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風水鑑定チートで、開運無双!~風水ギルドが王国制覇するまで~  作者: 狭間コヤタ
4章 勇者パーティに入ったので、風水チートを覚醒させてみた。
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46話 開運無双で、ダンジョン攻略。


「ユウキ君、我々はどうすれば良いか?」


 緊迫した様子でブランが、結城に尋ねる。いつのまにか、結城が仮リーダーに昇格してしまったようだ。

 結城は、〈開運天国〉の残り時間を確かめた。まだ6分ある。


「僕が攻撃するから、皆さんには援護してもらいたい」


「了解した」


 クーパーが合流する。ブランは、全員が後衛となる陣営を指示した。

 グラコ最終型は、小山ほどに大きい。さらに、この巨体が動き回れるほど、通路は広い。


 結城はブロードソードを前に向けて、飛び出した。

 グラコ最終型の触手は、一本が大樹のようだ。

 ふいに結城は蹴躓く。頭の上を、触手が通過する。

 運気が、結城に触手攻撃を回避させたのだ。


 結城はブロードソードを振るった。触手が断ち切られる。

 しかし、グラコ最終型の触手は、数えきれないほどだ。そのうちの何本かが、後衛にいる、ブランたちへと襲いかかる。

 魔法使いの二人が、魔法障壁を作る。だが触手の一撃で、障壁は破壊されてしまった。

 

 やはり、ミノタウロス・クラスか、それ以上の力が、グラコ最終型にはあるようだ。


(早く決着を付けないと、ブランたちがやられてしまう)


 グラコ最終型の攻撃は、結城をかすりもしない。

 しかし、グラコ最終型のレベルが高いためか、結城もなかなか攻撃できない。膠着状態が続けば、〈開運天国〉が時間切れになってしまう。


(打破するためには、どうすればいいか)


 ふと結城は気づいた。グラコ最終型の触手は、本体の中央と下側に密集している。上から攻撃すれば、対抗してくる触手の数も減るはずだ。


(ミノタウロスを倒したときのように、か)


「セシリー、頼む!」


 セシリーが後衛から走り出し、結城の傍まで滑り込む。

 結城の傍ならば、触手攻撃からも守られる。


「僕を高く飛ばしてくれ!」


「了解しました」


 セシリーはうなずき、長剣を振るった。

 激しい風圧が、結城の身体を高く舞い上がらせる。

 ふいにブロードソードが、手から離れた。

 

 運気数値プラス10万が、ブロードソードの軌道を調整する。

 ついにグラコ最終型の、頭頂部に突き刺さった。切っ先が脳を貫く。


 結城は着地に成功。まだ〈開運天国〉の効果は続いているからだ。

 さらに、ピンときた。


「グラコ最終型は爆裂する! その体液は毒性だぞ!」


 結城の警告によって、ブランたちが走って逃げる。

 結城とセシリーも続いた。背後で、大きな破裂音がする。

 グラコ最終型の最期だろう。

 結城はセシリーを押し倒し、覆いかぶさった。グラコの体液が周囲に降り注ぐ。しかし、結城のもとにだけは、落ちて来ない。

 よって結城の下にいるセシリーも、安全だ。


 しばらくしてから、結城は立ち上がった。

 ちょうど、〈開運天国〉の効果が切れたところだ。


 結城たちパーティは、ダンジョンの最深部まで進んだ。ミノタウロスの死骸を見て、ブランたちは感嘆した。


「ユウキ君一人で、これほどの化け物を倒すとは」


「いえ、運が良かっただけです」


 結城の場合、それは謙遜ではない。運を実力とできるからだ。


「ところで、これで〈零〉ダンジョンは制覇したことになるわけですね?」


「そうだ。君のおかげだ。風水の力は、俺が思っていた以上だった」


「リプさんは残念でした」


 落とし穴に落ちたパーティ・メンバーのことだ。


「……ああ。だが、彼の自業自得といえる。君の警告を無視したのだからな」


 その後、結城たちは〈零〉ダンジョンの外へと出た。ワープによって。

 祭壇は、ワープ装置を兼ねていたのだ。


〈零〉ダンジョンの未踏破領域については、魔法使いが、魔法による道標を作った。

 また、一定距離ごとにワープ魔法も設置した。これによって、ダンジョンに入った冒険者は、ワープ魔法を使って、どこの階層からでも外に出られる。

 これも、〈零〉ダンジョンの最深部まで行き、攻略したからこそ、発動できるようになった魔法だ。


 結城は、勇者ギルド・マスターのローマンと、会った。


「ユウキ。ブランから話は聞いた。大活躍だったそうだな」


「いえ、皆さんのおかげですよ」


「また厳しい任務のときは頼む」


「はぁ」


 あまり頼まれたくはなかったが、結城はうなずいた。二人は握手して、別れた。


〈零〉ダンジョン攻略には、6日半かかった。というわけで、ほぼ1週間ぶりに、結城とセシリーは風水ギルド本部に戻ったわけだ。


「ユウキ!」


 エミリーが、抱き着いてくる。結城は驚いた。


「ああ、エミリー。元気だった?」


「心配したのよ、何日も帰ってこないから」


 泣き笑いのエミリーだ。


「ダンジョン攻略は長くなるらしい、と話したけど?」


 ウェンディが、エミリーを引き離した。


「こら、エミリーちゃん。ユウキくんは、疲れているんだから」


 それから、結城に向かって、


「ユウキ君、無事で良かった」


「うん、なんとかね」


 結城は、ウェンディと見つめ合った。なんとなく気恥ずかしくなって、視線をそらせる。


「ところで、リサは?」


「宮廷にいるよ」


(……そうだった。リサにはまだ、宮廷勤めを任せていたんだ。そろそろ解放させてあげないと、恨まれるぞ)


 見ると、ウェンディとエミリーが、セシリーの頑張りを讃えている。


 結城は呟いた。


「勇者ギルドはまた、呼んできそうだ。それまでは、支部数でもコツコツ増やしていこうか」





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