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定年間際の竜騎士  作者: だいごろう
第三章 【聖騎士とバンパイア】
242/501

シュバリの宿舎




町『シュバリ』の北側へ、教会から数百m歩いた場所に、

デーアが言う宿舎があった。

鉄柵の入り口から建物までの距離が数十mあり、その距離の間に、

オレの身長と同じぐらいの大きさの石像が数体並んでいる。

小さな池から噴水が出ていて、その水飛沫に

夕日が当たり、オレンジ色の飛沫がキラキラ輝いて見える。

建物は、真っ白な石造り。

玄関と思わしき大きなドアまでの道は、石畳で出来ていた。

建物が、まるで宮殿のように、とんでもなく大きくて・・・まさに豪邸だ。


「うっわぁ・・・すっげぇ・・・。」


布で覆われているが、きっとシホの口は開いたままだ。

言葉を失っている。


かくいうオレも、まさかここまでの豪邸が

宿舎だとは思っていなかったので、驚いている。

しかし、他国の要人を宿泊させる施設なのだから、

これぐらい見栄を張るというか、

これぐらいのおもてなしは、お金持ちや要人からすれば

普通の対応なのだろうな。

現に、木下は、そんなに驚いていない様子だ。


ドアの前に、さきほどまで馬車を操縦していた執事が待っていた。


「お待ちしておりました。どうぞ中へ。」


執事が、重そうなドアを開けると、

中の明かりが漏れてきて・・・

建物の中は、広大な場所だった。

真っ赤な絨毯が敷き詰められていて、

天井からは、明るいランプがたくさんぶら下がっている。

壁には、大きな絵画が張りつけられている。


「ふわぁ・・・。」


ニュシェが天井を見上げて、

口が開いたままになっている。


目の前の広い場所に、大きな階段が見える。


「みなさんの宿泊部屋は、2階にあります。

部屋には番号がありますので、みなさんにそれぞれ、

この番号がついた部屋の鍵をお渡しいたします。

みなさんのお荷物は、すでにお部屋へ運んでありますので。」


そういうと、執事は

オレたちに部屋の鍵を渡し始めた。

あまりの執事の手際良さに、驚いた。

このまま宿屋として経営しても務まるほどだ。


「あー・・・もしかして、1人一部屋なのか?」


「左様でございます。」


オレの思った通りの返答だった。

これだけ大きな宿舎なのだから、やはりそうなるよな。

ありがたい。


「え、みんなと離れ離れなの?」


ニュシェが、少し寂しそうな表情になって

そんなことを言う。


「私も、ニュシェちゃんとおじ様と離れるのは、ちょっと・・・。」


木下も便乗して、そんなことを言い出す。


「おいおい。」


ニュシェは、ともかく

木下は、もうそういう歳ではないだろう。


「お部屋はこちらで勝手に用意しましたが、

みなさんが、どの部屋で寝るかは自由でございますので。

割り振られた部屋は、荷物を置くためとお考えいただければ。」


執事は、すぐにニュシェと木下へそう言った。

それを聞いて安心した表情を見せる2人。

この執事、あっという間に2人の問題を理解し、

すぐに答えを用意したのだな。さすがだ。


オレたちが、ぞろぞろと階段を上がっていく時、


「それから、そろそろ夕食のお時間ですので、

食事の準備ができ次第、各部屋へ呼びに行きます。」


執事がオレたちに向かって、そう告げた。

まさに、『至れり尽くせり』の高級な宿屋のようだ。


2階に上がったが、2階には長い廊下に宿泊部屋がズラリ。

これなら、団体の客人でも余裕で泊まることが出来るだろう。


「今さらだが、ここの宿泊代は・・・?」


と、本当に今さらながら、オレは

無粋なことをデーアに聞いた。


「もちろん、キミたちは私の客人として

ここに招いたのだから、宿代など要らないよ。」


半ば予想していたが、ありがたい答えが返ってきた。

ここまでの待遇を受けたことがないので

さすがに恐縮してしまう。

しかし、ここまでしてもらっておいて、

断るのも、それはそれで失礼に当たるだろう。


「ありがとう。恩に着る。」


「ありがとうございます!」


「ありがとう、デーアさん!」


みんな、それぞれにお礼を言った。


「礼には及ばない。

これは、キミたちへのお礼も兼ねているんだ。

この国を救ってくれたキミたちへの報酬と思ってくれたらいい。」


デーアは、そう言った。

デーアが、そうしたいのなら・・・ありがたく受け取っておこう。



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