第二十章4 【アンサー・クリエイト/第10席戦2】4/フィナレエンデの17日間3
3日目は、【芳一】の親族への報告だ。
親族には今までのことを正直に話すことにしたのだ。
【芳一】の双子の兄、【唯野 徳太】現在、40歳は、
「そっか。
あいつ(【芳一】)はそんな事をしてたのか。
ははっ、昔からぶっ飛んだ奴だとは思っていたが、とうとう想像の枠を遙かに超えてきたな」
と言った。
上の姪の【詩遊】は、大学生2年生になっていた。
下の姪の【瑞紀】は、高校2年生になっている。
【徳太】の妻、【千絵美】は、
「娘達は【芳ちゃん】に会いたいと言っていましたよ」
と言った。
残念ながら2人はこの場に居なかった。
だが、意外な事が1つ。
【詩遊】は付き合っていた【大門 隼人】と別れていた。
そして、【隼人】は【詩遊】の妹、【瑞紀】と付き合う様になっていたと言うのだ。
そう言えば、3年前の当時から、【隼人】は、【詩遊】の情報を聞き出すために、【瑞紀】に昼食を奢ったりして一緒に連れ回していた。
その頃から馬が合っていたのかも知れない。
3年も現実世界を留守にしていると色々あるという事である。
【芳一】の母の世話もしている姉の【遼子】の家族にも同様の報告をした後、【フィナレエンデ】は、【100音改変】という【100文字の言いにくい言葉を噛まずに言えたら何かを改変する力が肯定される】と言う力を使って、【芳一】になりきる事にした。
明日以降、それが原因で、10日目まで【芳一】の代わりに絡まれる事になるのだが、今日の所は、
『ふぁほりあおらおほおいさらのいっこほおほいらおこほろあほいもおほこほおかこらおまおわらほこせてこうっててこさららこはらこさまこほせいらあたもあああされおうぇらたわたせてえだえらたざわおらほたこだこたあ』
と言ったかと思うと、【フィナレエンデ】は【芳一】に変身して、彼の日常を楽しんだ。
地元を歩いているだけで、
「あ、【芳一君】、ちょっと寄ってってよ。
良いのが入ったんだよ」
「【唯野君】、【唯野君】、ちょっと聞いてよ」
「【唯野】のおじさん、ちょっと助けて欲しいんだけど」
「あ、兄ちゃん兄ちゃん、最近来てくれないじゃないか。
また寄ってってよ」
などの様に色んな人から声を掛けられた。
【芳一】の人柄を示しているのだろう。
何となく、【フィナレエンデ】は心地よい気持ちを味わっていたのだった。
だが、楽しかったのはこの日だけで、次の日から彼女は【芳一】の代わりにトラブルに巻き込まれる事になる。