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14話 敵対するデラフ伯爵に対し、風水工作を開始する。


 名誉市民であるため、デラフ伯爵は王都内に別邸を持っていた。

 この別邸の住所を、ウィウ伯爵から教えてもらう。

 実は、リサは以前、王都に住んでいたことがあった。二か月ほど、郵便ギルドに属していたという。おかげで、リサは王都内のMAPに詳しい。

 そこでリサの案内で、結城、エミリーは、デラフ別邸を目指すことに。

 ウェンディは、本部で結城達の留守を守る。


 30分ほど徒歩移動したのち、デラフ別邸に到着した。

 エミリーが不満そうに言う。


「この都市、広すぎよね。ロツペン町なら30分も歩いたら、町の端から端まで行けるわよ。それに人も多すぎだし」


 新宿などの賑わいを知っている結城には、(そんなにかな?)という感想だ。

 ただ、ロツペン町の静けさを思い出すと──。


「この喧騒に慣れるしかないよ」


 デラフ別邸は、煉瓦造りのどっしりした家屋だった。

 3階建てで、周囲の建物より、一階分高い。

 デラフ別邸の前の通りは、市民や荷車が行きかっていた。そこで通りの端へと移動し、ひとまずデラフ別邸を監視する。


「ユウキ。計画は?」


「デラフを風水鑑定して──」


「そうじゃなくて。デラフをどうやって、外に出すのか、よ」


 確かに、対象の人物を見ないことには、風水鑑定はできない。そのためには、デラフには出て来てもらわないといけないのだ。


「あれ、まてよ。デラフは、僕たちの顔を知っているのかな?」


 現代日本なら、遠くの人物の姿を見ることなど簡単だ。部下を行かせ、スマホで隠し撮りするだけで済む。

 しかし、この世界では、それができない。


「デラフが、僕たちの顔を知らないのなら、話は簡単。僕たちはただ、玄関ドアをノックすればいい」


 デラフが出てきたら、さっそく風水鑑定。

 その後、適当な言い訳で立ち去る。言い訳は、エミリーにでも考えてもらおう。


「リサ。改めて、僕を風水鑑定してくれ。とくに人間関係の運気は、どうだろうか?」


 リサは、結城をじっと見る。〈風水定位盤〉を表示し、九星の位置を確認。同時に、龍脈の流れと、結城自身の五行も確かめる。


「師匠は、すべての運気が高い」


「では、行ってみようか」


 結城は、デラフ別邸まで進み、玄関ドアのノッカーを叩いた。


(普通に考えれば、護衛か家令が出て来るのだろうけど)


 運気の高さに導かれ、現れたのはデラフだった。

 その人物がデラフとわかったのは、事前に人相風体を聞いていたため。52歳、肥満体で、髪は薄くなっている。

 若いころ王のため出兵し、戦で片足を負傷。そのため、いまも足を引きずっている。


(この人で間違いない)


 デラフは胡散臭そうに、結城たちを見る。

 同時に、その顔には落胆もあった。どうやら、誰かを待っていたらしい。その人物を出迎えるため、伯爵自らが出て来たのか。


「なんだ、貴様らは?」


 このとき、結城はすでに、風水鑑定を終えていた。


「えーと、我々は」


 エミリーが助け船を入れる。


「配達ギルドより参りました。お運びするお荷物は、どちらでしょうか?」


「荷物だと? なんの話だ?」


「失礼ですが、お宅様はこちらの住所では」


 それからエミリーは、近所の住所を口にする。するとデラフが、不愉快そうに言う。


「バカめ。それは二軒隣の家だ。つまらんミスで、俺の手を煩わせやがって。これが俺の領土内で起きたことだったら、貴様ら、いまごろ手打ちだぞ」


(こんな気の短い領主では、領民が気の毒だ)


 結城は頭を下げて、謝罪した。斬りつけられる前に、ウェンディたちと退散する。


「デラフの風水鑑定は完了だ。これで、可能になったよ」


 エミリーが怪訝な顔で言う。


「なにが可能になったの?」


 結城はうなずいた。


「デラフの運気をどん底まで落とし、破滅させてやることが、さ」



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