〜黒虎銀狼ト黒龍使ヰハ死ヲ望ム〜
〜愛ヲ歌ウ雀 宇宙ノ彼方ヘ 壱〜
金髪の少女は可愛らしい顔で手元のカードを睨む。目を閉じたあと目の前に座る白髭を生やした白髪を老人を睨む。白髭の老人はニコニコ微笑みながら少女を見る。
「ン〜…あぁぁぁぁ!もう!!」
少女はトランプを宙へ投げた。
「なんで!?なんでそんなに『ババ抜き』強いの!?」
「…経験…ですかな…あとは心の読み合い…と。」
意味わかんない、と呟き少女は下を向いた。
老人は髭をつまみ、また微笑んだ。
少女は壊れたリコーダーの様な高い唸り声を出しソファーにもたれた。
ーーガチャーー
廊下へと続くドアが開き、髪の長いくせっ毛の男が部屋へ入ってきた。わざとらしい笑みを浮かべた男はヒラリと手に持った書類を見せた。
ーーー「仕事だ」ーーー
〜目覚メノ蛍ハ 明日ノ星ニ 弐〜
目が覚め、空を見る。灰色の空。今にも雨が降りそうな空を。路地裏を抜け貧民街へと姿を現す。朝早くから殴り合っていた男は喧嘩を止め、その場の全員が跪く。なぜなら。ココは僕の王国だ。能力のせいで僕はこの貧民街の頂点に立つ男となった。跪いた人で出来た道を通り、朝飯を盗みに行こうとする。が、
「どうやら客人だね。」
奥から出てきたのは、黒布のマントを纏った同年代位の白髪の少年だった。その周りにはフード付きコートを着た男達。その数約30人。
「お初にお目にかかる。俺は歪魅、歪魅 龍生、黒鴉のリーダーだ。」
歪魅と名乗る少年はニヤッと笑うと右手を上に上げた。その瞬間、周りを囲む男達はコートの中から銃を取り出した。拳銃なんてもんじゃない。完璧な銃だ。
「俺も貴様と同じ異能者でなぁ。名前は、龍が生きると書く…」
少年がニヤリと笑うと上向いていた右腕は、黒い輪が囲い、そして。龍へと変わった。それだけではなく、その龍は黒い稲妻を纏い、赤黒く大きな目をしてこちらを見ていた。
「安心しろ。俺ら黒鴉の目的はココだ。鼠の寝床。人目につかず、入り組んだ渋谷の道、更にホームレスやらヤンキーやらが沢山いる路地裏の決まった道を通らなければここにはたどり着けぬ。更に広い土地であり、ココ以上にアジトとして使える場所はない。すまないが、ココを今日限り、いや、今から我ら黒鴉のものとする。」
「へぇ。ココをそんな目で見る人がいるとは…驚きだね。だか残念ながら、ココを渡すわけには行かない。本当に欲しいのなら力ずくで奪って見せろ…!」
「良いのだな?俺は手加減など知らぬぞ?」
「それは驚いた。僕も同じだ」
鼠の寝床を束ねる黒髪の少年は叫んだ。
「黒虎と銀狼!」
少年の体を青白い輪と黒い輪が囲い、手足は黒毛の虎に。目や耳などは狼となった。
ーーーー黒虎銀狼の少年と
黒龍使いの少年は
もう激突寸前だったーーーー