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定年間際の竜騎士  作者: だいごろう
第三章 【聖騎士とバンパイア】
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魔獣たちの爪痕




帰り道は、幸いにも魔獣に遭うことがなかった。

オレたちが町『プロペティア』に戻った頃には、

すでにお昼を過ぎていた。

昨日より、時間がかかってしまった。


町の入り口で、煙が上がっていて、

オレたちはそれを遠くから発見し、急いで戻ってきたが

魔獣は、すでに騎士団に討伐されていた。

騎士団・・・というか、聖騎士によって

討伐されたと傭兵たちが言っていた。


5m越えの魔獣『ゴリラタイプ』が3匹現れたらしい。


町の入り口付近の家屋が火事になっていて、

入り口付近は、町人たちや傭兵たち、騎士団たちも

消火活動で騒然としていた。


魔獣たちを入り口では食い止めきれず、

入り口から数mほど、

大通りに面した民家や店が数軒、破壊されている。

しかし、騎士団や傭兵たちの働きにより、

怪我人は出ても、死人はでなかったようだ。


魔獣の死体のそばに、例の聖騎士の姿を見つけた。

突然、聖騎士の魔力が高まり・・・


「法術・バーニングウォール!」


ズッドォォォォォン!


「!!」


聖騎士が、そう言い放つと、

突然、魔獣の死体の場所に、

5mほどの高さの火柱が立ち昇った!


『法術』・・・本当に詠唱無しで

いきなり、こんな強い火の魔法みたいな威力を

放てるなんて・・・すごいな。


あっという間に、魔獣の死体は燃え尽き、骨だけになっていた。

プスプスと黒煙を立ち上らせている。


「はぁ・・・。」


ガクンッ


聖騎士が、ため息をついていた。

と思ったら、いきなりフラフラしだして、

倒れそうになった!


「ディーオ様!」


すぐ近くにいた騎士たちに助けられ、

聖騎士は、騎士たちに肩を貸してもらいながら


「ま、まだ、あと1体の焼却が残っている・・・。はぁ、はぁ。」


聖騎士は、まだ動こうとしていた。


「お体に触りますから!

残り1体の焼却は、我々がやります!」


騎士たちにそう諭されて、

聖騎士は『教会』のほうへと連れて行かれた。


「『法術』とやらは使いすぎると、

やはり魔法と同じく、

魔力不足みたいな状態になるんだろうか?」


オレは、その光景を見ながら

ふと独り言のように、そうつぶやいた。


「どうでしょうかね。

シエンさんの話では、魔力を消費しないって話でしたが。」


そばにいた木下が、

オレの独り言に反応して、そう答えた。


「でも、今のも魔力の高まりを

確かに感じたけどなぁ・・・。」


あの関所で『法術』を見た時と同じく、

今も、聖騎士の魔力の高まりを感じた。

それは、木下も同じだったようで


「そうですよね・・・。

やっぱり魔力を消費してるとしか思えないですよね・・・。

でも、魔法の詠唱無しで発動していたのも確かだし・・・。

本当に、ナゾですね。『法術』って。」


そう言って、木下も首をかしげていた。


「うーん、『法術』は、俺も詳しく知らないけど、

今の聖騎士様のフラフラな状態は

『法術』だけのせいじゃないかもな。」


シホが、なにか知っているかのように、そう言った。


「ほかに何の原因があるんだ?」


ぐぅぅぅ・・・


「あ・・・。」


こんな時に、オレの腹の虫が鳴ってしまった。


「あははっ! それだよ、原因は。」


シホが笑いながら答える。


「俺たちは、信徒じゃないから

今も朝昼晩と三食きっちり食べてるけど、

聖騎士様たちは、例の『断食』期間中だからな。

今日で、4日目か5日目だったと思うから、

体力的にも精神的にも相当つらいはずだ。」


「なるほど、空腹が原因か。」


数日間、何も食べていない状態で強い魔獣たちと戦う・・・

とんでもなく疲れることは容易に想像できる。

聖騎士ほどの強さがなければ、

魔獣を倒すこと自体が不可能な状態かもしれない。


・・・だからこそ、この時期は、

騎士団だけでなく傭兵たちのチカラに頼るべきだが・・・

あの『十戒の制約』とやらが、

傭兵の協力を求めることを許さない。

国の決まり事が妨げになっているわけだな。


「おい、あっちに逃げたようだぞ!」


「逃がすな!」


ザッザッザッザッザッ・・・


魔獣たちは倒されたと聞いていたが、

やたらと騎士団たちがバタバタと走り回っている。

入り口付近の火事のせいかと思っていたが、

まるで、今も襲撃に遭っているかのように・・・?


「おい、おっさん!

『エグザイル』のほうから煙が!!」


「なにっ!?」


オレたちの向かっている方角、

大通りに面した宿屋『エグザイル』がある場所から

白い煙のようなものが上がっているのが見えた!


「い、急げ!」


ダッ!


オレは、2人にそう言うと

慌てて宿屋へと走り出した!






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