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番外編 19.5 ミアンの主張

読んで下さりありがとうございます(* ̄∇ ̄*)



マイ執務室の休憩スペースでお茶を飲みながら『魔力登録型声紋発動式』の攻撃用○玉の設定を考えていた。


「でも、他人の言葉でも発動したら厄介だよね‥‥‥。なら、本人の魔力を一回流して登録しないといけないか‥‥‥」


「あら、レミー様。今度は、攻撃用魔道具ですの?」


ブツブツと呟きながら、欠点や改良点を挙げていると、スーさんが私の近くに座っていた。

ジョンやミアンとの話し合いは終わったのだろう。


「そう。魔力登録をした人の言葉でしか発動しない物を作りたいの」


「まあ、すごいですわ。盗難にあっても自分の物だと証明できますわ」


「あ、そうか。なら、他の魔道具にも付けたらいいね」


「そうですわね。レミー様やレミー様のご家族が持っている魔道具は、殺してでも手に入れたいと思うような、最高峰の魔道具ばかりですもの」


物騒な言葉に、動きが止まる。

‥‥‥ん?スーさん、言葉が重いんですが‥‥‥。


「‥‥‥」


どう返したらいいのか解らず、言葉に詰まる。


「レミー様。レミー様の作る魔道具は、発想も機能も効果も、全てが常識の枠から突き抜けているのです。それはとても素晴らしい才能ですが、他者から妬まれやすくなります。妬みというのは、実に厄介なもので誰しも持っている感情です。ですから、親しかろうが仲が良かろうが、妬みが爆発するときっと裏切られるでしょう。その事を肝に銘じておいてください」


「‥‥‥はい」


真剣な表情で、一言一言ハッキリと伝えてくるスーさん。瞳が“どうか気を付けてください”と私の身を案じている事を訴えてくる。もしかしたら、ラハト帝国で親しかった人が手のひらを返すようにスーさんを裏切ったのかもしれない。

ずっしりと重みのある言葉に、身が引き締まる思いがした。


(‥‥‥まあ、そんなことされたら、裏切ったことを後悔させてやるわ!)


辛辣な事を考えていると、


「その魔道具もきっと、売上がすごいことになると思いますよ」


と、重い空気も重い話もぶった切って、スーさんが笑顔で明るく言った。

え? 裏切りより売上が気になるの?

いや違うか。重い雰囲気を吹き飛ばしてくれたんだろう。ここは、話に乗りましょう。


「そうかな? 赤玉とかって人気の作成者がいるよね? 食い込めるかな?」


「レミー様もおっしゃっていましたが、どれも似たようなものですので、発動させる手段が従来のものと異なれば、当然人気が出ます。ツサメ子爵のものも“投撃”というところが人気の秘密ですからね」


「ただ、高価な魔石を使わないと作れないかも‥‥‥」


「それは大丈夫ですわ。発動手段が画期的ということで、値段を高めに設定すればいいのですよ」


「それでも売れるかな?」


「もちろんです」


「そしたら、ツサメ子爵のやつが売れなくなるかもね」


ニヤッとしてスーさんに言うと、スーさんもニヤッとした。


「そうですわね」


スーさんも気づいたようだ。今回の攻撃用魔道具の作成は、半分はツサメ子爵への嫌がらせだ。スーさんの眉間にシワを寄せさせる程嫌なことをしたんだもん。ちょっとくらいいいよね。

もう半分は、自己保身のためだ。言い訳に使えるものは沢山あるに越したことはないからね。ツサメ子爵が仕掛けてこない限り、この攻撃用魔道具はただの画期的な魔道具でしかないし。


だいたいの機能や効果をまとめてノートに書き写す。これを元に魔道具を作成していくのだ。後は、作りながら書き足したり、直したりするしかない。

ノートに書き終わると、今度は防犯ブザー。攻撃用魔道具よりも、実はこっちを先に作成したいと思ってる。だって、誘拐の危険があるからと外出を止められるのに飽き飽きしてるから。この防犯ブザーの効力が解れば、父も兄もきっと外出を許可してくれるだろう。


「あとね、こんなのも考えたの。音声レコーダーをちょっと改造して――――――――」


小道具を引っ張って音を再生することや、シチュエーションを話すと、何故かミアンが食いついてきた。


「それ、早く作ってください!」


「あら、ミアンさん」


「‥‥‥」


スーさんと二人で目を丸くしていると、ずいっと身を乗り出してミアンが話し出す。


「ちょっと興味が引かれるとフラフラどこかへ行って、行方不明になるレミー様にもってこいじゃないですか!」


うん。ミアン、失礼だよ。確かにフラフラしてるけれども‥‥‥。ばつが悪くて顔を逸らすと、クスクスとスーさんが笑いだした。


「そっ‥‥‥それならっ、‥‥‥この魔道具は、‥‥‥っ‥‥‥早く作成した方がよろしいですわ」


笑いながら言うスーさんもだけど、コソコソ笑ってるジョンも失礼だ。どうせなら豪快に笑い飛ばしてくれた方が気が楽だよ。


「ん~、この小道具を工夫しないとたぶん出来ないんだよね~‥‥‥。」


三人の笑いを意識の隅に追いやって、真面目に考えてみる。

ピンのような小道具で発動を塞き止め、小道具を無くすと発動するようにしないといけないから、素材が難しい。魔力を通してしまう素材だと発動してしまうかもしれない。

うん、防犯ブザーは沢山実験をしないとダメかも。


「魔石に穴を開けても大丈夫なのかを、まず確認した方が良さそうね‥‥‥。それから‥‥‥、魔法陣って発動を塞き止められたっけ?」




また、番外編でごめんなさい(;・ω・)


コミカライズですが、5月18日からデンシバーズさんで連載開始です。

良かったらこちらも覗いて見てください(* ̄∇ ̄*)

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