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16 ツサメ子爵の魔道具


食後、再びルーナ商会へ。

ニールはウェルナと同じく他国貴族の入出国数を調べに行った。

……なぜか目をキラキラさせて。

表計算やグラフの事を兄に訊かなければいいんだけど……。

そうなったら、仕事を投げ出して息抜きと称して、テンションMAXで構いに来そうだけど……。

でも、兄には一度教えてるからそんな事ないよね?


スーさんも、商業ギルドへ行って譲渡証明書なるものをもらいにお出かけした。

なので、ジョンはと話をしながら、エドワードに前、アルバートに後ろを警護され、そのままゾロゾロと二階のマイ執務室兼作業場へ。

ミアンはお茶やお菓子の準備があるので、いつも後から来る。


執務室は、書類作業はもちろん、調査・実験・作製なども行うので、おおまかに執務スペースに作業スペース、資料スペース、休憩スペースの4つに区切ってある。

この部屋の作業スペースは私専用なので、スーさんとジョンは|私が開発するもの<・・・・・・・・>に関してはここで作業ができるが、独自で開発作製作業をする場合は一階の作業場(大)を使用しなければならない。


なぜなら、『新商品をスーさん達の目の前でうっかり作りかねない』と、父にも兄にも言われたから。

ええ、音声レコーダーは母の前で、通話機も簡易郵便魔方陣(簡易移動魔方陣)は兄の前で、うっかりサックっと作りましたよ。

悪用されかねない事を口酸っぱく言われれば、私だってきちんと約束は守りますとも。


「今日は、昨日買った魔道具を解析しようと思うから、みんなは‥‥‥」


いつものようにエドワードとアルバートは扉の外で警備。

ジョンにはお手伝いしてもらう事があるかもしれないので、部屋の中で待機してもらう。

ジョンはいつものように、休憩スペースにある四人掛けのテーブルに座った。

そのテーブルは私も使用しているが、もっぱら臣下達の情報交換の場になっている。

つい、私が作業に夢中になってしてしまい、みんなをほったらかしにしてしまう事が多々あるからその時間、臣下達はまじめな顔で話し合っている。

一応気を遣うのか、たまに私の作業を覗きに来たりしてるんだけどね。


ジョンの向かいに私も座る。

ちょうどミアンがワゴンを転がしながら部屋に入ってきて、お茶を出してくれた。

それを少し横にずらし、昨日買った魔道具を【亜空間倉庫】から出して机の上に並べていく。


「えっと、私はこのスーさんの旦那さんが開発した魔道具を解析するから、ジョンはエドワード達とこの赤玉と水玉を練習場で試して、結果を報告してちょうだい。発動時間、魔法の種類、発動方向、威力、使用魔力量、とか詳しく」

「了解しました」

「でね、もう少しこうだったらいいな……って、思う事を検討してほしいの。特に実用的な方向で」

「……では、この赤玉と水玉を使い切ってもよろしいですか?」

「あ、1つは残しておいて。……これは、魔法陣を調べるから、後は使ってもいいわよ」

「はい」


ニヤッと笑って嬉しそうに赤玉・水玉を掴んで、ジョンは部屋を出て行った。

顔が厳ついのはいつもの事だけど、あの笑い顔は子供にしちゃいけないと思う。

さて、私はサクッと解析していこう。

お茶を飲んで、魔道具達を再度アイテムボックスにしまい、作業スペースに向かう。


作業スペースは、作業台を中心に道具棚・薬品棚・素材棚が囲っていて、作業台が外から見えないようになっている。

これも、父と兄の「うっかり見られたらどうするんだ(い)」という心配からこうなった。


ジョンに作ってもらったピンセットやルーペ、彫刻刀等の道具を棚から取出し、【亜空間倉庫】から魔道具達を出す。

ついでに、黒板―――ジョンと作った―――とノートとペンを用意する。

【亜空間倉庫】は外出できず腐っていた間、気をまぎらわすために領邸の自室で延々と考えて悩んで試行錯誤して、やっと発動できた【時空魔法】の一種。

一方【アイテムボックス】も存在していて、こちらは所有する魔力量によって容量が変わり時間も経過してしまう【スキル】で、属性関係なく誰でも習得できるため大体の人が習得している。

