ゴアナ国その後④父と息子の会話
読んでくださり、ありがとうございます(* ̄∇ ̄*)
会話が多いです。
「親父、どうだった?」
王城の廊下をカツカツと歩いていた壮年のおじ様に、待ち合わせていたかのように、柱の陰から特務団の制服を着た青年が、声をかけた。
「どうもこうもないですねぇ。はあ‥‥‥本当に疲れました。彼等は言い合いをすれば何でも解決できるとでも思っているんでしょうか‥‥‥‥。」
立ち止まって、ため息をつきながら、青年に話し出す壮年のおじ様。
「おぅ‥‥‥そっ‥‥‥そんなに?」
「まあ、いいんですよ。彼等には彼等の考えが有ってのことですから。それに、良いこともありましたよ。」
「そうなのか?」
廊下の隅っこの方に移動しながら話す二人。
「はい。モンスタービート議会の方々と面会する役を貰えましたからね。うふふふふ。」
肉食獣のような笑みを浮かべた壮年のおじ様。
「親父、顔。」
「おっと。つい嬉しくて。」
「個別で面会を申込んでもハネられるんじゃないのか?」
「貴族代表として、正式な国からの申込みになるので、受けていただけたのですよ。ああ、早くお話したいですね。」
「‥‥‥顔と言葉が微妙に合ってない。苦い顔して話したいって‥‥‥何があったんだ?」
「‥‥‥話がね、通じないんですよ。他の勢力の貴族と。もう、ほっとこうかと思ったんですがね、モンスタービート議会と繋がりを作る良い機会に出来るかも知れないと思いまして。我慢して頑張ったんですよ?思い出して、ちょっと顔に出てしまいましたね。気を付けます。」
心底疲れたと言わんばかりの表情をして、話す壮年のおじ様。
その仕草がわざとらしく感じたのか、青年はポツリとぼやいてしまった。
「‥‥‥我慢したんじゃなくて、脅したんじゃないか?」
「ん?何か言いましたか?」
小さな声だったはずなのに反応する壮年のおじ様の耳は高性能のようです。
「い‥‥‥いえ、何でもないです!」
「で、お前はどうしたんですか?」
「ああ、ちょっと親父の耳に入れとこうと思って。」
「?どんなことですか?」
「軍務団のことだよ。団長・副団長・襲撃に加担した奴らが居なくなったから、結構大人しくなってただろ?」
「そうですね。実力が伴っていないのに煩かったですから、静かになって良かったです。」
「‥‥‥満面の笑み‥‥‥えらい嬉しそうだな‥‥‥。」
「で?」
「怖っ。また勘違い野郎が、俺らモンスタービート討伐参加領の摂り潰しを狙ってるってよ。ウォルからの情報だ。」
「ああ、ドーン領主の息子さんですね。」
「そうだ。俺らの余裕が気に食わないから、財産ブン取りたいらしいぜ。親父は、ドーンさんから何か聞いてるか?」
「特には‥‥‥。ああ、貸付の依頼がよく来るって言ってましたね。突っぱねてるらしいですけど。」
「それか‥‥‥。」
「まあ、大丈夫です。国を代表して、モンスタービート議会に面会するのですから、皆に報告する義務がありますからね。ふふふ。」
嬉しそうに話す壮年のおじ様。
「みんなにねぇ‥‥‥」
「ええ、みんなにですよ。ふふっ。」
含みのある言葉と目線を交わし会う青年と壮年のおじ様。この二人の周りだけ、不穏な空気が漂う。
何かを確認するように、お互い不遜な笑みしながらじっと見つめ合う。
ふっと気を抜いた青年が、視線を外しながら壮年のおじ様に話しかける。
「‥‥‥で、モンスタービート議会にアレは提案すんのか?」
「ん~。今言っても、『幾つかの領地の意見』であって、『国の意見』になりませんから、さわりだけにしておきます。」
「まあそうか。」
「ええ。『元マルナ領地の意見』として、聞いてもらえるなら有難いんですけどね。」
