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偶さかの逢瀬、己の居場所。
「お前も、ひとりなのか?」
「……」
静寂の返答、微かに震えるその身体。
それは同類への憐れみか、忘れた筈の良心か。
――食うか?
「……」
生きたいと願う者の目。
絶望を受け入れた者の目。
強い闘志が宿る者の目。
距離を詰める程、その目は遠くなる。
逃走を下す思考。
衰弱する四肢。
底を尽く余力。
毛玉は、運命を享受する。
受け入れた運命。
それは絶望? 否、希望。
それが齎したモノ。
それは苦痛? 否、安息。
己の居場所。