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定年間際の竜騎士  作者: だいごろう
第二章 【王国の秘密】
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第二陣の脅威





「はぁはぁ・・・暑い~・・・はぁはぁ・・・。」


また『ボルカノ』へと向かって走る。

砂に足を取られ、うまく走れない。

というか、戦いよりも、この砂地を走るほうがツライ。

さきほどよりも気温が高くなってきている気もする。

さっき飲んだ水が

もう汗となって噴き出している・・・。


本来なら、こんなのは下っ端の役目だ。

・・・レーグルに任せたいところだが、

騎士団たちと顔見知りのレーグルでは

この役目は果たせない。


やっと『窃盗団』を3人倒した。

少数精鋭の騎士団・・・『窃盗団』は、あと約27人・・・。

そのうち、強い騎士は、リーダーを入れれば、

まだ、あと8人いることになる。

27人以外のやつらは、

ほかの村から募った村人だろうから

はっきり言って戦力にならないので数えなくていい。


強い3人の騎士がやられたとあっては、

次は、やつらも本腰を入れてくるだろう。

さっきより多い人数でくるか・・・

もしくは、いきなりリーダーが出てくるかもしれない。


対して、こちらは・・・

木下の『火柱』の魔法は、あと1発しか撃てない。

さっきよりも多い人数が固まっていれば、

1発で、数人はやれるかもしれないが・・・。

そのあと、魔法を避けた騎士たちを、

オレがどれだけ倒せるか・・・。

レーグルが一人でも倒してくれるといいのだが・・・。


いかん、弱気になったらダメだ。

もう勝負は始まっているのだから、

あとは全力を尽くすのみだ!




「はぁはぁ・・・ぜぇぜぇ・・・。」


オレは演技じゃなく、本気で息が切れていた。


「おい! 貴様!

そこで止まれ! 止まれ!」


オレだけが小高い丘から戻ってくるのを

ずっと村の入り口で見ていた、

さっきの副団長と呼ばれていた男が

オレに呼びかけてきた。


「俺たちの仲間はどうしたぁ!?」


「はぁはぁ、助けてくれ!

さっきの騎士がやられた!」


「嘘だろ、おい!」


村の入り口にいる騎士たちや村人たちが

一斉にざわざわし始めた。


「まだ全員やられたわけじゃないが、

女の騎士がやられた!

オレたちだけじゃ手に負えない!

早く応援を呼んで来いと言われたから、

オレが呼びに来た!・・・はぁはぁ・・・

早く、早く来てくれ!」


必死になって状況を説明する。

さすがに騎士たちが全滅してることは

有り得ないと思われてしまうから、

一人だけやられたことにする。


「そんな! ハイカが!?

まだ息はあるのか!?」


取り乱す騎士が、そう聞いてくる。


「わ、分からない!

とにかく敵が強すぎて!

情けないことにオレは逃げるのに必死だった!」


「この役立たずが!!」


「それでも傭兵か!!」


数人の騎士たちから非難を浴びる。

仲間がやられているのに、

役に立っていないおっさんが生き残っていると知れば

誰でも罵倒したくなるものだ。


「俺が行く!」


取り乱していた騎士が群れの前へ出てくる。

三角の帽子・・・あいつも魔法に優れた騎士か。


「は、早く来てくれ!」


オレがまた来た道を走り出そうとしたら、


「待て!!!」


副団長と呼ばれている男が

大声で呼び止めてきた。


「・・・お前は、ここに残れ!」


「なにっ!?」


「お前は、逃げ回っているだけなんだろう?

だったら足手まといだ!

『キラウエア』の場所は、さっき爆炎が立ち昇った

場所だろうから、ほぼ方角が分かっている。

俺たちだけで討伐に行く!」


それは、ヤバイ!

やはり副団長は、オレを疑っている。

こいつは騎士として、精錬された感覚の持ち主だな。

敵として、あっぱれだが・・・

今は、敵を称えている場合じゃない。


「ふざけるな!

逃げ回っていても、オレはオレで戦ってるんだ!

あんたの指図は受けない!

助けてくれないなら、オレは一人でも行くぞ!」


オレは半ば強引に、来た道を走り出した。

ここで足止めを食らうわけにはいかない。


「あ、待て!! こらぁー!!

くっそー! あいつら、何やってんだ!

たかだか『キラウエア』一匹!」


副団長の男が苛立ちながら、

そう言っているのが背後から聞こえた。


「ハイム! お前は、このことを団長に知らせろ!

ジェシカとライドはここに残れ!

ほかのやつらは、みんな、俺についてこい!!」


「うおぉぉぉ!!!」


背後から大勢の声が聞こえたかと思ったら、

村の入り口から、次々に、騎士たちが出てきた!

だいたい10人以上? いや、20人以上か?

うまく誘い出せたのはいいが、

一気に攻められたら、こちらはひとたまりもない。

・・・これは、かなりヤバイかもしれない。


しかし、こんな『おびき寄せ』作戦は、

そう何度も通じるものじゃない。

たぶん、この第二陣で限界だ。

だから、これはチャンスでもある。


「はぁはぁ・・・。」


「ぜー、ぜー・・・あのおっさん・・・。」


「はぁはぁ・・・あいつ・・・はぁはぁ、

本当に、逃げ足だけは早いな・・・はぁはぁ・・・。」


副団長と呼ばれた男まで出てきている。

腕に入れ墨がある、剣技に優れた騎士・・・。

果たして、オレの剣は通じるのか?

相手がオレ以上の実力ならば、

オレたちは全滅だな・・・。




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