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定年間際の竜騎士  作者: だいごろう
第三章 【聖騎士とバンパイア】
170/502

6匹対1人



バキバキバキッ ガサガサガサッ


森林をかき分けて、こちらに向かってきた

魔獣たちが、姿を現した!


「ギャッホッホッホーーー!」


「ギャッギャッギャ!!」


「ゥオッホッホーーー!」


前方の森林から、ぞろぞろと姿を現した

黒い毛並みの魔獣たちは、6匹・・・

いずれも体長5mを超えている。


挿絵(By みてみん)


6匹か・・・こうして見ると、やっぱり多いな。


「うぉりゃあああああ!」


ドキュンッ


「ゴッ!」


ボコォォォォォン!


姿を現した魔獣1匹に、

『鉄の槍』を投げつけた!

魔獣の胸を貫き、山の斜面に土煙が舞う!


まずは、1匹目!


「ギャッギャッギャッギャ!」


「ゴッホォォォォ!」


それが合図となり、5匹の魔獣が同時に、

こちらへ向かって走り出した!

かなりの速さだ!


バキバキバキッ・・・


「すぅぅぅぅぅ!」


オレは、息を吸い込み、

すかさず足元の『鉄の槍』を手に取り、


「ぅおりゃぁぁぁ!」


地面すれすれの体勢で

下から『鉄の槍』を投げる!


ドキュッッ


「ギャッ!」


ドゴォォォォン!


距離的に一番近い、真正面の魔獣の

腹を貫通した!

その背後の斜面にまた土煙が舞う!


これで、2匹目!


「うっ・・・ふぅぅぅぅぅ・・・。」


無理な姿勢で槍を投げたから、少し腰が痛かった。

右腕が少し熱くなってきた。

そのまま、『鉄の槍』をもう1本取ったが、


「ゴッホォォォォォォ!」


「ウォオッホオォォォォ!」


もう目の前に魔獣たちが押し寄せてきている!

投げるヒマはない!

左から迫っていた魔獣が、右手を伸ばして

オレを捕まえようとしてきた!


「ふんっ!」


オレは、その手に向かって、

手にしていた『鉄の槍』を突き刺してみた!


ザシュ! ブォン!!


「うぉ!」


『鉄の槍』は、先端だけ刺さったが、

魔獣の手の勢いに負けて、はじかれてしまった!

オレは、『鉄の槍』を手放し、後方へ飛ぶ。

それなりの予想はしていたが、

やはり竜騎士の技を使わないと

『鉄の槍』では、こいつらの体は貫けないようだ。


ガチャン


もう落ちた『鉄の槍』を拾っているヒマはない!


スラァァァァ・・・


オレは、剣を鞘から抜いた!


「ウオォォォォォォホッ!」


右から来た魔獣が、拳を作って

殴りかかってきた! それを半身で避けて、


「おりゃ!」


ザンッ!!


その腕に向かって、剣を振り下ろした!


「ギャァァァ! ギャギャッギャー!」


ドサッ


魔獣の腕が、簡単に切り落とされた!

魔獣が痛がって、後退した。

やはり、この剣なら、

竜騎士の技を使わなくても魔獣の体を斬れるらしい。


そうこうしているうちに、

オレの横を通り過ぎた魔獣が、木下たちに向かう!

背後から、木下たちの魔力が

同時に高まっていくのを感じる!


「「わが魔力をもって、風の盾と成し、われらが前に顕現せよ!

シルフ・シールドォ!!」」


「おっ!」


2人同時の魔法詠唱で、魔法が発動し、木下たちの周りに、

大きな『緑色に光る壁』みたいなものが現れた!

シホが使っていた魔法より分厚く大きい!

一昨日、オレが教えた魔法の重ね掛けを実践で使うとは、

シホの案か、木下の案か分からないが、さすがだ。


ドシーーーン!


「ウォッホッ!」


魔獣の剛腕が木下たちを襲ったが、

『光る壁』に魔獣の腕のほうが、はじかれた!

一昨日のように破壊されてない!

よし、いいぞ!


その間に、オレが

その魔獣に駆け寄り、背後から


「はっ!」


ザンッ!!


「ウギャ!」


魔獣の背中、右肩から左脇にかけて

一刀両断した!


3匹目!


「おじ様、後ろ!」


オレの後ろから、魔獣がキバを向いて

襲い掛かってきた!

気配で分かっている。


「ほっ!」


ドンッ!


振り向きざまに、魔獣のキバを避けつつ

首を切り上げる!


4匹目!


ドチャッ


「うわっ!」


シホが短い声を上げる。

木下たちの『光る壁』に魔獣の首がぶつかり、

『光る壁』に黒い血がしたたる。


「ギャッギャッギャ!」


ダンッ!


「ぅお!」


倒された魔獣の体を飛び越えるようにして、

その後ろまで来ていた魔獣が、ジャンプした!

そのまま、オレに襲い掛かる!

体長5m越えの巨体が、上から飛んでくる姿は、

なかなか怖いものがあるが・・・

両手を広げて飛び掛かってきているから、

すきだらけだ!


「ふっ!!」


ザシュッ!!


オレは、体を回転させて

魔獣の腹を横一文字に切り裂いた!


「ガッギャ!」


その巨体に押しつぶされないように、避ける。


ズズン!


5匹目!


「うっ!」


倒れた魔獣を見ていた木下が、青ざめた顔をしている。

魔獣の腹から・・・

まぁ、見ないほうがいいな。


「はぁ、はぁぁぁぁ・・・。」


少し息が上がる。

しかし、まだ終わっていないから

深呼吸で、息を整える。


「ギャギャッ!」


腕を切り落とされた魔獣が1匹、

オレたちから逃げようとして、

山のほうへ走り出していた。

見逃してやってもいいかと思ったが、

あいつの声が、また他の魔獣を

おびき寄せてしまうだろう。


ガシャ


オレは、『鉄の槍』が落ちている地点まで

駆け寄り、槍を1本拾い、


「すぅぅぅぅ・・・」


深呼吸して、体内の『氣』を集めてから、


「どりゃぁぁぁぁ!」


ドキュッ


『鉄の槍』を投げる!


ドン!


ボコォオォォォォン!


逃げる魔獣の背中のど真ん中を貫き、

土煙が舞った。


バタンッ


魔獣が倒れる。

6匹目・・・終わった。

気配を探るが、もう息がある魔獣はいない。


「ふぅぅぅぅぅぅ・・・。」


オレは、深く息を吐いた。

腰の痛みはないが、

右腕が、また熱くなった・・・。






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