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定年間際の竜騎士  作者: だいごろう
第二章 【王国の秘密】
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剣技『コブラ』






【※残酷なシーンが描かれています。

苦手な人は、読まないようにしてください。】






「はぁー、はぁー・・・。」


「はぁ、はぁ・・・なんで当たらないんだ?

なんなんだ、お前は!? はぁ、はぁ・・・。」


最初の一合目から、何度も剣を合わせたが、

どうにもこうにも、

相手の剣先がクネクネして、

こちらから攻撃が出来ない。

気づけば、防戦一方になってしまう。


「俺は、ただの傭兵だ・・・はぁー、はぁー。」


「んなわけあるか!

この国最強の俺の剣を避け続けることは

不可能なのに!!・・・はぁはぁ・・・。」


今はギリギリ避けているが、

このままでは、体力が尽きて、

いずれ、あの変幻自在の剣で斬られてしまう。


しかも、腰をひねって痛めたようで、

攻撃を避けるのも、つらくなってきている。


初めから体力勝負になったら

負けると思っていたから、

一気にケリをつけたかったが、

さすが、『レッサー王国』の最強を打ち破った男だ。


しかし、一見、オレのほうが劣勢のように感じるが、

相手は攻撃しているだけで、

かなり疲れているように見える。

やつは剣を一振りするたびに、

ゆらゆらと体が揺れていた。


「ふー・・・ふー・・・。」


距離をとり、呼吸を整え

相手を観察する。


よくよく見れば、やつの剣の握り方が変だ。

なんていうか・・・両手で柄を握っているが、

手と手の間隔がぜんぜん無い。

あんな握り方をしたら剣の重心がブレて・・・あ!?


「なるほど、そういうわけか・・・はぁ、はぁ。

そんな疲れる剣技、よく体得できたな。」


「あぁ!? 分かったような口をきくな!

俺の最強の剣技『コブラ』だ!

父が完成できなかった剣技を、

天才の俺が完成させたんだ!

お前なんかに、見破れるかよ!」


そう言うと、トライゾンは

剣を振り上げて、構えた。

ゆらゆらと剣先が揺れている。

それに合わせて、

やつの体もゆらゆら揺れている。

まるで、ヘビだ。


重たい剣を、両手で一点に絞って握っている。

当然、力点一点で支えると、重心が前後左右に揺れる。

その揺れを利用して、チカラを加えることにより

剣先を自在に動かしているのだ。


言葉で表すのは簡単だが、

実際、力点一点だけで剣を振れば、

剣の重さ、チカラの作用点、加速度などを

一点で支えなければならないから、

普通ならば、体ごと剣に振られてしまい、

剣をコントロールすることは不可能だ。

やつは、体中のチカラで、

それをコントロールしているのだ。


「ふー・・・すぅぅぅぅ・・・。

親父殿の剣か。

お前の親父殿は相当強かったのだな!」


普通に剣を振るよりも体力が消耗するだろう。

相当、体を鍛えて、

剣技をものにしたのだろう。


「はぁ、はぁ、うるせぇ!

お前に何が分かる!?

父よりも、誰よりも、俺が一番強いんだ!

さっさと死ねぇ、クソジジィー!!」


トライゾンが向かってくる!


「すぅぅーーー・・・。」


オレの呼吸が整った。

トライゾンは、剣を振りかぶり、

左肩の上から剣が振り下ろされる!


その瞬間、オレがさらに一歩踏み込み、

やつの懐に入る!


「!!」


振り下ろされる剣ではなく、

剣の柄を握っている手へ目掛けて


ゴシュッ!!!


剣を打ち込んだ!


メキメキィッ!!!


「ぎぃゃっ!!」


ゴキゴキと鈍い音がした!

やつの両手の指を潰した!

数本は切断されて、数本は骨がイカれただろう。


ガランッ!


やつが剣を落とした。


いかに剣先が変幻自在でも、力点である

柄を持つ手は動いていなかったのだ。

オレは、そこを狙った。

これで、やつは剣を握れなくなった。


やつの上体がのけぞって、

後退しそうになっているところへ


「はぁ!!!」


さらに一歩踏み込んで、剣を振り下ろした!


ザンッ!!!


「ぎゃあぁぁぁぁぁぁーーー!!!」


ボトン!


やつの左腕を切り落とした!

大量の血が流れだす!


どすんっ


たまらず尻もちをついたトライゾン。


「お、お、お、俺の腕がぁぁぁ!!

い、いだいーーーーー!!!

ぐぅぅぅぅああああぁぁぁぁーーー!!」


利き腕である左腕が無くなり、

大量の出血をしている。

数本の指しか残っていない右手で

傷口をおさえ、絶叫し始めたトライゾン・・・。


「ふぅぅぅぅぅ・・・。」


オレは大きく息を吐く。

・・・勝負あったな。


チャキッ


オレは、尻もちをついている

トライゾンの目の前に剣を向けた。






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