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定年間際の竜騎士  作者: だいごろう
第二章 【王国の秘密】
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ドラゴンの入れ墨






【※残酷なシーンが描かれています。

苦手な人は、読まないようにしてください。】






さっき見た魔法の威力だと、

木下の『火柱』よりは小さいと見た。

多少の被弾を覚悟して、押し通るしかないか。


ヒュン!ピュン!


「はっ!」


スラァッ!


矢を避けつつ、剣を抜き、

村の入り口へ向かって走り出す!


ボォッ!


炎の円が目の前に広がったが、

よく見れば、3mほどの大きさしかない。


「ちっさいな!」


砂地で足をとられるが、

魔法が発動する前に、

あっと言う間に、炎の円を駆け抜ける!


「うげっ!」


「騎士様!」


すぐ村の入り口に辿り着く!

目の前に立ちはだかる騎士には、

どこにも入れ墨がない。一般の騎士か。


「くっそー!」


目の前の騎士が剣を振り上げるが、

あまりにも遅すぎる。


ドシュ!


騎士が振り上げた腕を

オレの剣が切り上げる!


「ぐわぁぁぁーーー!」


剣を持った騎士の右腕が空中へ飛ぶ。

痛がる騎士の胴体に、

勢いよく蹴りを入れて・・・


ドカッ!


「ふッ!」


その勢いのまま、ジャンプする!

切り上げられた騎士の剣を空中で拾って・・・


「ふんッ!」


ビュッ!


屋根上にいた騎士に投げつけた!


ドスッ!


「あぐぅッ!」


殺せるとは思っていなかったが、

うまく騎士の足に剣が刺さり、

弓使いの騎士が屋根上から転げ落ちる。


オレは転がりながら着地した。

やはり村の中は、砂地ではない。土の地面だ。

着地と同時に、

魔力の高まりを感じた方向を見ると、

野次馬の村人に混じって、

三角の帽子をかぶった女の騎士がいた。


「おのれっ!

わが魔力をもって、千の氷の矢を成し・・・。」


女の騎士の魔力が高まり始めた!

こんなに村人が大勢いるのに!?


「うわぁぁ!」


野次馬の村人たちが、

その女の騎士たちから離れていく。


ダッ!


オレは、すかさず

女の騎士へ向かって走り出す!

女の騎士の頭上に、

いきなり、氷で出来た矢が数多く出現した!

しかし、オレのほうが早かった。


ドスッ!


「ぐっ!!!」


女の騎士の胸に、剣を突き刺した!

剣は、鎧ごと体を貫いた!

女の騎士の頭上に出来ていた

氷の矢が次々に消えていく。


ドサッ!


「うっ!」


そこへ、屋根上から弓使いの騎士が落ちてきた。

女の騎士の体から、剣を抜き、

落ちてきた騎士の元へ走る!


「あっ!」


ドシュッ!


起き上がろうとしていた

弓使いの騎士の首をはねた!


「あぁぁー! う、腕がぁぁぁ!」


最初に村の入り口で、腕を切られた騎士が、

無くなった腕の部分をおさえながら

地面でジタバタしている。

こいつは戦意喪失しているようだし、

あれだけジタバタしていれば、

出血多量で、勝手に死んでしまうだろうが・・・

オレは、村の入り口まで駆け戻り、


ザンっ!


容赦なく首をはねる。

痛みを感じるツラさから解放してやる・・・。


「ひっ! ひぃぃぃぃー!」


「盗賊が騎士たちを殺したぞー!」


「助けてーーー!」


さっきまで意気込んでいた村人も、

野次馬で集まっていた村人たちも、

蜘蛛の子を散らすように

その場から逃げていく。


しかし、なんだ・・・

オレが盗賊に間違われているのが、

腹立たしいな・・・。


周りの気配を探るが、

逃げていく村人の気配しか感じられない。

魔力の高まりも感じないから、

この近くには、騎士たちがいないようだ。


「ふぅ・・・。」


ブンッ! ビシャッ!


剣に付いた血を振り払う。

乾いた土に赤い血が染み込んでいく。

ひと息ついたが、気は抜けない。

戦える騎士たちが、あと何人いるのか、

分からないからだ。


とりあえず、村の入り口から

まっすぐ、中央に向かって歩きながら

周辺の気配を探る。


村人たちは、みんな

家の中へ避難したらしい。

完全に、オレを盗賊と間違えてやがる・・・。

村の自警団みたいなやつが出てきたら、

殺すわけにもいかないし、どうしよう?と

考えているうちに・・・


「!!」


村の中央に辿り着いた。

そこは、広い場所になっていて、

小さな噴水があった。


その噴水の前に・・・一人の騎士がいた。


黒っぽい鎧に身を包み・・・

オレよりかなり背が高い。

短髪の黒髪・・・。

顔を見ると、オレよりは若いが

そこそこ歳をとっている。

オレを見るなり、その男は、

右の腰にあった剣を

左手で抜いた・・・左利きだ。

そして、その左腕に入れ墨が見える。


はっきり見えないが、

左腕に、巻き付くような柄の入れ墨・・・

『ドラゴン』の入れ墨だろう。


クラテルに聞いた特徴と一致する。

何より、こいつのまとっている空気が

強者を感じさせる。


間違いない、

こいつが『窃盗団』のリーダーだ。




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