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15年遅刻の異世界転生  作者: 音光
異世界転生編
9/23

八話

 爆発によって飛ばされたドラゴンの無数の鱗が道路沿いの建物に突き刺さっており、師匠と颯太はそれの撤去&回収に追われていた。コンクリートに深々と刺さった鱗を手作業で一つずつ抜いていく。


「こいつのせいで今日はここで泊まることになりそうだ。全くケチな町長だ。鱗が欲しければ撤去作業を手伝えだと?一体何枚あると思ってやがる」


「二時間近く作業を続けてようやく半分ってとこですね。この鱗、超重いし最悪だ・・・」


 時刻は夕方時、夕日が町に差し込み、ビルの長い長い影が町の外まで伸びる。

ドラゴン騒ぎで全く人気の無かった通りも中々の活気を見せ始め、あっという間に夜になった。通りに並ぶは木々はライトアップされ、ビル窓からの明かりが無数に連なる。


「ふぅ・・・やっと終わった」


「さすがに疲れたな。さっさと風呂に入って寝たいとこだが、とりあえずは腹の虫にエサをあげないとな」


 颯太と師匠の腹がグゥーとなる。色々あって昼から何も食べてない二人、もう心身ともにボロボロだ。


「おっしゃ少年、飯食いにいくぞ」


「おぉぉぉっ!」


 回収した鱗を馬車に積んだ後、二人は街中を歩きながら飯屋を探した。


(空飛びトカゲの串刺し・・・スライムの胃液シチュー・・・不死鳥の焼き鳥・・・うわ、全部食いたくねぇ。てか最後の店に関してはわけがわからない)


「そういえば、サリーはどこ行ったんですか?さっき会ったお兄さんもいつのまにか居なくなってたし」


「あの二人は町役場とギルドに行ったぜ。町から正式な討伐要請が出てたから、きっとその報酬を貰いにな」


「えっと・・・ギルドってのは?」


「少年、ギルドも知らないのか?いいか、まずサーリスやサリーみたいな『魔法使い』も含む『冒険者』ってのが市民からの依頼任務を生業としている者達だ。ギルドってのは依頼側の市民と彼等の間の仲介役的な組織だ。報酬の支払いや冒険者としてのグレード付もギルドが代行してくれる」


「便利なことを考える人もいるんですね」


「魔法さえ使えれば少年でも冒険者としてギルドに登録できるはずだが、どうなんだ?」


「魔法・・・ですか?」


(転生してからもう3日目だけど、あのソラって男が言ってた特殊能力ってのも今のところ何も出てこないし。魔法なんて、手から火が出る気なんて全くしない)


 颯太は自らの主人公性の無さに打ちひしがれた。悲しそうに表情を濁らせると、ため息を繰り返しついた。


「す、すまねぇ!魔法が使えない者は珍しくてな、少年の気も知れず」


 気不味そうに謝りながら歩く師匠であったが、俺が歩いている方で黒いフードを深々と被った男とすれ違った時、目に止まらぬ速さで振り返りその者の腕をガシッと掴んだ。


「ちょっと、痛ぇんだけど?離してくんねぇか?」


「そうして欲しいなら、まずその手に持っているものを返してもらおうか?それはこの少年のものだ。」


 師匠が掴んだ腕の方の手には魔法薬の入った瓶が握られていた。緑色の魔法薬は瓶の中でキラキラと揺れている。恐らく、颯太が町の人々に飲ませていたものの残りだ。


「ポケットにしまってた薬!いつのまに!?」


「スリがあるっつう噂は聞いてたが、まさかこんな簡単に会えるとはな。おい盗人、どうせボスみたいな奴が居るんだろ?今の件は見逃してやるからよ、そいつがどこに居るか教えてくれねぇか?」


「あぁ?何言ってたんだオッサン。盗人?誰だそりゃ?この魔法薬は俺のモノだ。この町でノーセキリュティで歩いている馬鹿が悪ぃんだよ」


 男は師匠の腕を振り払い、フードの脱いでピアスだらけの顔を晒した。そして師匠へ中指を立てながら


「てめぇなんかにリーダーの場所なんて教えるわけねぇだろうがぁ!」


 そして唾を吐き捨てると、人混みの中へと走り去った。結局魔法薬は持って行かれ、ただ見つめるだけの二人・・・颯太・・・


「あれ?師匠どこ行った?」


 完全にデジャヴな師匠の失踪。颯太はキョロキョロと周りを見回したが、あの巨体はどこを見ても無かった。


「まさかあのチンピラを追いかけてるわけじゃ・・・」


 一文無しの颯太は飯を食うこともできないため、一様探してみようと盗人が走っていた方へと歩いた。そして数十秒も進まぬうちに街行く人達が止まって何かを目で追っているのに気付いた。皆の視線の先へ目をやると、


「ゆ、ゆるひてくらはい・・・」


 超イカツイ大男がボコボコになった盗人の服の襟を掴み、引きずって歩いている。


(こ、怖・・・あの大男、まさか知り合いとかじゃないよな?)


「お、いたいた少年」


(くそ、やっぱり師匠じゃねぇか)


「待たせて悪いな。全く最近はふざけた野郎が多いな。だが、叱ってやったから、さすがにもう悪さはしないだろう。魔法薬も取り返したぞ」


「あ、どうも」


 颯太は師匠から魔法薬を受け取ると、足元に転がる瀕死のチンピラを見つめた。口をパクパクとさせながら何か言っている。


「俺に色々と社会の怖さを教えてくれてありがとな。これはお礼だ。」


 俺は瓶の蓋を開けて、チンピラの顔に魔法薬をぶっ掛けた。

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