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『神器』を持つ伯爵

ヒルコとラミアは無駄に巨大な黒い屋敷の前で立っていた。


屋敷から使用人達が現れ、二人を屋敷の中へ招き入れた。


赤色の絨毯が敷かれた長い廊下を延々と歩く。さすがに二人が辟易してきた頃、目の前にようやく扉が現れた。


「ようこそラミア様。美しい貴女を首を長くしてお待ちしていました」


扉を開くと男の声が響いた。


大広間の中心で、男が両手を上げていた。男の背後には巨大な十字の板が立っていた。その後に大勢の人間が控えていた。


「私はアレン・ウルフ・ガイア。こうしてお話をするのは初めてですね」


アレンは頭を下げた。


「ええ。そうですね。初めましてラミアと申します」


「おぉ。声も素敵だ」


アレンはラミアを絶賛する。


彼は黒い動物の毛皮で作られたコートを身にまとっていた。


寒がりなのかな? そんなことを考えながらラミアがしげしげとコートを見つめた。


「これが気になりますか? この服こそがガイアに伝わる『神器』です」


誇らしげにアレンが毛皮を撫でた。


「二百年前、当時のガイア家当主が獣の神『フェンリル』様から頂いた『真神の毛皮』です。肉体を強靭なものに変化させる力があります」


「美しい毛皮ですね」


「ありがとうございます。ちなみに、それはラミア様の奴隷ですか?」


「はい。ヒルコと言います」


アレンがヒルコに視線を向けた。じろじろと舐めるようにヒルコを上から下まで観察してくる。


「これは素晴らしい奴隷だ!」


パチパチとアレンが手を叩いた。


「ありがとうございます。それよりも、この度はパーティーにお招きありがとうございます」


「いえいえ。パーティーと言っても、ガイア領地内のささやかなものです。正直言って、王族のラミア様を誘うのは失礼かとも思ったのですが、ラミア様を一目見た時から貴女に心を奪われてしまい、貴女に合いたい一心でパーティーに誘わせていただきました」


「いえ、そう言っていただけると嬉しそうです」


「パーティーを始めましょう。さぁ、こちらに」


そう言ってアレンはラミアとヒルコを先導する。


二人は十字架の後へと案内された。


十字架には真っ黒い何かが張り付けられていた。


それを見て、ラミアは息を呑む。


「さて、それではパーティーを始めましょう! 乾杯!」


真っ黒に焼かれた人の死体の前で、アレンが叫んだ。







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