブラフマンは仏教の守護神で、釈迦に釈迦の教えの布教を頼み込んだのもブラフマンです。つまり、ヒンドゥーの教えは仏教の教えに更新されたものとも解せます」とプリシアが真面目な顔で言う。

「では何故ヒンドゥー教徒なったんですか?」

 プリシアが茶目っ気たっぷりの愛嬌ある笑顔で、「クリシュナ様が余りに綺麗だったから!」と噴き出すように言う。

「あなたは正直な人ですね」

「まあ、それだけが取り柄みたいな者です」とプリシアがウィンクして言う。

 俺は思わずドキッとして、彼女を夕食に招待する事を思い出す。

「今日、コンサートが終わったら、私が東京の良いレストランに御案内しますので、今夜は私と一緒に夕食を食べませんか?勿論私が奢ります」

「あら、それは良いわね!奢りなら行くわ!」とプリシアが高校生みたいなはしゃぎぶりで言う。

「それでは私は会場の方であなたのコンサートを聴きます」

 プリシアは私の右手を両手で包み込むと、「それじゃ、また!」と言って、私を楽屋から送り出す。

 私は最前列の会場の特等席に業界の人達と並んで座る。

 私はコンサートの主催者代表の女性からプリシアのコンサートのパンフレットを受け取り、目を通す。パンフレットによると、プリシアは絵画や陶芸も行うらしい。

 愈々、コンサートが始まる。プリシアはプリシアの動きに合わせて動くスポット・ライトに照らされ、ピアノの前の椅子に座る。プリシアはPCを操作し、アレンジの音源を流すと、強烈なタッチのピアノで『雨の神』と言う楽曲を演奏する。あのアレンジの音源もプリシアの手によるものである事はCDのライナーノーツを読んで知っている。張り詰めたピアノの跳躍の後、雨音のサンプリング音源が流れ、雷鳴のサンプリング音が会場一杯に轟く。プリシアは曲間を作らず『雷の神』と言う楽曲に移り、雷の神を複雑な音の構成で表現する。その後は『太陽神』『契約の神』『クリシュナ』『ヴェーダ』『オーム』『タゴール』と演奏し、客席にフランス語で何か言うと、日本語で『今晩は。プリシア・ミゼルです。この度は私のコンサートにいらしてくださり、ありがとうございます。今夜はとても素敵な夜でした。また何処かの会場で御会いしましょう」と言って、手を振りながら、退場していく。

 私は会場の外の通路に出て、プリシアの楽屋に向かう。私は楽屋に招かれ、「素晴らしいコンサートでした」とプリシアに感想を告げる。

「ありがとう」とプリシアが日本語で礼を言う。

「着替えが済んだら、一緒に夕食を食べましょう」

「ええ、私はそれを何よりもの楽しみにしていました」とプリシアが笑顔で俺の眼の奥の心を見つめるように言う。「あなたの心はとてもピュアーね。それでは一寸着替えてきます」とプリシアは言って、奥の個室に入ると、ドアーを閉める。

 着替えを済ませたプリシアはディヴィッド・ボウイの『ジギー・スターダスト』のジャケット写真のような赤いタイトなツナギを着て、鍔の広い黒い帽子を被り、「お待たせ!今夜の私はあなたの物よ!」と娼婦のように冗談とも本気とも判らない事を言う。

 いちいち冗談か本気かを確認するのも野暮だ。

「私は電車に乗ってやってきたんだ」

「あたしの運転手に行き先を案内してくれれば、あたしの車でレストランに行けるわ」とプリシアが明るい声で言う。

「そうしよう!私は自分の車を持たない」

「東京の芸能人は電車に乗るの?」とプリシアが深刻な口調で訊く。

「自分が雇った運転手やマネージャーの送迎車で外出する人が多いんじゃないかな」

「あなたは特殊ね」とプリシアが羨ましそうに言う。

「君も日本に住むなら、電車を利用出来るよ」

「あたしが日本に住むには恋人なり夫が必要よ。あなた、独身?」とプリシアが探るような目で訊く。

「君は良い恋愛相手だとは思うが、結婚したら、ほとんど擦れ違い夫婦になるような生活しか出来ないでしょう?君みたいな人が専業主婦に満足するとも思えない」

「日本中心に活動するピアニストにはなれるわ。全く海外公演をしない訳じゃないけど、三年に一枚程度出すソロ・アルバムのリリースに合わせて、三年に一度の海外公演ツアーを数ヶ月行うぐらいのスケジュールなら組めるわ」とプリシアが真面目に我々の恋の行方を語る。

