表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
風水鑑定チートで、開運無双!~風水ギルドが王国制覇するまで~  作者: 狭間コヤタ
5章 暗殺ギルドとの抗争に入ってみた。
50/70

50話 忍び寄る暗殺者。


 結城は、ブロードソードを手に取った。

 これは、〈零〉ダンジョンの最深部で入手したものだ。

 それからセシリーとレラを起こし、暗殺者が来ることを合図した。


 セシリーは手の届くところに置いてあった剣を取り、鞘から抜き放つ。

 レラは、戦闘は得意ではないので、いつでも逃げられるよう準備した。


 結城は数秒考えてから、レラに対して〈開運提供〉スキルを発動した。

 レラの運気がプラス1万となる。セシリーではなくレラを選んだのは、基本的な戦闘力を考えてのことだ。

 セシリーは剣士として、すでに職業にできるレベルに達しているのだから。


 結城は、〈開運天国〉スキルは、まだ発動しないでおいた。

 結城自身の運気がプラス10万となるスキルだが、10分間しか効果が継続しない。使いどころは間違えられない。


 セシリーは、結城を見て、小首を傾げる。

 暗殺者はどこから来るのか、と問うているのだろう。

 結城もそこは気になった。そもそも、暗殺者の気配を察知した、とかではないのだ。

 あえて言うならば、『なんとなく』だ。


 ただし、結城の運気数値からして、この『なんとなく』は確実性が高い。

 結城は目をつむった。

 感覚を研ぎ澄まして敵の位置を察知しよう、というのではない。そんなスキルは、結城にはない。

 ただ、余計な情報を排除しようというのだ。


 視界だけではなく、音も消す。そのため両手で耳を塞いだ。


(敵は、どこから来るだろうか?)


 直観的に、(上だ!)、という答えが閃いた。

 結城は目を開けて、セシリーと目を見交わす。

 それから、天井を指さす。


 この部屋は最上階だ。よって、もっと上となると、屋根裏か。

 セシリーが剣を一閃させる。


 セシリーは斬撃を飛ばす技を会得していた。

 この斬撃が天井を切り裂くと、人影が落下してくる。

 黒装束の男で、脇腹から出血していた。セシリーの飛ばした斬撃が、そこを抉ったようだ。

 男の片手には、クナイを想起させる武器があった。暗殺者であることは間違いない。


 レラが素早く、クナイを取り上げる。

 暗殺者の傷は深いらしく、倒れたまま身動きしない。


 結城の脳裏に、疑問が二つ。

 なぜ、この場所が分かったのか? 他に暗殺者の仲間はいるのか? 

 

 他の暗殺者はいなさそうだ、と結城は思った。

 根拠は、結城自身がホッとしたからだ。ホッとしたということは、ひとまず脅威はない。風水師の直感だ。


 なぜ、この場所が分かったのか? この答えは、こうだろう。

 結城たちが風水ギルド本部を出たときから、この暗殺者に尾行されていた。


(夜陰に紛れて本部を出、尾行にも気をつけていたのだがなぁ)


 やはり、敵はこの道のプロだ。

 結城たちの得意分野では、相性が悪いのかもしれない。


 セシリーが囁き声で言う。


「マスター。この男を、始末しますか?」


 セシリーの目には、緊張の色がある。

 セシリーは、〈零〉ダンジョンで沢山のモンスターを、斬り倒した。しかし、人を斬ったことはないのだろう。


(僕たちが勇者ギルドならば、セシリーに始末を頼むべきかもしれないが)


 結城は首を横に振った。


「その必要はないよ。この男を殺したからといって、暗殺ギルドからの刺客が途切れるとは思えないし」


 結城は屈みこみ、暗殺者と目を合わせた。


「風水ギルドを標的にしたのは、どこの誰の依頼なんだ?」


 一瞬のことだった。

 暗殺者が、結城へと飛びかかる。その右手には、隠し持っていたらしき、もう一本のクナイ。


 結城は驚き、後ろに倒れた。

 一方、暗殺者は結城に覆いかぶさるようにして──うつ伏せに倒れた。


「これは──」


 暗殺者の後頭部には、クナイが刺さっていた。

 視線を動かすと、レラの姿がある。

 先ほど暗殺者から奪い取ったクナイを、レラが投げたようだ。そのクナイが、暗殺者の後頭部を突き刺した。

 おかげで、結城は助かった。


 レラが大きく息を吐く。


「紙一重でした……良かったです」


「……ありがとう、レラ。助かったよ」


 セシリーが、暗殺者の死体を蹴り飛ばす。


「マスター。ここは危険です。すぐに出発しましょう」 




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