遺物捜索隊
俺はアレイスタ首長国の一部族、ワールヴ族から命を受けてこの禁忌の地ドレスダーグに来ている。
500年前に人間の勇者に滅ぼされた魔王シェザーダルスの遺産を探すためだ。
現在、アレイスタ首長国は危機に瀕している。
魔王の遺産という禁忌に頼らざるを得ないほどに…
「見つけたぞ!」
「禁書にあった通りか。急げ!この間も人間共の進攻は続いている」
俺達は禁書として封印されていた古文書を解析し、魔王と勇者の戦いで更地になったドレスダーグの地で魔王城のあった場所を突き止めた。
魔王城には現代では製作出来ないような宝物が数多く保管されていたという。
中には神から奪った武具もあるとか。
「本当にあるんでしょうか…」
「今は信じるしかあるまい」
俺達は使い慣れぬつるはしを振るい魔王城の跡地を掘り進める。
総勢30名ほど。
猫の手も借りたい現状で精鋭30名をこの地に派遣するのがどれ程のことか。
隊を預かる身に重くのし掛かる。
この地に来て1ヶ月が経った。
未だ目ぼしいものは見つかっていない。
しかし、帰還命令もまた出ていない。
多目に持ってきた食料も底を尽きかけている。
そんな折、遂に待望の報告が挙がってきた。
「隊長、宝物庫らしきものを発見しました!」
「よくやった!何処だ?」
「デコルの班のところです」
宝物庫らしきものが見つかったところには次々に宝物が運び出されていた。
一目で業物と分かる刀剣類や宝玉、中でも黒い全身鎧が目を引く。
しかし、たったこれだけの武具で現状を打破できるのだろうか?
人間の軍は7千にもおよぶ大軍だ。
一方アレイスタ首長国の動員できる数は1千程度。
今耐えていられるのが奇跡だった。
それはともかく部下の頑張りには酬いてやらねば。
「デコルよくやってくれた」
「いえ、貴重な時間を貰ったにも関わらず、たったこれだけの成果しかあげられていません…」
「成果は成果だ。誇っていい。皆、撤収するぞ。準備しろ」
俺達は荒れ果てた荒野を離れ緑豊かな森へと帰還した。
決して多いとは言えない宝物を抱えて。