「六本木って表示があるね?そっちに進んで欲しいんだ。六本木にあるフランス料理のレストランに行く予定なんだ」

「判りました」と生真面目に雇われ運転手が答える。

「フランス料理?」とプリシアが意外そうに言う。

「六本木には美味しいフランス料理屋があるんだ。外国の客を必ず連れていく店でね、なかなか評判が良いんだ」

「どんなアーティストに興味があるの?」とプリシアが私の音楽の趣味を探る。

「デイヴィッド・シルヴィアンが好きなんだ」

「彼の音楽が二十世紀からの続きで期待されてるわね。あたしも彼のCDは全部持ってるわ」

「『ウェイヴ』とか『ブリリアント・トゥリーズ』とか、意味深な曲名が多いね」

「不思議な人よ。個性的ってだけでは納まらない」

「俺は毎日、通しでよく彼のアルバムを聴くんだ。一日と欠かさず、毎日、彼の音楽を聴き続けてきたよ」

「あたしもお気に入りのアーティストはそんなに多くはないの。特定のアーティストをとことん聴くタイプよ」

「彼がプログレに傾倒していった時に俺も偶然ピンク・フロイドやカンを聴き始めていたんだ」

「それが何?」とプリシアが冷やかに訊き返す。

「いやあ、彼のウェイヴを自分なりに感じてさ」

「ファン心理ね。そう言う事って、大切よね。あたしにも特別な思い入れが彼にはあるの」

「なるほど。彼は平等に二人のスターだ」

 プリシアが笑いを堪えている。

「本当に重要なアーティストなのね。あなたが彼を愛してるのがよく判るわ。あたしはあなた程のファンじゃない。彼はあなたの物で良いわ」とプリシアがデイヴィッド・シルヴィアンを私に譲る。彼女の判断が私にはとても大きな心に思える。

「デイヴィッド・シルヴィアンへの愛を人と分かつなんて本来あり得ないんだよ」

「あたしにはそこまで好きなアーティストはいないわ」とプリシアが考え込むようにして言う。

「俺はデイヴィッド・シルヴィアンが一〇〇パーセント自分の物になれば、それで満足だよ」

「あなた、ゲイ?」とプリシアが探るような眼で訊く。

「俺はゲイじゃない。日本人の師弟関係や交友は西洋人にはよく同性愛と間違われる」

「何だか寂しい事ね。私は自分にも東洋人の精神性があると信じていたの」とプリシアが悲しげに言う。

「俺も日本人なんだな。西洋人を心の何処かで軽視している」

「西洋人には西洋人の尊い精神性があるものよ」とプリシアが真剣な眼差しで私を見て言う。

「それはデイヴィッド・シルヴィアンの情報を聞き知る度に思うよ。彼は西洋人との仕事も積極的に行っている。日本人は日本文化を外国人には理解出来ないものと決め付けてるところがあるんだ。我々日本人の悪い癖だよ。この国の人間はまだまだ閉鎖的だ」

「あたし達は自分の国の人間を悪くは言わないわ。自分のアイデンティティを失う行為だもの」とプリシアが私を哀れむように言う。

「日本人はよく自分達の精神を否定するんだ。自分達を否定して新たなる自分を構築するんだ」

「非民族主義ね」とプリシアが断定的に言う。

「ううん。そうとばかりも言えないんだけど」

 やはり、西洋人は単純だ。簡単に物事に対する答えを出そうとする。

「ああ!そこで停めてください!そこの二階にあるレストランだよ」

 俺とプリシアが自動車から外に出る。プリシアは俺の左腕にしがみ付く。俺とプリシアは階段で二階に上がり、レストランに入る。私達は予約しておいた席に案内される。

「お洒落なレストランね」とプリシアが店内を見回して言う。「お花の活け方も前衛的で美しいわね。店内の絵画も素晴らしいわ。音楽はショパンの夜想曲ね。あたしもよくショパンを聴くの」

