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風水鑑定チートで、開運無双!~風水ギルドが王国制覇するまで~  作者: 狭間コヤタ
5章 暗殺ギルドとの抗争に入ってみた。
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53話 危機一髪。



 風水ギルドにとって必要なのは、戦闘や暗殺のプロだ。

 そして、〈開運天国〉スキルによって、味方に加えたい人物を、ロット町で見つけた。刀を使う男装の麗人、リースという名だ。


「あとは、どう口説き落とすかだが」


 結城がそう言うと、レラが提案する。


「傭兵のようでした。報酬を提示したら、どうです?」


 結城の目には、傭兵には映らなかったが。


「とりあえず、彼女を追いかけてみよう」


 リースが歩いて行ったほうへ、結城たちは早足で進む。

 せっかく、味方にしたい人材を見つけたのに、見失ってしまっては意味がない。


 やがて、リースが酒場に入っていくところが、見えた。

 結城たちは、追いかけるようにして、その酒場に入る。


「レラは外で待機していてくれ」


「了解です」


 まだ昼間だが、酒場内は人で賑わっていた。すでに酔っ払いが喧嘩している。

 リースはカウンター席にいた。結城は隣に腰かける。リースと同じビールを注文した。

 普段、結城はあまり酒を飲まないが、下戸というわけではない。


「改めて自己紹介してもいいですか?」


 リースは興味がなさそうに、結城を見やった。


「好きにするんだな」


 結城が名乗る前に、セシリーが腕を引っ張り、カウンターから引き離した。


「マスター。風水ギルドのマスターであることを明かすのは、賢明ではありません」


「リスクは承知しているけど、どうしてもリースの力を借りたい。そのためには、隠し事をせずに──あれ?」


 結城は、カウンターにいるリースを見やり、首を傾げた。

 結城は意図せずとも、他者の運気数値を見ることができる。自然の状態で、軽い風水鑑定をしているようなものだ。

 風水鑑定を中止するためには、逆に意識する必要がある。


「どうかしましたか?」


「変だな。リースの運気数値だが、今はマイナス2005だ」


 ここのところ、運気数値がインフレを起こしているようだ。

 かつては、ターロンのマイナス4桁で驚いたものだが、今では4桁さえも見慣れた。

 セシリーが眉間にしわを寄せる。


「マイナス2005では、その不運は命にかかわりますね」


「そのようだ」


「リースこそが、風水ギルドの救世主ではなかったのですか?」


「風水ギルドに手を貸すことが、リースにとっての不運ということだろうか」


 命を落とすと分かっている者を、味方に引き入れるわけにはいかないが。


「ですが、まだ風水ギルドに誘ってもいませんが?」


「とりあえず、運気の上がる助言でもしてあげよう。さっきは、助けてもらったことだし」


 結城は、改めてカウンターに向かおうとした。

 そのときだ。足元を、謎の球体が転がって来た。

 転がる球体は、結城の前を通り過ぎ、リースの足元で止まった。


 気づいたリースが、不思議そうに球体を拾い上げる。

 このとき、リースの運気数値は、マイナス1万に達しようとしていた。いまにも、命を落とそうとしている。

 転がって来た球体こそが、リースの命を奪うのだ。


 まず、セシリーが動いた。

 結城から、リースの運気数値が極端に悪くなっている、と知らされた。その原因と、この球体は関係している、と考えたのだろう。


 セシリーの剣速が、球体の爆裂を上回った。


 球体は刃で弾かれ、天井まで上がる。

 結城が怒鳴る。


「みんな、伏せろ!」


 球体は、天井付近で爆裂した。

 結城たちは伏せていたため、無傷で済んだ。


 リースが酒場の出入り口へと駆ける。球体は外から投げ込まれた、と判断したのだろう。すなわち、犯人は酒場の外にいる。

 結城も、同意見だった。セシリーと共に、リースを追う。


 酒場の表では、レラが待っていた。壁に寄りかかり、退屈して見える。

 しかし、それは見せかけだ。

 実際のところは、レラは周囲へ鋭い視線を放っている。

 そこは偵察任務に長けた、リーグ族の娘だけはある。


「レラ! いま、酒場の中に球体を投げ込んだ者を、見なかったか?」


 レラは首を傾げる。


「球体、ですか? そういえば、そんな動作をしている男がいました」


「その男だ。ソイツが、爆裂する球体を投げ込んだんだ」


 この会話は、近くにいたリースの耳にも届いていた。

 リースが、レラに詰め寄る。


「その男のこと、詳しく教えてもらおう」


 レラは、リースを睨んだ。


「ボクは、ユウキ殿の命令しか聞かない」


 結城は、リースを押しやった。


「あなたは命を狙われているようだ。僕たちと協力したほうが、得策ではないかな?」


「……そうかもしれんな。で、何から始める?」


「自己紹介とか?」 



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