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定年間際の竜騎士  作者: だいごろう
第三章 【聖騎士とバンパイア】
201/501

すべてを消し去る炎




その時!


「法術・バーニングウォォォーーール!」


ズッドォォォォォン!!!


「!!」


オレを掴んでいた魔獣の上半身が、

一瞬で、広範囲の炎の柱に包まれた!


通路から出てきたデーアが見えた!

デーアは魔獣に向かって、手をかざし、


「燃えろ! 燃えろ! 燃えろぉぉぉ!!」


そう叫びながら、どんどん魔力を高めている!


ドォォォォォォォ!!!


デーアが放った『法術』の炎は、

魔獣の上半身を飲み込みながら、

さらに炎の柱を高くしていく!

高い高い天井に届きそうな勢いだ!!


「あっ!」


オレを握っていた魔獣の手のチカラが緩み、

魔獣の手が、地面に落ちる!

オレは、魔獣の指にしがみつき、

地面への落下の衝撃にそなえ・・・


ゴトン!


「ぐっ!」


魔獣の手が地面に落ちたと同時に、

その手から放り出され、


ドサッ


「ぐはっ!」


オレは地面に転がった・・・!

落下の衝撃はおさえられたものの、

転がっただけで全身に痛みが走る!


「おじさん!」


オレの元へ、すぐにニュシェが駆けつけた。


「はぁ、はぁ・・・油断した・・・イタタタッ!

すまないが、腰の布袋から

回復用の薬を取ってくれないか?」


「うん!」


ニュシェが慌ててオレの腰の布袋から

回復用の薬を取って、オレに飲ませてくれた。

最後の一本だ。


「燃えろ! 燃えろ! 燃え・・・ろ!!」


ゴォォォォォォ!!!


その間にも、デーアは、

叫びながら『法術』を使い続けていた。

その表情は、鬼のようだった・・・!

魔獣自体が憎かったわけではないだろう。

湧きあがった怒り、憎しみを、

魔獣にぶつけている感じだ。


オレたちは、魔獣から少ししか離れていないため、

オレたちがいる所にも炎の熱が伝わってくる!

熱い・・・!


そして、ついに・・・


ボォ・・・ォォォ・・・


魔獣を燃やし続けた炎が消えた・・・。

残ったのは、大きな骨だけだ。


「はぁ・・・! はぁ・・・!」


デーアが、ヒザを地に落とす。

おそらく魔力を使い切ったのだろう。

そのまま・・・


バタッ・・・


「あ! おい!」


デーアが倒れた。

店主が、よろよろとデーアに駆け寄る。


「き、気絶しちまったようだ・・・。」


店主がデーアを抱き起しても、

デーアはぐったりしていて、目を開けなかった。

完全に意識を失っているようだ。


「ふぅ・・・。ありがとう。」


回復用の薬を飲み干したオレは、

ニュシェにお礼を言った。


「ん。」


回復の薬が、すぐに効いてきた。

体中の痛みが和らぎ、腰の痛みも和らいだ。

幸いにも、骨や内臓に異常は無さそうだ。

ただ、竜騎士の剣技の反動で

腰の痛みだけが、

まだじんわりと残っている感じだ。


オレは、立ち上がり、辺りを見渡す。


ミヒャエルの焼死体と

巨大な『ゴリラタイプ』の魔獣の焼死体から

黒煙が立ち昇っていた。

ミヒャエルの下半身は、燃えていなかったはずだが、

いつの間にか骨だけとなっていた。

全身を布状のようなもので巻いていたようだから、

その布に火が燃え移っていったのだろう。


「はぁ、はぁ・・・ふぅぅぅぅ・・・。」


オレは、呼吸を整えながら、

一応、辺りの気配を探る・・・。

しかし、当然ながら、もうオレたち以外の気配を感じない。


「お、終わった・・・みたいだな?」


店主が、ぐったりしているデーアの肩を持って

立ち上がり、オレにそう聞いてきた。


立っているオレたちは、もうボロボロの状態だ。

ニュシェも含めて、もう体力が残っていない。


「この奥も気になる所だが・・・

さらにやっかいな敵が現れても困るから、

今のうちに町へ戻ることにしよう・・・。」


オレがそう提案したら、


「同感だ・・・この聖騎士を運ぶのを手伝ってくれ。

正直、俺ごと倒れてしまいそうだ。」


店主がそんなことを言い出したので、

オレは、店主とは反対側の、デーアの肩を持った。





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