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定年間際の竜騎士  作者: だいごろう
第三章 【聖騎士とバンパイア】
228/502

数の暴力



【※残酷なシーンが描かれています。

苦手な人は、読まないようにしてください。】






「!!」


突然、アンヘルカイドの魔力が高まり、

『マティーズ』たちがいる方向へ手をかざす!


アンヘルカイドと『マティーズ』たちの距離は30mぐらいあるが、

アンヘルカイドを取り囲んでいる騎士たちがいる!

やばい!


「法術・ウィンドミル!」


ビュォォォォォ! バババババババ!!


アンヘルカイドの手から、突風が吹き荒れて!


「ぎゃっ!」 「あっぐぅ!」


ザザン! ザシュ! ザザザッ!


周りにいた騎士たちを斬り裂いていく!

まるで、かまいたちのような突風に、

アンヘルカイドを取り囲んでいた騎士たちが、道を開けてしまう!


騎士たちが開けた道の先には、『マティーズ』たちが!


ダッ


オレは、すぐにアンヘルカイドの元へ駆けだしたが、


「ふひっ!」


ドン! ギュオ!


「!!!」


アンヘルカイドが、地面を蹴って、

恐ろしい速さで、騎士たちが開けた道を飛んでいく!

あの巨体で、なんという速さ!

やつが、あっという間に『マティーズ』たちの元へ!


「ア、アンヘ・・・!」


ドゴン!


テゾーロが剣を抜く間もなく、

アンヘルカイドの剛腕で殴られ、吹き飛んだ!


ガシャーーーン!


テゾーロの体が、民家の窓を破り、

そのまま民家の中へ消えた!


「テゾーロッ!」


「このっ!」


ガンッ!


イヴハールが剣を抜いた瞬間に、

今度はイヴハールも殴られて吹き飛ぶ!


「ぐぁ!」


ドカッン!


イヴハールは、アンヘルカイドの拳を

剣で受け止めていたが、吹き飛んだ先の

民家の壁に激突した!


そのまま崩れ落ち、起き上がってこないイヴハール!


「っ! イ、イヴ・・・!」


残されたカトリーノが、震えた声で

イヴハールを呼ぼうとしたが、


ポタッ ポタッ


「ひぃっ!」


「スンスン、ス~~~・・・あ~~~、たまんねぇな~~~!

こうして、近くでニオイを嗅いでると、

のども乾いてきたし、腹も減ってきたな~~~・・・。

じゅるっ! ふひひひひひ~!」


カトリーノの目の前に、アンヘルカイドの

よだれが落ちる。

口の周りについている血が混ざって、赤い色の涎だ。

カトリーノは、恐怖で声も出せず、

体が硬直しているようで、逃げることもしない!


ダメだ、オレの足では間に合わない!


その時、背後で複数の魔力の高まりを感じた!


「法術・クードゥヴァン!」


ドヒュウウウウウウ!!


「!!」


どうやらキカートリックスの『法術』が発動したらしい!

強い突風が、オレの背中に当たり、

オレの体がアンヘルカイドのほうへ飛ばされる!

も、ものすごい加速!


「わが魔力をもって、彼の者の速度を奪え・・・!」


それと同時に、オレの背後から

突風に飛ばされてくる魔力を感じる!


「まずは、ひさびさに

快楽から味わわせてもらおうか~・・・ふひひ!」


アンヘルカイドが、カトリーノの服を掴もうとした時、


ヒュッ カッ!


「ぐぁ!」


アンヘルカイドの手に、弓矢が刺さった!

『マティーズ』たちが呼んでくれた傭兵の誰かが

弓矢で攻撃してくれたのだ!

一瞬、ひるんだアンヘルカイド!


間に合った!


「どりゃぁ!!」


ザシュン!!


オレは、やつの背後から、首をはね上げた!!


「ふがっ!!」


アンヘルカイドの異常に膨れ上がっていた

首が切断され、やつの頭が宙を飛ぶ!


ブシューーーーーーー!!


アンヘルカイドの体の首から、

噴水のようにドス黒い血が吹き上がった!


やつの首は斬れたが、オレの体の勢いが止まらず、

そのままアンヘルカイドの体の横を通り過ぎてしまう!


「トント・カダム!!」


オレの後ろから飛んできていた、宿屋の店員が

アンヘルカイドの体に魔法をかけた!


