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道標  作者: 篝火瀧華絵
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将来の夢

夢と僕は同い年で学生時代からの付き合いだ。

別れたり付き合ったりを繰り返している僕たちだが、お互い家族みたいな存在だと感じている。

実際に夢にも言われた事がある。


色々恋愛をしてきたけれど将来僕の隣にいるのは夢しかいないと強く思っている。

そう自分で強く思うのは夢が大切だからというのはもちろんだけれど、夢がやっぱり僕の元にいつも帰ってくるから強気でいたのだと思う。

だからこそよりを戻そうと言われたら二つ返事で夢の元へ駆け寄り、別れようと言われたら嫌われないように友人を振る舞う。


そして別れて寂しい時には他の女性に好意を持たせ付き合う手はずに持っていく。

付き合っていけば僕もその相手を好きになるが、僕のこのどっちつかずな気持ちを相手が察するのだろう。

必ず最後は振られる。

夢に忘れられないよう、僕の元にまた戻ってくるように装い、会う時は必ずいい格好をする。


こんな僕を根性無しだとか最低だとか浴びせられる言葉は罵倒しかないだろう。

そう思ってくれて構わない。

だって僕は僕が嫌いだ。

一人だと夜も眠れない僕が嫌いだ。

心が弱いから、夢が大切なのに夢と離れたら一人で待てない。

アクションを起こせない。

今も夢との思い出ばかり駆け巡るが、寂しいからまりなに連絡してしまう自分がいる。


強いお酒をボトルごと何本も一気に飲み干し自暴自棄になりながら考える。

きっと今度もすぐに夢は僕の元へ戻ってくる。

夢の将来は僕の隣で、僕の将来は夢の隣なのだから。

夢も結婚したかったと言ってたじゃないか。

僕の夢だ。(これはドリームの方とかけているのだ)

嫌われないように今までと同じように友人で居続けるしかない。

そうしたらきっと...。



休みを無駄に一日使った気がした。

誰とも会う予定が無いしどうでもいい。

ふと携帯を見るともう夜になっていた。

まりなから連絡がきている。

(孝君大丈夫なの?)

泥酔していると送ったもんだから心配しているのだ。

本当はまりなではなく夢に心配されたい。

...最低だな僕は。

そしてこう送った。

(俺なんかこのまま酒に溺れて死んでもいい。どうでもいいよ。誰も心配なんかしないし。)

するとすぐさま着信が鳴った。

まりなだ。

酔っ払いながら電話に出ると涙をすする音と共に、

「何があったの?そんなの言うのやめて。私は孝君が死んだら嫌だよ...」

まりなにとって僕は大切な存在になってしまったようだ。

複雑な気持ちがある中で、それでもこんな僕を必要としてくれているまりなに僕は

「ありがとう...」

その言葉しか言えなかった。


そして僕を理解してくれる人が見つかった気がした。

しかしそれは恋ではないというのは分かっていた。

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