「君は本当に芸術家らしいね」

「だって、芸術家ですもの」とプリシアが怪しい笑顔で言う。

 食事はコースで次々に出される。プリシアの食欲は旺盛だ。

「今年の冬までアメリカの大学付属の英語学校にいたんだ」

「道理で英語が上手い筈ね」とプリシアが食べ物を食べている口許を隠して言う。プリシアは少し笑顔を見せて、話す事より口の中の物を嚙む事を優先する。

 プリシアとは妙に気が合うな。前世の縁者なのか。

「君は何人?」

「私はフレンチよ。そんな事も知らずにコンサートに来たの?」とプリシアが俺の眼を睨むように言う。

「アメリカとイタリアで育ったとはライナーノーツに書いてあった」

「父も母もフレンチなのよ。あたしが生まれた時には両親もまだフランスにいたの」とプリシアが笑顔で言う。「私にはアメリカの国籍もあるの」

「そこだ!君の祖国の判り難いところは」

「天国に行けるなら、自分が何処の国の人間でも良いの」とプリシアが大胆な事を言う。

「俺は日本人である事に誇りを持ってるよ」

「あたしは母国だけでなく世界に貢献したいの」とプリシアが真剣な眼で言う。

「なるほどね。ところで今夜は空いてるのかい?」

「ベッドを共にする恋人はいないわ」とプリシアが笑顔で言って、ウィンクする。

「俺の懐ではスウィートルームって訳にはいかないよ」

「無理する必要はないわ。何ならあたしはモーテルに一泊しても良いのよ」とプリシアが食べ物を嚙む口許を手で隠しながら言う。

「君は意外とワイルドだね。スターのような暮らしをしている訳じゃないんだね」

「普通の一般的な暮らしよ」とプリシアがシャンパン・グラスを持って言う。「ここの料理、美味しいわね」

「そうだろう!感想を何時言ってくれるのか待ってたんだ」

「本当に美味しいフランス料理よ。日本的なアレンジが一寸あるのも良いわ」

 俺とプリシアは食事を済ますと、再びプリシアの運転手の車に乗り、某有名ホテルの一室に宿泊する。

 プリシアと共にシャワーを浴びる。プリシアのゴージャスな体がピンク色に火照る。私は裸のプリシアを壁に追い詰め、プリシアに口付けをする。プリシアが俺の口の中に長い舌を入れ、俺の舌を啜る。俺はプリシアの豊満な胸にしゃぶり付く。何とピンク色の乳首だ。日本人女性の乳首の色としてはそう多くはいない。私はプリシアの右足を脇に抱え、極限まで勃起したものをプリシアの股の間に挿入する。プリシアは喜びの声を上げ、「愛してる」と言う。

「俺も君を愛してる。君は俺にとって心から尊敬出来る最高の女性だよ」

 私はスタンディング・セックスでプリシアの穴の中にモノを突き上げる。プリシアの背丈は私よりやや低い。プリシアが激しく喘ぐ。「イエス!イエス!ソー・グッド!」と言うプリシアの官能的な英語が私のハートに響く。俺はプリシアのたっぷりとした肉感ある尻を揉む。プリシアのクリトリスを右手の中指の腹で優しく転がすと、「優しいのね」とプリシアが息絶え絶えに言う。プリシアの穴が私のモノを固く締め付ける。激しい快楽を求めるからか、セックスは日本人女性より外国人相手の方が快感の度合いが断然に高い。セックス自体がスポーツのようで、ボールを追って全速力でテニス・コートを駆け回る事の延長にあるような感覚で行われる。

 シャワー室で一回イッて、プリシアを抱えてベッドに横たえる。ベッドの上で膝を突く私にプリシアが両手を差し伸ばす。

俺はプリシアの上に乗り、プリシアのピンク色の乳首を銜える。プリシアの右手を頭の上に押さえ付け、プリシアの黒い腋毛を嘗め、右手でプリシアの豊満な胸を揉む。私は半身を起こしてプリシアの括れた腰を両手で押さえ、プリシアの陰毛を搔き分けてクリトリスを見ると、クリトリスを念入りに嘗める。私はプリシアの股を広げ、プリシアの柔らかい内腿を嘗める。女体の好きなところを嘗め終えると、プリシアの穴にモノをズブリと奥まで挿入する。俺はプリシアの膝頭を自分の前で合わせ、プリシアのオマンコの割れ目を眺め、モノを挿入された穴を眺める。俺はゆっくりと腰を動かし、プリシアの口から漏れる甘い声を聴く。

「あたしが上に乗るわ」とプリシアが言う。

 私はモノをプリシアの穴から外し、ベッドに仰向けに横たわる。プリシアは俺の勃起したモノの上に乗り、自分の穴に私のモノを自分で入れる。プリシアは小刻みに腰を動かし、穴の中で私のモノを締め付ける。下から見上げるプリシアの小さな美的な顔が放心したように天井を見上げている。俺はプリシアの括れた腰を両手で掴み、自分の股間にプリシアの股を激しく打ち付ける。大柄の女とのセックスは良い。女は或程度慎重が高い方が存在感があって良い。プリシアは激しく喘ぐ。私はプリシアの穴からモノを外し、プリシアを四つんばいにさせると、背後からプリシアの尻を広げ、肛門を眺めると、右手の中指を嘗めて、プリシアのアナルに指を挿入し、ゆっくりと前後に指を動かす。

