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学園SP  作者: 見栄っ張りのジュリエット
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カメレオン

今回はあの『彼ら』のsideです。

閑話扱いの内容なのでサラッと流してくださいませ。


「はぁー、ツカれたぁーっと」

上に大きく伸びをしながら突如として姿を現したのは――鳴海。

彼はおおげさに溜め息をつきながら肩をすぼめて髪を掻き上げる。

普段とは違って落ち着いた空気を纏った鳴海はここから少しばかり離れた木の上で監視(ター)対象(ゲット)が眠りについたことを確認すると、と軽く目を閉じた。

「……」

暖かな木洩れ日がチラチラと彼の横顔を照らし、ヘーゼルナッツ色の縮れた髪に反射する。

ちなみに鳴海が監視(くろはね)対象(みかさ)の接近監視をするのは今日が初日。監視が集中し過ぎたことで正式な調査ができそうにもなかった為だ。


「これだから三下は…困っちゃうよねぇ、」

そしてやっと黒羽弥佳紗からマークが外れたのは、彼女に対する調査命令が下されてから二週後の今日……とは言っても、近付けないなりにデータベースを漁ったり、他の”鼠”が集めた情報を拝借したり…とできることはやった。…だが、全くと言っていいほど収穫はなく、鳴海はどうしたものかと頭を悩ませていた。


「うーん。これじゃー何も報告することがないなー」

むー。

うーん。

…。

唸ること3秒。

耳たぶに付いていたお洒落なイヤリングの留め具を二度程摘まみ、どこに口を寄せるでもなく「総帥に連絡」と呟くと、聞き慣れた声が流れてきた。

鳴海にしては珍しく1秒以上悩み、今の時点での自らの主にコネクトすることにしたのだ。

「もっしーー、」

「何だ?」

鳴海は声から目的の人物に掛かったと判断すると、ニヤリと笑って言った。

「おれおれー」

「…」

「おれおれおれおれおれーー」

「、報告」

「だーれだ?」

「身長が160センチなことを気にして靴で誤魔化してるチビ」

「…、う、もーーー。“総帥”釣れないんだからー」

「切るぞ?」

「はいはいはいはい!!」

先程まで木に凭れ掛かっていた冷静な美少年は何処へやら。

口調や表情を180度変えた陽気なチャラ男がそこにはいた。

面白くもない冗談を乱発し、コネクト先から激辛塩対応を受けてもなおめげずに絡んだ鳴海も相手の完全無視についに降参。顔を引き吊らせて謝ると話を続けた。

「今日も、何もなかった」

「そうだろうな。まだ接近監視一日目だ。黒羽弥佳紗がまだ化けの皮を被ってこっそりしていても可笑しくない。むしろそうしているだろう」

「うん、だろうね」

「他は?」

「黒羽弥佳紗の入試の解答用紙と実技試験のビデオ観たけど、本当に頭が切れそうだし、そう考えるのが妥当だね。…でも、いくら彼女に関するデータ見直しても彼女がオーバーヒューマンなのか、どんな能力を持ってるのか分からないんだよねー。手掛かりすらゼロ。

……こんなメンドくさいの久し振りなんだけど」

「継続して観てろ、ボロを出すかもしれん」

「…とは言っても何もしないつもりはない、でしょ?」

急に言葉が途切れる。

ただ、これは気不味い沈黙ではなくむしろ互いに分かり合っているからこそのもの。

「…」

「…」

両者とも無言で思考を巡らせる。

その思考速度は凄まじいものであろう。

二人とも世界IQランキング上位1ケタに入る化け物同士である。

そして、そんな彼らからポツリと呟かれたのは何の脈絡もない言葉。

それは…、

「個別入寮試験、」

「…おっ!総帥もそう来ましたか」

「当然だ。…問題はあのクセ者揃いの寮長を如何様にして動かすかだが、」

「そういう総帥自身はどうなのさ?」

「あれの中に仲間入りは御免被る」

この二人の間でのみ構築される思考回路。

それは決してバグを起こすことなく噛み合う。まるで時計の歯車のように。

「…………うーんとね、黒羽弥佳紗に恨みをもってるおバカな1年生を焚き付けて騒ぎを大きくして注目を集めるでしょ。あ、そのおバカな1年生とやらは目星がついてるからこっちに任せて。調度いいコが1人いるんだー。…そしたらまず花押先輩あたりが食い付くと思うヨ。で、次に八条院先輩。最後に鶴菱先輩、あー、風牙寮寮長のほうの鶴菱ね…くらいかな」

――そしたら寮長ズ、コンプリートだねっ!

次々に清蓮学園に存在する四寮の寮長の名を挙げていく鳴海。

その脳裏にはいくつもの策略が浮かんでは消え、消える前に反応を予測して楽しんで喜色満面の笑みを浮かべる。

「まっ、総帥自ら動くこともできるけど…それはないよね、」

流石は本職のなかでもトップクラスの人間とだけはあって、自分の手を使わずに目的を達成することに長けている。

もちろん総帥と呼ばれた男も自身の案と似たものだったことからすぐに鳴海に賛成した。

「これ以上の話は本部で。放課後に詰める」

「オッケー。りょーりょー」

鳴海がそう返すなり、ブチッと音をたてて切れたコネクト。

ここにも常に合理性を求める”男”の性格が如実に現れている。

対して鳴海は…はしゃいでいた。

輝く太陽のような笑顔をそこら中にばらまき、ありとあらゆる女子生徒を…否、場合によっては男子生徒をも昇天させながら。

…もはや歩く公害であった。




伏線から分かるように話はこれから大荒れに荒れます。

お楽しみに?

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