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Last reverse  作者: 螺鈿
last reverse〜actors are arranged〜
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番外編:意外すぎるカップリング

「………………」


「………………」


「………………」


「ねえそろそろ喋っていぶごぉ」


「黙りなさいいいとこなんだから!」


「黙って見つめあってるだけでござるよ?」


「ていうかなんなんだこれ」


 エスティオン基地内、食堂。週三回のみ開かれ豪華な食事が楽しめるその場所にて彼らは向かい合っていた。周囲は見た目も味も美味しい料理を食卓に並べながら楽しく談笑しているというのにその卓には毒虫を煮込んで掻き混ぜたようなゲテモノ料理とワイン×塩辛とかいうこの世の終わりみたいな組み合わせの料理しか並んでいない。


 更に向かい合う両者は表情一つ動かさずまた一切動くことはない。地蔵か。石化されたのか。


 そしてそんな卓を食堂入口から覗き見る酔裏を除いた第三十二代第八魔神獣討伐用精鋭神器部隊……通称フリシュ部隊の面々。


「酔裏と鬼路様……呪詛の女王と酒好きの剣豪。お互い無口だし何考えてるかわかんないしなにこれ」


「私だってわかんないけど……なんか、いいわ。きっと恋よ。そうに違いないわ絶対そうよ!」


 フリシュ部隊の頼れる呪詛……後方支援役、酔裏蜜香。そして最上第九席第二席、鬼路鐘充。彼らの視線の先の卓ではこの二人が向かい合っている。


 一体何故こんな絶望的な食卓が生まれてしまい、更にフリシュ部隊の面々がそれを眺めているのか。時は数十分前に遡る。


 ――――――


蠱毒こどく……いえ臓物ぞうもつ宝船たからぶね、流出する呪骸じゅがい、怨恨鎮めし用無しの鎮魂石……ひへ、ひへへへへへ……」


「今日も絶好調でござるな、酔裏殿」


「俺はアレを絶対に絶好調と認めたくないけどな」


 基本的に彼らに与えられた部屋はとにかくうるさい。


 フリシュは暇さえあれば筋トレしたり春馬たちと談話してるし盲全は本読みながら泣いたり怒ったり忙しいし春馬と天爛はカードゲームに勤しんだり周囲を見ながらアホみたいな大声で笑ったり会話したり神梅雨はいなかったり……


 そして酔裏は部屋の隅で呪詛を唱えたり。


 単体として見ればうるさいどころか微笑ましいそれらであるが集まればやかましいことこの上ない。特に酔裏の呪詛は絶え間なく流れ続けるため聞いてて精神を病みそうになる。


 前言撤回しよう呪詛は単体で見ても微笑ましくない。


「……?ああ……ひへへ、食事の時間……」


 ふと思い立ったように酔裏が立ち上がり部屋の扉を開けた。腹の虫が鳴いたのだろう。


 それを見た他の面々もやっていることを切り上げ立ち上がった。今日は食堂が解放される日、好きな物を食べよう。


 酔裏がムカデや蜂の死骸等絶対に食事時に持っていくべきでは無いものたちと共に扉の外に一歩踏み出す。そしてそれと同時に何かにぶつかりすっ転んだ。


「…………酔裏蜜香、か」


「……ええ……そうですけど、何か……」


 扉の先にいたのは鬼路鐘充。基本的に何を考えているかわからず無口な最上第九席の一人。また無類の酒好きであることで知られ、その好きさたるやいつも携帯している刀の鞘の中には酒が入っているのではないかと噂されるほど。


 そんな彼は尻もちをついている酔裏の手を掴み立ち上がらせると、そのまま手を離さず引っ張ってどこかに連れて行った。酔裏も何が何だかわからず抵抗すらできていない。


 一部始終を見ていた他の面々も呆気に取られるが、一番早く現実に戻ってきた盲全が他のメンバーの頬をぶっ叩き現実に戻ってこさせると二人を追いかけ始めた。


「えちょ……どこ行くのさ盲全ガール!」


「ばっかこんなん追いかけるに決まってんでしょ!?これはきっと、あれよ!えと……あれよ!」


「珍しく語彙力が崩壊してるでござるな」


「そういえばさっき恋愛小説読んでたなあいつ」


「あっちゃー恋愛脳になっちゃってるかー」


 頬を紅潮させたまま本職の忍者みたいに忍び足で二人の跡を付けるとかいう傍から見ると変態的なムーブをかます盲全。そんな彼女を見て触発されたのかより高度な次元の忍び足を見せる天爛。呆れ笑いを浮かべながらその後ろを歩く男性陣。


 後にこの光景を見ていた他部隊の人間は言った。


『変人部隊に改名でいいんじゃないかな』


 そうして彼らが辿り着いた先は食堂。鬼路と酔裏は各々の食べたい料理を頼み食卓につき、今に至るという訳だ。因みに料理が運ばれてから既に十分程経過しているが一切会話も動きもない。雰囲気はもはや地獄と化している。


 だが本人たちはさほど気にする様子もないというのが不思議だ。寧ろ心地よさそうにしているのは気の所為だろうか。気の所為だと思いたい。


 盲全は一人で「きっとあれね!あれよ!あれに決まってるわ!絶対そう!」とか一人で興奮してるが他のメンバーはそろそろ飽きてきた。盲全には悪いがさっさと注文に向かおう……そう思い立ち上がった。が、その瞬間!


「来たわよあんたたち!」


 立ち上がろうとした他メンバーの頭を押さえつけ盲全が叫んだ。見れば鬼路が酒を一口飲んでいた。


 チラリとその様子を見た酔裏もゲテモノ料理に手を付ける。毒虫の甲殻を剥がしフォークでぷりぷりの身を引きずり出す。紫色の液体が滴るそれを口に運んだ瞬間、酔裏の顔に今日一番の笑みが浮かんだ。正直怖い。


「…………いい、笑顔だ」


 鬼路が静かにそう言う。フードを被っているせいで顔は見えないが、恐らく笑っているのだろう。


 酔裏もフォークを置いて答えた。


「もぐ……鬼路様も、えと、顔が見えなくてかっこいいです……ね?闇っていうか……」


「……褒めることがないなら無理に褒めんでいい」


「……はい」


 その会話を聞いていた一同は……


「え何あの会話……怖……」


「いくらお互い会話下手って言っても限度があるぞ……」


「さすがに、ちょっと……でござる……」


「凄いわ、凄いわ!口下手な二人が交わす会話!言葉に出来ない愛の想い!これこそ恋だわ!ねえフリシュ!」


「ちょっとわかんないかな〜」


 盲全だけ異常に興奮しているが、普段から無口でまともな会話が下手な二人の会話はもはや恐怖だった。


 だが、少し面白い。あの会話の中に放り込まれたらと思うと恐怖しかないが、傍から見ている分にはかつてあったという『漫才』とやらを見ているようだ。


 一同が先程と打って変わって固唾を飲んで二人を見守る。この先どんな会話が繰り広げられるのか、彼らの興味は完全に料理からその会話の行く末にシフトしていた。


「時に、酔裏蜜香」


 来た!普通の人間基準では気まずすぎてそのまま解散になってもおかしくない雰囲気から鬼路が話しかける!


 更に使用したワードはどんな状況からでも自分がしたい話に持ち込める会話において最強のカード、【時に】!さあどんな会話が繰り広げられる!?どんな言葉が飛び交う!?

どうなってしまうんだーーー!!??

ご拝読いただきありがとうございました。

ブックマーク、星五評価、いいね等よろしくお願い致します。まだまだ新米の身、ご意見等ございましたら遠慮なくお申し付けください。ではでは。

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