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白、

 私は白、そして無。

 自分は何故、何の為に生まれてきたのだろう。

 粗雑に扱われ、ただ耐え難い理不尽な苦痛を味わう為だけに生まれて来たのだろうか。


 苦痛は白を緋く染める。

 その間でだけ私は無では無くなる。

 やはりそれこそが私の存在意義、その確固たる理由なのだろう。


 今日はどんな苦痛が私を緋く染めるのだろう。

 いっそ自ら緋一色に染まってしまおうか。

 だが自分の無にも等しい生物としての本能がそれを許さない。


 ――否、ただそれを実行する勇気を持てないだけ。

 この後に及んでも未だ白く有り続けたいと願う自分がいる。


 残り少ない体力を振り絞り恐怖から逃れるように冷たく静かな黒い物陰へと身体を引きずった。


 やはり緋は嫌いだ。

 どうせ染まるなら何色にも染まらない黒がいいな。

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