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僕と妻〜朝ご飯〜

作者: HARU

 カチャカチャと小気味の良い音と、トーストの良い匂いが漂ってくる。一年前までは想像もできないことだったな。


 そう思いながら階段を降りていく。扉を開け中に入っていくと、そこには思った通り、トーストが置いてあった。


「あっ、おはよう!もう少し待ってて!すぐ作り終わるからっ。」


 そう台所から話しかけてきたのは、先月結婚した僕の妻だった。


「わかった。じゃあ顔を洗ってくるよ。」


ただ待つのも退屈だからと、洗面所に向かった。洗面所には歯ブラシが二つ。これもいまだに見慣れない光景だった。


顔を洗い終え、リビングに戻る。

すると、テーブルにはさっきのトースト以外に、サラダと目玉焼きがあった。席に着くとすぐに妻が向かいに座ってきた。そして一緒に手を合わせる。


「いただきます!」


合唱の声を合わせ、一緒に言う。最近はこれが恒例になってきた。


トーストにバターを塗り口に運ぶ。ただのトーストのはずなのに、妻と一緒にいるとなぜかとても美味しく感じる。次に目玉焼きを口にする。これも美味しい。


 僕の妻は天才なのだろうか。普通のご飯をこんなに美味しく作れるなんて。


 点いていたテレビに目を向ける。時間は七時十五分を表示していた。まだまだ時間はあるが新卒の会社員である僕が遅刻する訳にはいかない。少し急ぎめに朝ごはんを食べ終える。


「ごちそうさまでした。」


再び合唱をし、洗面所に向かい歯を磨く。


「たっくん。スーツにアイロンかけておいたよ〜。」

リビングから声が聞こえてきた。とてもありがたい。


 洗面所から出て、制服に袖を通す。


「あっ、ネクタイずれてるよ。」


 着終わると妻がネクタイを締め直してくる。完璧すぎないか?この子は。


 靴を履き、カバンを肩にかける。振り返り妻と向き合う。


「それじゃあ、舞。行ってきます!」


 声をかけ扉を開き、家を出る。その際にまた声が聞こえた。


「晩御飯はハンバーグだから!」


 僕の大好物じゃないか!なんて良い妻なんだ。僕には勿体無いほどだ。


 妻が残した言葉を胸に、軽やかに足を運んでいく。晩御飯が楽しみだ。


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