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黒土亜天真と言う主人公の群像劇。

 第三話 舞

 一面荒れ野の雪原にて舞うは破壊の舞なり。真っ赤な炎の中で怒りと憎しみに満ちた形相を鉄の仮面の奥に隠し持つ。悲鳴に飢えた干乾びた心で、獣の如き牙を剥き出しにしては、白目を剥き出しにして顔面を痙攣させる。背骨は威嚇する猫のように湾曲し、手足は破裂した皮膚から剥き出しになった白い骨が月夜に照らされている。

 強烈な破壊力のある武器を握らされたような憎悪の継承。何故精神苦の良き理解者である私を何人も頼りにしないのか。私には心中にて殺気一つで相手の両目を失明しせる程の憎悪の念がある。私は金属的な仮面を被る悪魔の如き心で取り返しの付かない数の犠牲者を予め想定する。その悪魔を孕んだ神なる戦士の心に自らの精神苦で執拗に磨いた意識を心の中の恐ろしいカオスの中に潜ませる。その殺人的なエナジーが今か今かと自らの出番を待つ。心の奥に優しい神童を宿し、その神童の心が疲れた戦士の心を癒す。

 私は何時かこの戦いを止めてみせる。例え人類の九十九パーセントが何らかの危険を防止しようとそれぞれが四肢の幾つかを失う羽目になっても、私は人類存続の危機に歯止めをかけるために、神の僕として神と一つになって戦うだろう。幾ら頭脳の働きを遅くしても、私は自らに受けたダメージにより際限無く憎しみが増幅する。接近する魔に瞬速の殺傷能力で致命傷を負わせる。大きなカーブ描くようなエナジーの動きを心に思い描く。罪もない幼子の頭を斬り落とすような事故だけは防ぎたい。それには常日頃より心のリズムの間の一拍を少しでも多く心に溜めねばならない。例えるなら、幼児が喜ぶような動物漫画の柔らかそうな動きを、心の身体的な膨らみや弛みで伸縮させるような想像力がいる。

 図体のデカい赤毛の化け物がのっしりと夜の闇の森より現われる。化け物の眼は黄色く、吐く息は毒ガスと化している。私は肩の後ろに手をかけ、光の聖剣の柄を掴み、俊足で赤毛の化け物の腹の下に踏み込む。化け物の尖った長き爪に背の肉を引き裂かれる。私は光の聖剣を下方より突き上げ、化け物の顎下から脳天を貫く。化け物の体が死の闇の中で動きを止める。私は素早く脇に飛び退き、化け物は息もなく地に倒れる。

 大気の中の魔の炎が私を取り巻く。私は光の聖剣を右斜め上方より左下に傾ける。幻の炎に身を焼かれるのは心の迷いである。私は静かに眼を瞑り、悪魔の居所を気配で見定める。背後に奇怪な獣のような叫びを聴き止め、光の聖剣を大きく振りかぶって、素早く振り返り、魔のいる大気を切り裂く。魔が死の叫びを上げ、天空より赤い血の如き雨が大地に降る。私はその赤い雨を両目に浴び、視力を失う。視界は一瞬にして闇と化す。天空を見上げ、赤い雨の核たる魂に意識を合わせ、失明した眼を洗う。たちまち両眼の視力が回復する。私は光の聖剣を背に仕舞い、夜の闇の中で荒い息を吐きながら、長い髪から雨を滴らせる。私は天空を見上げて魂の叫びを上げるや、神に勝利を告げる。

面白い純文学を試みました。

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