「じゃあ、あっちの策でいくのか。」
「今のところは。」
「解った。ウォルに何か言っとくことがあるか?」
「彼なら大丈夫でしょうけど、襲撃と揚げ足取りに気をつけて、と。」
「解った。じゃあ‥‥‥」
話は終わったと踵を反して立ち去ろうとした青年。
「ちょっと待ちなさい。お前は、バルフェ様かオルコ様と面会出来ますか?」
壮年のおじ様は、青年を呼び止めて、真剣な顔をして尋ねた。
「ん~、今は無理。」
「そうですかぁ‥‥‥はぁ‥‥‥。」
「申込は出来るけど、まず無理。」
「そうですよねぇ‥‥‥ふぅ‥‥‥。」
落ち込んだ壮年のおじ様。
「でも、通達の時にたまに特務団に来てる。」
「ほっ、本当に!?」
一筋の光!とばかりに、満面の笑みで壮年のおじ様は青年の手を握る。
「イテッ!親父、イテぇ!手!放せ!」
「ああ、すみません。興奮してしまいました。」
「チッ。バルフェさんに見せたいぜ。親父のバルフェ様熱を。」
「‥‥‥止めておきなさい。私が暴走しますよ?」
一瞬真顔に戻って、壮年のおじ様は青年を嗜める。
暴走ぶりを知っている青年は顔を白くしていく。
「そっ、それだけは勘弁!」
「で、話は出来ますか?というか、何の通達ですか?」
「話は無理。委託業務の説明や、魔物管理の予定、参加貴族の管理とかの通達で、関係無い話は、一切出来ない雰囲気だな。1度、思い余ってどうにかして欲しいって発言した奴がいるんだけど、一刀両断『自分達で何とかしろ』って。で、関係無い話は聞いてもらえなくなった。」
「はあ‥‥‥。そうですか‥‥‥。」
肩を落とす壮年のおじ様。
「まあ、俺ら特務団はどっちかって言うとマルナ領地の下部組織的なものだからな。会う確率は親父よりも高いな。」
「‥‥‥もう、色々と面倒臭いんですよねー。息抜きも出来なくなったし。」
「あれか。バルフェさんとの飲み会か。」
「そうなんですよ‥‥‥。美味しいお酒とツマミ。そこに、領地の話題や魔物の討伐話。楽しく ためになる話を、信頼し合えてフィーリングが合う方と出来る事が、どれ程幸せなことか。今、物凄く噛み締めていますよ‥‥‥‥。」
「‥‥‥‥‥‥。取り合えず、親父、お疲れさん。」
「‥‥‥はあ。‥‥‥飲み会だけでもできませんかねぇ‥‥‥。」
「旨い酒とツマミ、用意しとくように家に言っとくわ。じゃあ、親父、頑張れ。」
「ハァ‥‥‥。」
「モンスタービート議会の集まってる部屋に、バルフェさん居るかもよ?」
「!!!。行ってきますっ♪。」
青年の言葉に、スキップしそうな勢いで嬉しそうに壮年のおじ様は去っていった。
特務団員の分かれ道と貴族会議に出ていた登場人物です。
彼等ができる策とは
①自分達がゴアナ国のトップになる
②マルナ領地の一部に戻る
③ゴアナ国から独立する
ですね。
さて、どれを狙っているんでしょうね(笑)
ゴアナ国のその後は、一旦これで終わりです。あとは、ご想像にお任せします‥‥‥。
閑話もこれで終わりにして、第二部に入ろうと思っています。
ゴアナ国は、話の途中に触れられたらたぶん、‥‥‥たぶん‥‥‥たぶん?出てくるかもしれません。(;・ω・)⬅
第二部ですが、話の粗筋をなんとなく考えてはいます。が、ただ今手が止まっています。
せっかくざまぁで書き始めたので、このままざまぁでいきたいと思っていますが、展開を悶々と悩んでいます。
ですので、少し時間が掛かるかもしれませんが、1~2週間に1話アップ出来たらと思っています。
また、「衝撃」とは別に、トリップ物を少しずつ描いているのですが、もしかしたらこちらを先にアップするかもしれません。




