やっと見つけましたよ、ご主人。
いつものように"獲物"を探す。
違うのは後ろにひっつく毛玉の存在。
「おい、いい加減離れろ」
何故あのような下らん真似を、俺は……相当気が滅入っていたらしい。
その現実と毛玉から目を逸らすかのように歩みを速める。
――オイ見ろよ、なんだコイツ?
――まだ生きてるぜ、気晴らしに踏み潰しちまえ
そんな耳障りの悪い雑音が耳に入る刹那。
「誰だお前? 文句があるってんなら――」
「――っ! 野郎、舐めたマネ――」
途切れる雑音。
怯える毛玉。
それには気にも留めず淡々と戦利品を剥ぎ取る。
そのまま背を向け、沈黙のままその場を立ち去った。
そして相も変わらずその後を付ける毛玉。
以降、黒がそれに対し苦言を呈する事は無かった。
あの日以来、気付けば俺の後ろには毛玉。その姿があった。
日が経つに連れ、その気配は希薄なモノへと昇華していく。
どうやら俺の動きを模倣し己の糧としているらしい。
放っておいても目の前で目障りに骸が晒される事は無かった。
しかし、ある日を境にその姿は行方を晦ます。
そしていつものように"狩り"に出た、そんなある日。
「てめえ、この前はよくも――借りは返させてもらうぜ?」
「おい待て、先に俺に殴らせろ」
「あぁ、分かってるよ。そのまま殺しちまってもいいんだぜ? そうなっても誰も気にも留めないだろ、こんなガキ」
「ハッ、違いねえ」
疲労がたまりに溜まった結果、当然の様に起こり得る結末。
年貢の収め時ってワケか。
このまま惨めに死のうとも悔しくはない。いずれにしろ、近い内に死に逝く運命なのだから。
――ふと、脳裏に浮かぶあの毛玉。
アイツ、どうしてるかな。
「おい、誰だ!? 離れろ! クソッタレが――」
「おい! 何があった!? ……っ!」
視界に映る純白のその姿は緋い鮮血を纏う。
「あ、あぁ……やめ――」
噴き上がる二つの血柱。
――その二色は
いつしか同じ道を歩むように。
いつしか物を共有するように。
いつしか寒さを凌ぐため互いに寄り添うように。
いつしか互いに命を預け合うように。
いつしか同じ運命を歩むかのように。