ただ、時間経過しない方が便利だと思って私は【異空間倉庫】を実現させた。

これがめっちゃ便利で、実現できて本当に良かったと思う。


「ここを割ると……ああ、出てきた」


スーさんの旦那さんの魔道具から解体していると、録音用と放送用の本体から、それぞれ1つずつ魔石が出てきた。

掌に魔力を集め、出てきた魔石を包む。


「……ああ、やっぱり……。じゃあこっちは……ふむふむなるほど」


ツサメ子爵の魔道具がなんで質が落ちたのか分かった。

予想してた通りだったよ。

この魔道具、【空間魔法】の属性を持ってないと作れないヤツだ。

集音した声を別の魔道具に飛ばすんだもん。移動か移転の魔法が使えなきゃ魔法陣が完成するわけがない。

属性を持っていても適性が低ければ扱える魔法の種類が減るし、使う魔力も大量になる。

スーさんとか商会の作業部長とかがそうで、補足説明をして移転・移動魔法を理解すると【空間魔法】が使えるようになったのだ。

一応属性は持っているけど、適性がとても低かったんだと思う。


ツサメ子爵の魔道具もそんな感じがする。

しかも、魔法陣が3重に重なっているのだ。

これ、3人の人が同じ魔石に同じ魔法陣を刻もうとしたんだろうけど、ところどころ齟齬がでている。

たぶん、理屈や理解の仕方が違ったんだと思う。

これじゃあまともに魔法陣が発動しないから、使い勝手も落ちるよ。

もう少し理解を深めて、かつ、属性を流し込む時間を長くすれば質は落ちなかったと思う。


スーさんの話じゃ、ツサメ子爵自身は作製出来なかったって言ってたから、お抱えの作業員の中で作れる人を探して、1人じゃダメだけど3人で作ったら発動したんじゃないか?

検証してくれたラハト帝国の魔導師さんは、国のお抱えになるくらいだもん空間魔法が使えてもおかしくないし。

よし、これなら私の『通話機』とは機能も魔法陣も違うから、イチャモンつけられても論破できるな。

気付いた事をメモして、資料にして取って置こうっと。


「次は~……」


赤玉と水玉を手に取って魔力で包んでいく。

ふむふむ。これは、ボール系だな。

魔法を発動させるまでの回路がやけに長い。

ああ! これで魔法発動までに時間差を作ってるんだ。

だから、その時間差がバラバラなんだ。

しかも魔法の方向が指定されてないから魔石を中心に魔法が発動する……と。


ふ~ん。これなら、もっといい感じに出来るんじゃない?

時限爆弾風があるなら、タイマー式風があってもいいんじゃないかな。

それに、「ボール系」よりも「ウォール系」の方が広範囲になるだろうし、一々直前に魔力を込めるなんて面倒な気がする。

事前に魔力は込めておいて、“言葉”で発動とかどうだろう。

各属性の特徴を考えて、少し手を加えた魔法にしてもいいかもしれないし。


思いつくアイデアをどんどん黒板に書いていく。

ジョン達の実験の結果を聞いて、一緒に考えた方がもっといいアイデアになるだろう。


そうしていると、違う作品のアイデアも浮かんでくる。

攻撃用だけじゃなくて防御用とか。

「結界石」は直径5メートルの半円で周囲を囲うように結界が発動するので、野営とかに使われるけど、その範囲をもっと小さくして盾になるようにしたらいいかも。

結界じゃなくても、水魔法とか風魔法とか土魔法を圧縮して密度を濃くすれば攻撃を弾くかもしれないし。

おおおおおお。いいかも!


あ、防犯用にブザーとかもありかな。

音量を調節すれば救難信号とかにもなりそうだし。


ルンルンで黒板にアイデアを書いていると、何故かいないはずの人から声をかけられた。




読んでくださりありがとうございます(* ̄∇ ̄*)

感想やコメントの返事は少し時間ください。


ノートパソコンがいよいよ動かなくなりました(ノ_・、)

メールを受けとるのに1日(笑)

メールに添付されている資料を印刷するのに1日(笑)

その間にアップデートやら新着情報やらが邪魔をして1日(笑)

たかが数枚の印刷に3日かかりました......しかも二回も......

......なにやってんだろうorz


[うそばっか]と疑った兄弟に一度パソコンを見てもらいましたが、[何でこんなに重たいの?!]と驚かれ不憫そうに見られました(笑)

おかげで中古を貰える事になりました。

うちのパソコンより絶対速いと思うので楽しみです(* ̄∇ ̄*)


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― 新着の感想 ―
[気になる点] 誤字報告を希望されて無い様でしたので、ここまではスルーしましたが今回は報告させてください。 この部屋の作業スペースは私専用なので、スーさんとジョンは|私が開発するもの<・・・・・・・…
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