店員は、うまくその場で着地して、


「わわっ!」


カトリーノを抱きかかえて、

アンヘルカイドから離れていく!


明らかに、アンヘルカイドの体の動きが遅くなった!


ゴトン


「ぐがっ!」


アンヘルカイドの体から、3mほど離れたところへ

やつの頭が落ちた!

声がしたから、あんな状態でも声帯が無傷で喋れるようだ。


ドサッ


「おっとぉ!!」


オレの体は、応援に来ていた傭兵たちに受け止めてもらった!


「ふぅ・・・す、すまない!」


なんとも情けない着地で、申し訳なくなる。


ブゥ~ン! ブォォン!


アンヘルカイドの体は、まだ倒れていない!

さきほどの速さはないが、ゆっくりと、

しかし、当たれば大怪我しそうなほどの剛腕を

めちゃくちゃに振り回している!


そこへ

アンヘルカイドの体のところまで駆けつけた店主が、

アンヘルカイドの剛腕をかいくぐり、


「ナイトメア・・・マヒェリ!!」


ヒュヒュッ! ザンッ! ザンッ!

ヒュヒュヒュン! ザザザンッ!!!

ヒュヒュヒュン! ザッザザン!!!


体を高速回転させながら、2本の短剣で

目にも止まらぬ速さでアンヘルカイドの体を切り刻んでいく!


「ぐぁぁぁぁぁ!!! ごふっ!!!」


痛覚が通じているのか!?

アンヘルカイドの頭が、悲痛な叫び声をあげた!


あっという間に、アンヘルカイドの体が、解体された!

完全にバラバラとなった肉塊・・・

まさしく食肉の解体のようだ。

それでも、まだ、ウニョウニョと肉塊たちは動いていた。

ドス黒い血溜まりが、地面に大きく広がっていく。


「はぁ、はぁ!」


一気に体力を使ってしまったかのように

呼吸が乱れている店主だが、すぐに後方へ下がり


「わが魔力をもって・・・!」


魔法の詠唱を始めた!


そうだ、どんなにバラバラに刻んだところで、

やつは回復して、復活してしまう!

オレは、すぐに周りにいた傭兵たちに


「『バンパイア』は、焼却しないと復活してしまうんだ!

みんな、早く、やつの頭も体も燃やしてくれ!」


そう告げた!


「任せろ! わが魔力をもって・・・!」


「わが魔力をもって!」


「わが魔力をもってー!」


魔法が得意な傭兵たちが、一斉に魔法を詠唱し始めた!

図らずとも、魔法のタイミングが合っているから、

これは、魔法の重ね掛けになって威力が上がりそうだ!


・・・となれば!


オレは剣を納め、慌ててイヴハールの元へ走り出した!

テゾーロのほうは民家の中へ入ってしまっているから

魔法に巻き込まれることはないだろう。

しかし、イヴハールは、アンヘルカイドの体から、割りと近い!


ガシッ


「ふんっ」


オレは、イヴハールの体を抱きかかえ、

その場からドタドタ走って、離れた!


「ま、待てよ、ぐはっ! お、い・・・! がはっ!

俺は、せいき、し、だぞ!

お、お前た、ちにも、お、俺の・・・ふひ!

ち、血を・・・わ、けて・・・や・・・るから!」


そばに落ちていたアンヘルカイドの頭が、

黒い血を吐き出しながら、なにか喋りかけてきたが、

それどころではなかった!


オレがその場を離れたタイミングで、


「ファイヤァウォオォォル!!」


「ファイヤーウォール!!」


「イグナイテッドォ!!」


「カリエンテ・ヴォルカン!!」


「ファイヤァウォォーーール!!」




ゴッ!!!




ボオオオオオオオオオン!!!




「ぁっつ!!!」


傭兵たち、騎士たちの魔法が発動し始めた!!

初級、中級の魔法が、これだけ重なれば

強力な魔法に昇華する!!

アンヘルカイドの体を中心に、

超巨大な火柱が立ち昇った!!!


範囲はそこまで広くないが、熱量が半端ない!


「法術・アンチウォール!」


「法術・ウォーターディフェンス!」


すぐさま、ディーオとキカートリックスが『法術』を発動し、

付近の民家を、炎の魔法から守ったようだ。




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