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定年間際の竜騎士  作者: だいごろう
第三章 【聖騎士とバンパイア】
139/503

ニュシェの目覚め






木下が、店主へお願いしたのは、

「『スヴィシュの洞窟』の攻略法を

いっしょに考えてほしい」とのこと。

傭兵をしていた過去もあるし、

ここに長年住んでいるわけだから、

あの洞窟の内部にも、少しは詳しいはず。

それを見越してのお願いだった。


店主は快く、木下の願いを聞き入れてくれた。


オレたちの『スヴィシュの洞窟』攻略の

作戦会議は、夜中まで続いた・・・。




「ふ、あぁぁぁ~・・・。うぅ・・・眠い。」


朝、オレが目覚めると、

木下と少女が同じベッドで寝ていたはずなのに、

いなかったので、少し焦った。

しかし、脱衣所に気配を感じたので

2人仲良く着替え中なのだと察し、安心した。


昨夜は、ちょっと調子に乗って

肉料理を食べすぎたせいで、まだ胃が重く感じる。

オレは自分の腹をさすりながら、

・・・また、筋肉じゃない肉が増えそうだと思った。


オレは、まだ眠っている感覚の体を起こすため、

ベッドの上で、柔軟体操で体をほぐし、


「ふっ・・・ふっ・・・。」


筋力を鍛え直すための、

腕立て伏せ、腹筋、背筋の順番に運動をし始めた。

若い頃の体力や能力はない。

取り戻すには、相当な時間がかかるだろうし、

歳老いたオレには、そんな時間はないだろう。

でも、せめて、この旅の間だけでも

不自由なく自分の戦いができる体でいたい。

特に、今日からオレは

体を酷使してしまうだろう・・・。

『レッサー王国』の窃盗団と戦った時のように

戦闘中に腰を痛めるとか、

あんな最悪な状態にならないために

体をほぐしておかなければ・・・。


カチャ・・・


脱衣所のドアが開いて、

木下と少女が出てきた。


「あ、おじ様、おはようございます。」


「あぁ、おはよう・・・。」


見ると、2人は朝からシャワーを浴びていたようだった。

少女のほうは、着替えがないから

見た目、分かりづらいが、肌が明らかに

きれいさっぱりしたように見える。

きっと長い間、清潔にできなかったのだろう。

替えの服を用意してやったほうがいいかもな。

木下に髪を結んでもらったらしく、

長い黒髪を後ろに束ねている。

たったそれだけでも、別人のように見えた。

なんというか、少し歳相応に見える。



挿絵(By みてみん)




「お、おはよ・・・。」


オレと目が合うと、少女は

少し恥ずかしそうに、小さな声で挨拶してきた。

えーっと、名前は・・・


「おはよう・・・ニュシェ・・・。」


「ん・・・。」


オレの挨拶を聞くと、さらに恥ずかしくなったのか、

木下の後ろへ隠れてしまった。

まぁ、高校生ぐらいの年頃ならば、

年老いた男になつくものではないだろう。

・・・娘・香織が高校生のころは、

毎日、挨拶も会話もなかったものだ・・・。


「おじ様、無表情になってますよ。

気を付けてくださいね。」


「あっ、そうだったか。すまん。」


木下に注意される。

また「無い頭で考えるな」と言われるかと思った。

気をつけねば。


オレたちは朝食の前に、

ニュシェへ、店主と話し合ったことを伝えた。

オレたちが朝食のために部屋を出てから、

ニュシェがまた1人で窓から

逃げてしまったら大変だからだ。


オレたちや店主が、

この国からニュシェを逃がしてやること。

オレたちが、この国を出るタイミングで

いっしょに行くわけだから、

しばらくは、この宿屋で身を隠していること。

必要なものがあれば、木下に遠慮なく言うこと。

それらを伝えた。


「・・・。」


無言のまま、ニュシェは聞いていた。

その表情は、どこか困っているようにも見える。

まだお互いに

100%信頼できているわけじゃないからな。


「・・・今すぐに、たくさんのことを

一気に話せとは言わないし、

オレたちも、たくさん聞こうとしない。

でも、お互いを知ることは

大切なことだと思うし、そのためには

会話をしないと知ることができない。

だから・・・話したいことがあれば、

どんな些細なことでもいい。遠慮なく話してくれ。

少しずつ、お互いを知っていこう。な?」


「・・・ん。」


ニュシェは、うなづいていた。


「朝食は、あとで持ってくるからね。

ここで待っててね、ニュシェちゃん。」


木下が、優しくそう言うと、


「うん。」


と、ニュシェは小さな声で答えていた。

女の子同士、仲良くなるのは早いのだろうな。

この子は、木下に任せて

オレはあまり関わらないほうがいいのかもしれない。


オレは、そう思いながら

木下と階下の食堂へ向かった。




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― 新着の感想 ―
[良い点] ニュシェ、挿し絵追加されてたんですね。 よいですね! 狼タイプ。タイプ!! というか、潜在能力高そう。ワオ。 なぜだか、お嬢様的品格ありませんか?読後のイメージより大分大人に近い感じで…
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