表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
風水鑑定チートで、開運無双!~風水ギルドが王国制覇するまで~  作者: 狭間コヤタ
4章 勇者パーティに入ったので、風水チートを覚醒させてみた。
39/70

39話 生還率0の、未踏破ダンジョン〈零〉。


 勇者ギルド本部と契約してから、しばらく経ったある日。

 

 勇者ギルド本部より、ある人物が、風水ギルド本部を訪れた。受付担当のメンバーから、その人物の名を聞き、結城は嫌な予感がした。


(ローマンだって? 勇者ギルド本部のギルド・マスターじゃないか)


 結城は応対に出た。ローマンは40代の男。鋭い眼光に、筋骨隆々とし、威圧感が凄い。


「ご用件は?」


「風水ギルドの者に、パーティに参加してもらいたい」


「それは契約にはありませんが」


 ローマンは説明した。

 国軍の全権を担う総帥と、勇者ギルドは繋がりがある。

 この総帥から、直々の依頼が来た。〈零〉と称される未踏破ダンジョンの攻略だ。


 しかし、〈零〉ダンジョンは、他のダンジョンとは別格。精鋭を揃えたパーティで臨んでも、生還率はかなり低い。

 しかも、それさえも浅い階層を探索しただけに限った話。

 もっと深い階層まで潜れば、誰も無事では済まないだろう。


 結城は尋ねる。


「深い階層には、なにが待ち受けているのですか?」


「未踏破である以上、わからんな」


「なるほど……こうしましょう。〈零〉ダンジョンに挑むパーティ・メンバー全員の風水鑑定を、僕が自ら行います」


 しかし、ローマンは納得しなかった。ダンジョン内では、なにが起きるかわからない。臨機応変に対処するためにも、風水ギルド・メンバーを一人、パーティに参加させたい、と。

 しかも、参加させるメンバーは、サブ・マスター以上でなければ駄目だとも。


 結城としては、拒否したいところだ。

 だが、拒否すれば、勇者ギルドとの関係性に亀裂が走るだろう。

 

 以前、風水ギルドは、魔法使いギルドとやりあったことがある。風水ギルド・メンバーを拉致監禁されたので、報復として、魔法使いギルドの運気を落とした。

 結果、魔法使いギルドは、顧問ギルドの座を解任された。


(勇者ギルドは、魔法使いギルドよりも手ごわいか? いざとなれば、潰しても良いのだが。しかし、わざわざ波風を立てる必要もないのか)


「……いいでしょう。僕が行きましょう」


 危険な任務のため、部下を行かせるわけにはいかない。


〈零〉ダンジョンへ入るのは、10日後とのことだ。

 まず、〈零〉ダンジョン攻略にあたるパーティ・メンバーとの、顔合わせがあった。

 このとき、結城はリサも連れて行った。顔合わせが終わり、風水ギルド本部に戻ったところで、結城は尋ねる。


「リサ。パーティ・メンバーの風水鑑定を行ったね。どう思う?」


「〈零〉ダンジョンの有る方角に対して、みんな、運気の数値はマイナス5000前後」


 結城と同じものを、リサも見たようだ。

 マイナス5000前後。かつてのターロン並みだ。

 このままだと、〈零〉ダンジョンでの全滅は避けられない。


「いまのうちから、パーティ・メンバー全員の運気を、上げていかないと」


※※※


 パーティ・メンバーの運気上げが、また苦労した。

 みんな、運気マイナス5000前後──いちばん最低値が、パーティを率いる勇者ブランのマイナス6200──だ。

 理想は、プラス数値へ上げることだが、簡単ではない。


 さっそく結城は指示を出していった。

 パーティ・メンバーは、結城を加えて8人。

 彼ら全員を、ダンジョン攻略開始日まで、同じ建物で寝泊まりさせた。

 この建物は、あらゆる要素で、開運に良い建物だ。家具の配置、建物自体の方角、周囲の環境、壁の色、などなど。


 この結城の指示に、パーティ参加の魔法使いクーパーは、抗議した。

 魔法使いの精霊と、風水の龍脈は敵対関係にある。クーパーにとっても、結城は敵なのだろう。

 しかし、いまはクーパーも、勇者ギルド預かり。パーティを率いるブランの指示には、従わざるをえない。

 ブラン自体は、風水を信用しているようで、結城の指示に従順だ。


 ちなみにブランは、勇者ギルド本部のサブ・マスター。ギルド・マスターの右腕だ。

 風水ギルドでいえば、リサの立ち位置になる。


 今回、ギルド・マスターの結城が、自らパーティに参加する。

 当然ながら、ウェンディ、エミリー、レラは反対した。リサが反対しなかったのは、誰よりも結城と風水の力を信じているからだろう。

 もちろん、ウェンディたちも結城を信じている。が、攻略するダンジョンが〈零〉ということで、反対しているようだ。


「〈零〉は、それほどのダンジョンなのかな?」


 結城が聞くと、エミリーは顔を蒼白にして答える。


「生きては帰って来られない、という噂よ」


「心配ない。僕は、生きて帰って来るよ」


 最終的に、護衛役のセシリーも同行させることで、ウェンディたちは受け入れた。

 結城は、パーティ・メンバーの追加許可を、ブランに求めた。

 ブランは、セシリーの腕前を見てからだ、との返答。

 それもそうだ、と結城は思った。


 セシリーは単身、勇者ギルド本部に向かった。

 そこでブラン相手に模擬戦を行ったそうだ。


「勝ったの?」


 帰還したセシリーに、結城はそう尋ねた。

 セシリーは恥じ入るように答える。


「負けました」


 しかし、ブランはセシリーの技量を認めたようだ。参加を許可してくれたので。

 そもそも、相手は勇者ギルドでもトップクラス。さすがのセシリーも勝てるはずはない。


 かくして──〈零〉ダンジョン攻略開始の日を迎えた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