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定年間際の竜騎士  作者: だいごろう
第二章 【王国の秘密】
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クラテルとの別れ




「あっつ・・・。」


クラテルも木下も、涼しげな顔で

料理を食べているが、

オレだけが汗をかいて料理を食べていた。

か、辛い・・・辛すぎる。

舌の感覚がなくなりつつある。

・・・酒が飲みたい。


「では、説明は以上になります。

ほかに質問がなければ、これで解散しますが?」


クラテルが一通り説明を終え、

オレたちのランチも終わりを迎えた頃、

木下が、クラテルに質問した。


「最後に聞きたいのですが、

相手のリーダーは、どこの生まれですか?」


「えっ?」


クラテルが驚いている。

オレもびっくりだ。

突然、なにを言い出すんだ?

そんなこと聞いて・・・


「えーっと・・・

トライゾンは・・・

ちょっと私には、どこの出身かまでは

分かりません。申し訳ない。」


クラテルは、本当に

申し訳なさそうに答えた。

そりゃそうだ。

そこまで調べているヤツなんていないだろ。


「そうですか。別に深い意味は無いです。

ちょっと気になったもので。」


木下はそう言ったが、

こいつほどの頭のいいやつが、

無意味な質問などするだろうか?

何か意図があるのだろうな。


「あー、そうだな・・・最後にひとつ。

この国でよく見かける魔獣は

どんなタイプだろうか?」


オレはオレで、気になることを

最後に質問した。


「この国でよく見かける魔獣は、

『キラーウルフ』というオオカミタイプと

『ギガントベア』というクマタイプです。

ほかにも、『キラウエア』という土の魔物が

たまに見かけられますね。」


やはり『キラーウルフ』以外は、

『ソール王国』では、あまり見かけない魔獣のようだ。

一応、クラテルに、

それらの魔獣の特徴や倒し方を教えてもらった。

特に『キラウエア』は、魔獣ではなく

土の魔物で、もともとは精霊の類だったエネルギーが

悪い物に変わって、人を襲うという話だった。

この国を旅している途中で遭遇しても

倒し方さえ分かっていれば、なんとか生き延びれるだろう。


「私は、これから南西方面の馬車へ乗ります。」


「そうか。オレたちは、このまま東へ。

次は、王都行きの馬車かな。」


「王都へ着かれたら、馬車の停留場から

王城へ向かう途中にある宿屋がおススメですよ。

宿屋の名前は『モアーナ』。

そんなに高くない上に、いい部屋があるって評判です。」


「それはいいことを聞いた。

ありがとう。

今夜はそこに泊まることにするよ。」


オレたちは席を立つ。


「もうお会いすることがないかもしれません。

今一度、お礼をさせてください。

本当に、ありがとうございます。

このご縁を与えてくれた神様に感謝します。」


クラテルは深々と頭を下げた。

本当に、こいつはマジメなヤツだ。

・・・きっと親父殿の自慢の息子だったことだろう。


「この事件が無事に解決することを願おう。

そのために、微力ながらオレたちも協力させてもらう。」


クラテルと握手した。


「無理はするなよ。元気でな。」


オレが親父殿ならば、最期にこう伝えたい。

そう思い浮かんだ言葉をクラテルへ送った。


「はい!佐藤殿も姪っ子さんも、お元気で!」


会計を済ませ、3人で店を出て、

そのまま店の前で解散した。




本来なら、このまま停留場へ行くところだが、

オレたちには、もうひとつの目的があった。

傭兵斡旋会社が、この町にあるかどうか。

クラテルに聞いても良かったのだが、

オレが傭兵じゃないのがバレそうだったので、

クラテルじゃない、町の一般人に聞き込みすることに。


「『ヒトカリ』なら、この町の北東にあるけど

今は、大した仕事はないらしいぞ。

稼げる仕事は、だいたい王都にある『ヒトカリ』で

出されているらしい。」


路上で、真っ赤に焼けている鳥を

売っている店で、店員に聞いてみたら、

すぐに『ヒトカリ』の情報がもらえた。

ついでに、その真っ赤に焼けた鳥を勧められたが

おなかいっぱいだったので遠慮させてもらった。


「ところで、その『ヒトカリ』に

登録する方法って知っているか?」


知らないことだったので

木下に聞いてみたのだが、


「私も登録はしたことがないので、

分かっていませんが、そんなに難しいものじゃないと

聞いたことがあったような・・・。」


木下でも知らないことか。


「ま、行ってみれば分かることか。」


オレはそれ以上考えることをせず

とにかく、その『ヒトカリ』という会社を

目指して歩き始めた。




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