あの光は-
四方数㎞のライ麦畑って・・・
海外ですね♪
次の日。
普段より少し早く目が覚めたので
朝の内に、昨日落としてしまったカメラを回収しに
ライ麦畑に向かった。
「えっと・・・ 足跡は???」
昨日は走って来たので、土には靴の痕が
しっかりと残っていた為、歩いた道を辿るのは簡単で
左右を見ながらカメラを探していると
光を見ていた丘と家の中間くらいの所に
少し土まみれになったカメラが転がって居た。
「えっ・・・ 壊れてないよね?」
少し不安になったが、落ちたときに勢い良く転がったのか
気にならない程の小傷が多く付いていたが、他には破損も無く
防水タイプなので多少の土汚れは問題無く洗い流せる。
「壊れてなくて良かった・・・」
カメラを回収し、部屋に戻りカメラの動作を確認する為
電源を入れてみた所、バッテリー切れとなっている様で
充電しなければ動作や撮影した映像を確認する事は出来なかった。
「充電器・・・ 持ってこなかった・・・(泣)」
残念な事に、カメラの付属品を持ってきていなかった為
バッテリー切れになったカメラは、これ以上何も出来ず
気が付けば、朝食の時間を過ぎていた。
「おはよー」
ダイニングへ行き、両親へ挨拶をして朝食を食べ
今日は朝から農園の手伝いをした。
ただ、今の時期は作業にも余裕が有り
お昼を過ぎて夕方前には手伝いも終わった。
「あっ、ちょっと図書館に行ってくるね」
余った時間、少し気になった事が有り
この町の図書館へ足を運んだ。
「えっと・・・ 歴史?」
小さな町の図書館なので、蔵書の数は学校の図書室より
少し多い程度だが、探している本は・・・
「この町に関する資料書」
こんな本を読む事なんて一生無いと想って居たけれど
こう言う時に必要になる資料だとは・・・
本棚の下の方に、誰にも見られる事のないまま佇む
辞典の様な厚さの本。
「あった・・・」
大概、こう言う本の内容は大災害に見舞われた年号や
その時の様子を伝えた記事や写真が載っている。
他にも、大きなイベントや祝い事について載っていたり
小さな事だと、初めて鉄骨の橋が架かったとか
道路がアスファルトになったとかも載っていたりする。
「えっと・・・」
そして私が探しているのは、自分の家の事。
あの農園の歴史について何か書いてあればと想い
この本を開いた。
「う~ん・・・」
調べるにも手掛かりも特にないので、何となくページを
めくりながら分厚い辞典の様な本を眺めていると
偶然に一つの記事を見つけた。
それには、農園については書かれていなかったが
小さな添付写真を見ると、どう見ても自分の家と丘が映っていた。
「なんだろ?」
記事を読み進めていくと、内容は私の家や農園の事とは関係なく
あの土地についての記事だった。
「えっ? そうだったの?」
書かれている内容は、まだ農園を始める前の事で
当時、丘の向こうには加工場があったと書かれていた。
そして、いつも窓から見ていた丘の頂上が屠畜場だったと
「それじゃ、あの光は・・・」
あの光・・・ 昨日見た青白い光の中に浮かぶ動物の首。
あれは、きっとあの丘で斬られた動物のもの・・・
「あの丘の上・・・」
確か、小さな頃に丘の上まで行った時
そこは一部屋分くらいの広さで石畳が敷かれていたのを
想い出した。
他には、加工場の面影も今は一切無く一面ライ麦畑となり
その丘の部分だけが、唯一当時の名残を残していた。
「そうだったんだ・・・」
記事を読み終わる頃、気が付けば閉館の時間。
本を元の棚に戻し、家へ帰る事にした。
結局、その日以来
夜に窓の外を眺める事を辞めた。
あの光は、楽しそうに跳ねていた訳ではなく
あの丘へ向かうのを嫌がって暴れていたのかも知れない。
そして、長期休暇も残り僅かになり向こうへ帰る日。
日が暮れる前に夕方のライ麦畑を駆け上がり
丘の頂上にある石畳まで行き、そこへ花束供えてから丘を下った。
「カメラ・・・」
それと、あの夜撮影したカメラは・・・
自分の家に戻った後も、再生はして居ない。
多分、中身は見る必要が無い・・・
そんな気がするから。
再生しても映っているのは
『青白い首と一緒に、胴体が映っている気がしたから・・・』
最後までお読み頂きましてありがとうございます♪
ホラーっぽく書けましたでしょうか???(汗)
あのカメラのファイル・・・
にゅふふ♪
見ない方が良いですよね~??
ではではっ♪
他にも沢山の参加作品がありますので
どうぞ、色々な作者様の物語も宜しくお願い致します♪
お読み頂き有り難うございました♪