幼女期 1
六才時――――――――
半年前に、兄は隣国イラルドに留学しました。満面の笑みに、殺る気をにじませて。
母と開発しようとした、簡易移動魔方陣・電話機の有用性と効果から、
「どうせなら、向こうにいる間に研究して完成させる!」
と言ってました。イラルド国の北部、ゴアナ国から対角(北西)にあるラハト帝国では、魔道具作成が盛んらしく、できたら行ってみたいとマシンガントーク炸裂してましたっけ。
郵便の配達速度を向上させたいみたいです。 主に情報交換をタイムリーにするために。
この世界では、1ヶ月遅れの情報とか当たり前。移動速度も馬なので、しょうがないのです。
私は、モンスタービート後すぐから武術や魔法の訓練を始めました。父には渋い顔をされましたが、交換条件にマナーやダンスも同じくらいに頑張る事と、時々手料理を作る事でオーケーをもらいました。
いや~、幼少期に体を酷使すると成長によろしくないと屋敷の皆にも止められたけど、期待のこもったキラキラの目と 希望溢れる将来の夢を伝える事で、温かく?見守られる感じになりました。決して、生温い視線ではなかった・・・と思う・・・
・・・ちゃんと頑張ってますよ。
父は、いつも通り仕事してました。2ヶ月置きにマルナ領と王都を往復しているのを知ったのも、この頃でしたね。特務団は魔物関連の仕事なので、あんまり王都にいる必要がないそうで、会議に参加しに行くぐらいだそうです。それよりも、『魔の森』や国内に点在している森林の魔物の駆除や調査が大事とのこと。特に、モンスタービートに対応するのが一番重要なので、マルナ領からあまり離れられないそうです。
ちなみに、マルナ領には父の弟夫妻が領主補佐で居てくれるので、父が王都に行っても安心です。本人達は、面倒くさそうですが。王都で派閥の腹の探り合いをするよりマシだとか。奥さんが平民なので、煩く言われるらしいです。奥さん、サバサバしてる良い人なんだけど、あの回りくどい貴族言葉についストレートに言い返しそうになるから困るそうです。
そうそう、武術と魔法の勉強は領地の家臣?の子供達とも一緒です。連携って大事ですからね。切磋琢磨できるし、良いことですよね・・・大人げなくないようにしましたよ?・・・もちろん・・・。
中には、護衛や従者、侍女の勉強をして「一緒にいる」って言ってくれる平民の子もいました。モンスタービートで両親が亡くなったり、怪我で戦えなくなった親の代わりになれるようにだったりと、それぞれが色々な事情や理由を抱えながら。
うちの領民は強くてあったかいです・・・。