「オオ、グッド」とプリシアが喜びの声を上げる。俺はプリシアの肛門にモノをずぶりと挿入し、ゆっくりゆっくりと腰を動かし、右手の中指と人差し指を合わせて膣に挿入し、激しく動かす。アナルの感度は高い。私は人によってはアナル・セックスをしない。プリシアはしても良いだろうと直感的に察した。

私はプリシアのアナルの中で激しく腰を動かしたい衝動に駆られる。世界的なピアニストの肛門を壊してしまうのは良くないと、モノをアナルから外し、膣に挿入し直す。今度は手加減なく激しく腰を動かし、七回モノが波打つ程の射精をプリシアの中で果たす。

 俺は疲れ果て、仰向けにベッドに横たわる。

「何か、飲み物を飲むかい?」

「あたしが冷蔵庫から選んで持ってくるわ」とプリシアは言って、ベッドから降りる。「缶チューハイがあるわよ?」

「良いね」

「あたしはウィスキー・コークにしようかな」とプリシアが呟く。

「俺もウィスキー・コークが良い」

 プリシアはグラス二つにウィスキーを少々入れ、ペットボトルのコーラで割る。プリシアはそれをベッドに持ってきて、一つ私に手渡す。

「お腹空いてる?」とプリシアが訊く。

「いいや、空いてない。夜食はたちどころに脂肪になるから食べたいとも思わない」

「そうね。食べない方が良いわね」とプリシアが深く納得したように言う。

「君との結婚の話だけど、君さえ良ければ、俺は是非とも君と結婚したい」

「その話ははぐらかされたのかと思ってたわ」とプリシアが片目を瞑って、唇を歪めながら言う。

「そうじゃない。はぐらかしたつもりはない。運転手に行き先を告げる事をしたら、結婚の話に戻るきっかけが掴めなかったんだ」

「あなた、タイミングを計って、人と接しているの?」とプリシアが真剣な眼差しで俺の眼の奥の心を見つめるように訊く。

「まあ、そうだよ。音楽的なリズム感を以て人と接してるんだ」

「あたしはてっきり振られたのかと思ったわ」とプリシアが眼を潤ませて言う。

「新婚旅行は何処に行きたい?」

「あたしは京都に行きたいわ」とプリシアが笑顔で言う。

「外国にしないか?」

「あたしは新婚旅行には絶対に京都に行きたいの」とプリシアが可愛らしい意地を張る。

「京都で良いなら、お安い御用だよ」

「ほんとに!嬉しい!」とプリシアが少女のように胸の前に手を組んで喜ぶ。

「カラオケがあるけど、歌う?」

「あたし、カラオケ大好きなの!」とプリシアがはしゃぐ。


 私達は一ヵ月後にアメリカの教会で結婚式を挙げ、京都に新婚旅行に行く。新居は父の故郷の島原半島に一軒家を建て、それぞれストゥーディオや書斎やアトリエを作り、私は庭に庵風の喫煙所を作った。

 プリシアは島原半島で陶芸や生け花や茶道を習い始める。私はヒーリング効果のある映像作品を作るようになり、映像に合わせたイントゥルメンタルの音楽を作曲するようになる。意外と早い音楽活動への復帰である。

 芸術家同士の結婚生活はあっさりとしている。どちらも毎日、作品作りに没頭する。プリシアは自分の日本名を『菊子』と自ら命名し、私はプリシアを菊子と呼ぶようになる。

二人の相性は良い。夫婦生活も普通にある。問題なのは子宝に恵まれない事だ。長年、宇崎竜童と阿木耀子の夫婦関係に憧れてきた。子供のいない彼らは永遠の恋人達のようだ。私も菊子も自分達の子供が欲しいけれど、一寸寂しいような結婚生活には夫婦間の愛が一杯通い合う。我々は愛し合う事で魂の交流を続けているのだろう。我々は芸術家夫婦としては非常に幸せだ。子供に関しては、もしも菊子が妊娠しない体ならば、他所の女と子供を作って、その子を我々のものにしたい。勿論、そんな事を私が実行したなら、菊子は深く傷付いて、私との結婚生活を終わりするだろう。

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