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19 思いがけないご褒美

読んで下さりありがとうございます。

長期間更新停止からの復帰で、ただ今リハビリ中です。

設定等おかしな事がありましたらそっと教えて下さい。


私の成長を皆に見てもらった『私』観覧……じゃなくて勉強会後は、しばらくいつも通りの日々を過ごしていた。

そう、魔道具開発とか魔道具解析とか魔道具試験とか。


この間買った赤玉・白玉に触発されて、攻撃用魔道具―――タイマー式○玉―――を開発してみた。

ツサメ子爵の○玉もタイマー式っちゃタイマー式だけど、発動までの時間に差があってちょっと使い難いんじゃないかと思ったんだ。

だから、きっかり10秒後に発動する『タイマー10』○玉を作ってみました。


それと、防犯用魔道具。

○玉の防御バージョンで、「ウォール系」や「半円系」を魔石に刻み、シールドや結界と同じように使ってみたらどうかと思って作ってみた。

「ウォール系」は目印を正面に向ければ、20センチ先に50×50×10(厚み)センチの魔法が発動し、盾として使えるようにした。

「半円系」は、魔石を中心に半径2.5メートルの半円型に魔法が発動するようにしたが、「結界石」のように空気を通さないため窒息する可能性が出てしまい、完成には至らなかった。

まあ、しょうがない。

なので、ジョンの試験を数度経て、魔法の発動方向や大きさなどの調整を繰り返し、使い捨ての『ウォール系防御』○玉が出来上がった。


あと、『防犯ブザー』。

仕組みは、音声レコーダーを少し弄れば出来上がったんだけど、鳴らす音に苦労した。

皆が振り返ってくれて、かつ、助けに来てくれるような音じゃないと意味がないし。

初めは魔物の鳴き声にしようかと思ったけど、ジョンが試験してる時に警備の人が抜剣して走って来たから下手すればバッサリやられちゃう可能性が出たのだ。

そこで、エドワードに「衛兵や警備の人が仲間を呼ぶ時にどうしているの?」と相談してみた。

すると返ってきたのは「指笛」。なんて原始的。

ならばと、ホイッスルを作って寄贈すると、警備隊や衛兵隊に喜ばれ、瞬く間に常装備品となった。

おかげで、ブザー音はホイッスルで決まった。


そして、一番褒められ、一番極秘にしろと言われた、『魔力登録型声紋発動式』。

元は攻撃用の○玉を声で起動させようとして開発したんだけど、使用方法によっては凶悪な被害をもたらす可能性があるとして、特許登録を止められた。

出来上がるまでに時間はかかるし、ものすごい手こずったのに……。

まあ、兄達から「有用性があり過ぎて、バカ共の手に渡ったらとんでもないことになる!」と説得されたので特許登録はしないことにして、|自分用の<・・・・>極秘魔道具には取り付ける許可はもらっといた。


この『魔力登録型声紋発動式』は、魔石に魔力・声紋・発動キーワードを覚えさせ、登録者1名しか使用できないようにする【使用者限定】が出来るのだ。

だから、登録者以外の人が魔道具を発動させようとしても、うんともすんとも言わず、『壊れた魔道具』『ただの魔石』と思われてしまう。

そう、広範囲攻撃が込められた『殺戮魔道具』が『ただの魔石』として気にも留められない事が起こってしまうのだ。

これ、テロがし放題になるヤバい代物なのだ。


完成した時には嬉しくてルンルンだったけど、兄にその事を指摘され真っ青になったのは言うまでもない。

なので、この『魔力登録型声紋発動式』は父と兄と私しか使用しない事を決めた。

まあ、開発は一人でしたので魔法陣を理解できるものはいないだろうから、良かった。



そんな感じで、色々と魔道具を作って遊んでいたら、前置きも何も無しに兄から言われた。



「レミー、明日から野営の練習しておいで?」

「はえ?」


今日もお外に出られないからと、マイ執務室で魔石をつついて魔道具開発に勤しんでいた所へ、兄がやってきた。


「呆けた顔も可愛いけど、お口は閉じようね?」

「は……い……」


シスコンは健在のようだけど、あんなに野営練習を渋っていた兄からの言葉とは思えない。


「えっと、別に無理に野営の練習を許可してもらおうと思っていませんし、今、魔道具を作るのが楽しくなっているので……」

「うん、でもレミーは野営がしてみたいって前から言っていただろう? ちょっと遅くなったけど父上も許可しているから行っておいで?」


兄の笑顔が胡散臭い。

反対してた時には、「怪我をしたらどうするんだい?」とか「お兄様とそんなに離れたいのかい?」とか言って、めっちゃ引き留めてたのに……。


「あの、お兄様はもの凄く反対されていたと思」

「ああ! ごめんね、レミー! あの時はゴアナ国とか他国とかまあ色々と心配事があったから反対していたんだよ。でも、あれから領内も他国も落ち着いているし、今ならいいと思うんだ」


爽やかな笑顔で言ってくるけど、その瞳の裏に何かを感じるのは気のせいだろうか。


「それにね、父上も『マルナ領出身の者が野営を経験していないのは後々困るだろう』っておっしゃてたから」

「え? それって実質命令では?」


まさかと思い尋ねると、返ってきたのはニコリとした笑顔。

ああ、うん。命令なのね。

魔の森から領を守っている領主の娘が、野営なんぞ出来なくてどうするってことですね。


……いっよしっ!!

言質はとったからね!!

前々から行きたいって駄々を捏ねてたのは私ですよ!

命令しなくても行く気満々ですよ!

むしろ、父や兄が止めてたんじゃない!


「分かりました!! 明日から行ってきます!!」



幻冬舎コミックス様のデンシバーズにて、コミカライズが始まる事になりました。

詳しくは活動報告をご覧ください。



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