畑
俺の耳には小鳥のさえずりが聞こえている。
なんで? 赤ん坊なのに耳が聞こえるんだ? ん? 俺? んんん???
そして、目を開けた。
「……嘘。転生してない。転移……だと?」
周りを見てみると、そこには見た事のある食材や見た事のない食材の畑が広がっていた。
「もしかして、これが畑!? すっごい広い!!!」
俺は、興奮していた。その為、近くに落ちていた手紙を見つける事が出来なかった。
「これは、きゅうりか!?」
俺は、きゅうりをもいで食べてみた。
「……な、なにこれ。……美味すぎ!!!! やばい、なにこれ、止まらないんだけど!?!?」
俺は、目に付くものを片っ端から食べ始めた。
「うっぷ。お腹いっぱい。まさか、こんなに野菜を食べられとは思わなかった。これで、一生飢えないから良かったわ」
そうそう。俺が転移する時、神様に聞いていた事がある。それは、異世界で何かやる事があるのか、どうかだ。
結果から言うと、そんな事は無かった。そりゃそうか。本当は異世界に転生して記憶もない状態で行くんだもんな。どうやって、使命を任せるんだって話だよな。
「あ、そう言えば、ステータスがあったよな。『ステータスオープン』!」
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名前:グラス
体力:80
魔力:20
攻撃力:30
防御力:50
俊敏力:45
運:7
魔法適正
・今のところ無し
スキル
・畑
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「この畑はスキルなんだ。っか、俺の名前、グラスになってる。ま、前の名前だとおかしいもんな。神様に 感謝感激雨霰だな。それに、魔法適性もいずれ付くのか?」
それから俺は、約1ヶ月間。この畑で過ごしていた。
「ん? これなんだ? 手紙?」
そこで、俺は初めて気付いた。
あの神様の手違いで転生じゃなくて転移させちゃったらしい。そして、この畑。
「嘘。だろ、なんか食べれば食べるほど力が湧いてくると思ったら、能力アップしちゃう!?!? はっ! 『ステータスオープン』!」
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名前:グラス
体力:700000
魔力:340000
攻撃力:450000
防御力:400000
俊敏力:600000
運:10(限界)
魔法適正
・全属性Lv.10
スキル
・畑・剣術Lv.10・拳術Lv.8・槍術Lv.9・盾術Lv.10・弓術Lv.9・棒術Lv.10・料理Lv.10・裁縫Lv.8・洗濯Lv.9・掃除Lv.10・土木Lv.9・鍛治Lv.10・建築Lv.10・採掘Lv.8・伐採Lv.9・装飾Lv.8 etc.
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「うわっ、なにこれチートじゃん」
そして、半年の月日が経過した。そのお陰で、俺はこの畑の野菜たちの事を研究していた。
例えば、何を食べたらどのステータスが上がるのか? とか、どれを食べたらスキルがゲット出来て、レベルが上がるのか? とかだ。
そして、分かったのが、きゅうりやナス、トマトみたいに実る野菜は『体力や魔力』。地面に蔓を伸ばして実る、メロンやスイカなどは、『攻撃力や防御力、俊敏力』だ。そして、木になる、林檎やブドウなどが、スキルとなっていた。
そして、異世界の食べ物がどうなのか? だが、これは凄い。全ての能力値が底上げされるのだ。
「よし! これで、簡単に死ぬ事は無くなったぞ!」
今日は、畑を飛び出して外の世界に行こうと思っている。楽しみではあるが、不安でもある。お金持ってないから。
一度、この野菜を持って行こうか考えたけど、食べただけで強くなる野菜を売るって、考えただけでも恐ろしい。
「まぁ、身分証はステータスで出来るから良かったけどね」
そして、俺は異世界へと飛び出して行った。