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定年間際の竜騎士  作者: だいごろう
第三章 【聖騎士とバンパイア】
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反省会と法術の話




オレたちが昼飯を食べ終えて、

木下がシャワーからあがってきたところで、

昼時の仕事を終えてきた、

宿屋の店主が、この部屋を訪ねてきてくれた。


そこで、午前中の『洞窟』での

出来事を話した。

作戦が失敗したことを話すと・・・


「そりゃ失敗するだろ。

なんだよ、おっさん、そんなに強いのに

魔法のことは、からっきしかよ。はっはっは!」


同じおっさんなのに・・・笑われてしまった。

店主は、最初から魔法の特徴を把握していたようだ。


「ぬぅ・・・面目ない。」


悔しいが、言い返す言葉もない。


「俺は、てっきり『サーチリング』のことを

よく分かっていて、あの作戦を

立てているものだと思ってたぜ。

いや、俺も忠告してやるべきだったかもな。」


オレが素直に反省している姿を見て、

店主の言葉が、優しいものに変わった。


「もう分かった通り、『サーチリング』は

術者を中心に、半径数mの人探しができるわけだが、

術者の魔力によって、その範囲は異なるから

事前に範囲を知っておく必要がある。

そして、『洞窟』に対して、魔法を仕掛けるなら、

事前に『洞窟』周辺の魔獣がいないかどうか、

その目で調べて、外の魔獣を討伐しておいて、

周りの安全を確保してから、魔法を使うべきだった。

てっきり、そうするものだと思い込んでいたが・・・

まぁ、よく無事に帰ってこれたものだな。」


店主が、魔法の特徴を教えてくれて、

『サーチ』の魔法を使った作戦を

事細かく説明してくれた。

・・・昨夜のうちに、それを聞いていれば、

午前中のような危ない目に遭わなかっただろう。


「おじ様のおかげで、助かりました。」


「まぁ、そうだろうな。

おっさんが俺以上の実力だからこそ命があったようだが、

お嬢ちゃんの実力だけでは、

今ごろ、ここには帰ってこれなかっただろうなぁ。」


店主が、しみじみ言う。

オレは店主より実力が上?・・・そうだろうか?

店主のほうがオレよりも実戦経験豊富に感じるし、

魔法にも長けている気がする。

もしかしたら、傭兵をする前は

名のある騎士か、剣士だったのでは?と感じる。


「作戦を練り直さねばならんな。

オレも、今日のような目に遭うのはごめんだし、

ユンムを危険な目に遭わすのもごめんだ。」


「なに言ってんだ、おっさん。

作戦は、昨夜、すでに練ったんだ。

練ったうえで、あの作戦しかなかったわけで。

そして、今日のは作戦失敗じゃなくて、

作戦実行の仕方を、おっさんが間違えただけじゃねぇか。」


「うっ・・・。」


作戦が間違っていたのではなく・・・

やはり・・・オレ・・・のせいだよなぁ。


「・・・面目ない。」


オレは、またもや素直に謝った。


「はっはっはっはっ!

いやいや、いじめすぎたかな!

おっさん、あんたマジメすぎるなぁ。

つい、いじり過ぎてしまったが許してくれ。

はっはっは!」


店主は、豪快に笑い飛ばして、

オレの失態を流してくれようとしている気がした。


「いやぁ、失敗した! はっはっは!」


店主の心意気を汲み、

オレもこれ以上反省せず、

笑い飛ばしてしまうことにした。


「では、明日は『サーチ』を使う前に

周辺をよく確認してから、作戦を実行するとしよう。」


オレは、今日の反省会を兼ねた

作戦会議を締めくくろうとしたが


「あの、シエンさん。」


「なんだい?」


木下が、店主に質問した。


「気になっていたんですが、

この国の関所にいる検問官が使っていた魔法って、

普通の『サーチリング』と違うみたいなのですが、

何か知ってますか?」


木下の質問を聞いて、

オレも少し気になっていたことだと思い出した。

そう言えば、『サーチ』は『サーチ』だけど、

なんか変な詠唱だった気がする。

いや、そもそも詠唱してなかった気が・・・。


「あぁ、あれは・・・

この国だけの特殊な魔法・・・というか。

魔法じゃないというか・・・

たしか、『法術』と言ったか。」


「『法術』?」


聞いたことがない魔法だ。

いや、魔法じゃないのか?


「なんていうかな・・・。

俺も使えないというか、この国の信徒しか使えない、

魔法とは違うものだと思ってくれたらいい。

まず、魔力を消費しないものだから、

魔法のようで、やっぱり魔法とは違う・・・らしい。

あー、説明が難しいなぁ・・・。」


本当に説明が難しいようで、

店主の説明を聞いている俺もよく理解できない。


「魔力を消費しないとしたら、

それは、なんなんですか?」


木下もやはり理解できていないらしく、

オレと同じ疑問を店主へ投げかけていた。


「なんて言えば伝わるかなぁ・・・。

『法術』は、信徒しか使えない。

つまり、『オラクルマディス神』を信じているヤツの

『信じる心』が強ければ強いほど、

強力な『法術』が使える・・・らしいんだ。」


「それなら、信じてるヤツらは、みんな使えるのか?」


神とやらを信じるだけで

魔力を消費せずに、強力なチカラを使えるなんて、

そんなことが有り得るのか?


「いや、信徒になれば、誰でもってわけじゃないらしい。

友人の婚約者だったヤツは、この国の信徒だったが、

『法術』は使えなかった。

でも、俺に『法術』の存在を教えてくれたのは

そいつなんだけどな。

相当、信じる心が強くないと使えない・・・らしい。」


なるほど・・・

『獣人族』を『バンパイア』だと

信じ込まされていたのに、その『獣人族』と

すっかり仲良くなって、結婚しようと思ったくらいだから、

その婚約者は、そこまで神を盲信していなかったわけだ。


信じすぎているやつほど、強力なチカラを使えるのか。

結局、どういう仕組みか、分からないが

この国の信徒には気を付けなければ・・・あれ?


「でも、それだと、おかしいな・・・。

オレは、関所で荷物の検査を受けた時、

その検問官の魔力の高まりを、たしかに感じたんだがなぁ。」


「あ、そういえば、私も感じました・・・あれは?」


オレも木下も、関所でしっかり

検問官たちの魔力の高まりを感じていたのだが、

それだと店主の説明と食い違ってくる。


店主は、眉間にシワを寄せて


「じつは、それが・・・俺にも分からんのだ。

俺も『法術』を使っているヤツの魔力の高まりを感じたし、

使ったやつに聞いてみたりしたんだが、

やはり、友人の婚約者と同じ説明をされたからなぁ。」


店主にも分からないことがあるんだな。


「ただ、あの『法術』が使える

聖騎士の強さはハンパないぜ。

普通の魔法と違って、長い詠唱無しに

いきなり発動してくるからな。」


そうか、詠唱無しの発動・・・

オレは今まで魔法は戦闘に不利だと考えていたが、

詠唱無しの『法術』となれば、話は別だ。

突然、高威力の魔法を使われるようなものだ。

恐ろしい・・・。


「聖騎士なら、全員使えるということか?」


「おそらくな。

聖騎士は、信仰に熱心な信徒というのが

第一条件らしいからな。」


神を『信じる心』が強ければ使える『法術』か・・・。

できれば、聖騎士とは

事をかまえたくないが・・・


オレは、ふとニュシェを見た。

ニュシェは、難しい話に興味がないらしく、

腹が満たされた後だから、

木下の後ろに座って、ウトウトしている。


ニュシェを無事に、

この国から逃げさせることができればいいが・・・。





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