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散歩帰り、夕日の顔。

「よう、話は済んだようだな。ミラルの奴は疲れたってんで先帰った」


「お待たせしました、了解です。これからたっぷり巻き上げるんで覚悟しておいてください」


 冗談半分っぽい感じでそう言う。実際は八割ぐらい冗談だけど。


「分かってる分かってる。気持ちよくバラまいてやらぁ」


「その事についてだが元々の原因は私にあるんだ、今回は私が肩代わりしよう。こう見えて結構な稼ぎ上手でな、満足頂ける額は支払えるであろうと自負している」


「それは楽しみです。ギルドに着いたら詳しく相談しましょう」


「それは良いがあんまり無理すんなよアンナ?」


 アンナさんは普段、耳を隠すためフードを被り込んでいるらしい。が、この街ではそれをしていない。

 この街、よく見ればヒト以外の種族の者がちらほらと散見している。

 皆口を揃えて他の街ではこうは行かない、町長には感謝しても仕切れない、との評判だ。


 そんな事を考えている間にもギルドは目前へと迫る。


「この野郎! ソバの良さがお前には分かんねえのか!」


「お前こそ! ウドンの真髄を篤と見やがれ!」


「あいつらは相変わらず楽しそうで何よりだな」


 あの二人に対する認識は共通らしい。


 そして受付で依頼完了の手続きを済ましてくれと頼まれた。

 ギルドからの直接の依頼は受けて無かったような?


「今回は緊急を要したからな、特別に正式な依頼として扱って貰える事になったみてえだ」


 結構融通が利くのね。


「こちらが新しいギルドカードになります。お納めください」


 最初に貰ったヤツよりツヤがあって綺麗。


「この街では高いランクのカードを所持していると、様々な特典を得る事が出来るんですよ」


 ほう、初耳。


「なんか面白い仕組みですね。して、その内容とは?」


「まず基本と致しまして、より重要度の高い、つまりは報酬額が多い依頼を直接指名される事があります。勿論強制ではありません」


 これはどの街でも共通らしい。

 要は金が向こうから寄ってくるって事か。


「そしてギルド運営の店舗でギルドカードをご提示して頂くと、表示金額から何割かの値引きがされます」


 なんて素晴らしい仕組みなんだろう。


「他にも食事や宿泊の際、特別なお部屋をご用意させて頂いたり、表では取り扱っていないような特別な品を取引等をさせて頂いたりしております」

 

 まさに至れり尽くせりって感じだな。


「いい事を聞きました、ありがとうございます」


「勤勉に働く者には相応の対価を。というのが町長の意向でして」


 この制度を取り入れてる街ってのは、まだそう多くは無いらしい。

 流石、あの町長やりおるな。


「ましろ。はい、お前のやつ」


「うーん。ぎるどかーど、むずかしくてよく分かりませんでした」


「持ってるだけでメシが多く食えて、より暖かい場所で寝られるってこったな」


「なるほど! ぎるどかーど、おそるべしです」


「坊主、今どれくらいのランクなんだ? 見せてくれ」


「どうぞ、なんか白っぽい色してますね」


「こりゃすげえ、プラチナか。俺なんてまだシルバーだぜ。昨日ギルド入ったばっかだろお前」


 ランクについて詳しく話を聞いてみたところ、ブロンズ、シルバー、ゴールド、プラチナ、コバルト、パラジール、ミスリル、オリハル、アダマンテ、チタルテル、クロルファイト、ルミナイトの順で区分けがされているらしい。


 無駄に細かい上、名称が複雑で覚えるのに苦労しそう。


「今までに誕生したオリハルの冒険者は四人、それもかなり最近の事らしい。それより上の四つに関しては今んとこただのお飾りだな」


 オリハルの冒険者かあ、どんな人なんだろう。会ってみたい。


 そんなやりとりをしてる間に、ギルド推奨の報酬額査定に行ってたアンナさんが――真っ青な顔して帰ってきた。


「アンナ、随分顔色が悪いが一体どうしたってんだ?」


「クロツグ殿、申し訳ない……到底私などに払い切れる額ではなかった……」


 そんな髪の毛の一本も残さぬ程、毟り取るつもりは無いが。

 一体どんな額推奨されたんだ?


「白金貨十枚ぐらいですか?」


「大体アダマンテ硬貨一枚分だ……」


 アダマンテ硬貨って言うと……おそらく例の最上位金貨のことか。  

 ああ、そりゃ無理だわ。


「大丈夫です、今回は白金貨一枚で手を打ちましょう」


 だからそんな世界の終わりみたいな顔しないで。


「かくなる上はこの身を売りに出してでも……」


 いやいやいや。


「ちょっとアンナさん? 聞いてます?」


「諦めろ坊主、こいつはこうなっちまったらもう止められん」


「完全に自分の世界に入っちゃってますね」


「それより本当に白金貨一枚なんかでいいのか? 流石にもうちょい払う気ではいたぞ」


「町長のあの様子だと、またたんまり貰えそうですし。ここで無駄に欲をかくべきではないと思い直しまして」


「お前……いいヤツだな」


「よく言われます」


 友好的な人に対する外っ面だけは自信ありますから。

 あとカネ持ってる人とエラい人。


「カネは俺が立て替えておくから、坊主は早いとこ町長のトコに行ってやれ」


 ザガンさんに別れの挨拶をし、二度目の町長の館へと赴く。


「おいましろ、お前さっきちょっと殺気漏らしただろ」


 アンナさんが血迷った事言い出した時。


「なんのことですか?」


「すっとぼけても無駄だからな?」


「ましろはご主人を信じています」


「ホントかよ」


 館の扉の前には例のお付きの執事が俺達を歓迎していた。


「お待ちしておりました。どうぞこちらに」


「わざわざすみません、ありがとうございます」


「本日も大変なご功績を立てられたようで。旦那様のご慧眼には御見それ致す限りです」


「困っている人から金を巻き上げただけですよ」


「正式な利害関係が確立している事程、信用に足る例もありません」


 極論、俺とましろの関係ですら利害関係の一致であるとも言えるしな。最もな考えである。


「お食事のご用意は済ませておりますゆえ、どうぞこちらに」

 

 前回とは異なる道筋で廊下をなぞっていく。

 しっかしこの館本当に広いなあ。


 筆の終わりが近い。


 少し開けた廊下の突き当りに観音扉が二組佇んでいる。

 その筆跡に終止符を打つかのように右の扉の中へと足を踏み込んだ。

アダマンテ硬貨1枚は銅貨10万枚分、白金は500、金は50、銀は5枚分の価値があります。

銅貨1枚は大体50円程度のイメージです。

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