ゴアナ国その後①王都と商人
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―――――「条約違反宣言」の放送日から、数日が経ったある日のこと。
「ちょっと聞いたかい?」
「何ですか?」
「ほら、ジールさんとこだよ。」
「あぁ、喧嘩ですか?」
「そうそう。」
「あれは、どうなんでしょう‥‥‥」
「どうって、一気に値段が上がってるから、しょうがないだろう?あたしも、ちょっと安くしとくれってさんざん言ってやったよ。」
「おばさん、そこじゃなくて。ジーべさんブツブツ言ってたじゃないですか。」
「えっ?何をだい?」
「罰金払わないといけないからどうにも出来ないって。」
「おや?そんなこと言ってたのかい?あたしゃ知らなかったよ。」
「私も昨日、人から聞いたんですよ。」
井戸のそばで、洗濯物を抱えてヒソヒソと井戸端会議をするぽっちゃりおば様と若げな奥様。
「もしかして、アレかねぇ?」
ぽっちゃりおば様は、「アレ」を知った日を頭に思い浮かべながら言った。
「アレ」とは、条約違反宣言で言っていた「罰金」の事。
あの日は、いきなりの大音量放送にびっくりして皆動きが止まり、活気溢れる喧騒が絶えない王都が初めて静寂に包まれた。放送後は、不穏な言葉を聞いて居てもたっても居られなくなった住民が、「罰金ってなんだ!」「仕入れに行かれないんですか?!」と怒声や悲鳴を上げて役所に殺到し、役所前広場が騒然とした。どれだけ尋ねても、要領を得ない話をする役人に、イライラを募らせた住民の中には王城に突撃する強者もいた。「もしかしたら、罰金払わないと殺されるんじゃないか?!」とパニックになりかけた集団に、役人達は「追って必ず告知をするので、それまで待て!」と言って衛兵に後を任せて建物の中に消えていった。
誰もが「罰金」や「処刑」の不安を抱え、「役人が引っ捕らえにくるかもしれない!」と慌てて家に帰り、扉を頑丈に施錠して身を震わせていたのだ。
しかし、見たことのない服装をした役人達が物々しい雰囲気で向かったのは、商業ギルド。業務停止になる気配も、誰かを捕らえる様子もない。そして、役所も「適宜、通達がいっている」と言ったので、結局あの宣言で言っていた罰金は、商業ギルドや慌ただしそうな貴族達に対するものだと誰もが胸を撫で下ろした。
そして、「処刑」も行われている様子がないので、ひとまず命の危機は無さそうだと安心していた。
そこへ、市場に並ぶ食材や、加工物の原料、日用品など、全ての物の値段がいきなり上がった。始めは、商業ギルドの見ヶ〆料が上がったのでは?と予想して、店に抗議しつつも暫くしたら落ち着くだろうと楽観視していた。しかし、日に日に少しずつ値段が上がっていくことに、住民達は、不満とどれだけ値段が上がるのか解らない不安を募らせ、街には鬱蒼とした空気がそこら中に漂っていた。
「おばさんもそう思います?」
「店持ってる連中がみ~んな、一斉に値段をあげたからね。罰金を言われたんじゃないのかい?」
「やっぱり、そう思いますよね?」
「ただねぇ‥‥‥何で商売してる者に罰金払わせるんだろうかねぇ?あたしらの生活が苦しくなるじゃないか。」
「他の街もこうなってるんですかね?」
関税未払等を理由に、罰金を課せられた商人達は、手っ取り早くお金を作るために物の値段を上げるしかなかった。輸入品を扱う商人は、罰金返済しなければ国境通行許可書が申請できず、仕入れのために出国出来なくなってしまうからだ。国内の農家から作物を仕入れていた商人は、罰金こそ課せられなかったが 周りに便乗して値段を上げ一儲けしようとしていた。
もし罰金が払えなかったら、もし国境通行許可書が発行されなかったら、国内の物資で供給を賄わないといけなくなる。そうすると、取扱品仕入不可能に陥ったり、供給先獲得困難になったりして、商売出来なくなる可能性もある。今のうちに何とかお金を確保しようと、どの商人も必死なのだ。
「どうなのかねぇ‥‥‥。そういえば、行商人代わってないねぇ?」
「あ、そういえばそうですね。市場の一角の顔ぶれ変わってないですね。」
まだ、罰金を言い渡されてから数日。
支払日までに返済をして、問答無用の没収から免れようと必死な商人達。
―――――彼等の苦労はこれからだろう。




