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特務団員の分かれ道②―――あるマルナ領出身者

会話が出てこない、またもや説明文のようなことになってしまいました‥‥‥

場面描写や情景描写がどうしても上手くできません‥‥‥orz

 副団長からの突然の通達には、確かに唖然とした。

 なにせ、国が潰れるんだもんな。は?ってなるわ。

 だけど、モンスタービート条約の本質とゴアナ国の今までを聞いたら、俺には自業自得だなとしか思えない。

 むしろ、ざけんなよ!って怒りが湧いてくる。



 魔物が領内に出てくるのは普通だと思ってた。

 小せぇ頃から親父や近所のおっさんに剣や弓の手解きを受けて、領内に出没する魔物の討伐によく参加させてもらってた。


 15で体験したモンスタービート討伐は、砦の外壁から弓矢で射るだけで、結構安全な場所だったにも関わらず、恐ろしくて震えた。あんな魔物の大群を見たのは初めてだった。恐怖で、カタカタと体が勝手に震え、呼吸が浅くなってハッハッと運動もしてないのに息切れした。野太い気合いの声や怒声、悲鳴、叫びと共に聞こえる魔物の断末魔の鳴き声や吠え声。怖くて怖くて、弓を射っても震えから上手く飛ばず、役に立たなかった。


 喧騒がおさまり、後処理に連れて行かれたときは、むごい光景に何度も吐いた。

 人も魔物も地面に倒れてるものは、ぐちゃぐちゃだった。

 今でも、思い出したら気分が悪くなりそうなくらいだ。


 亡くなった者たちの葬儀も、魔物の処理も終わらせたら、今度は自分家を建てなきゃならなかった。

 自分が住んでた村も、隣の村も何にも無くなってた。

 畑も家も家財道具も、どこにあったのかすら解らなくなるほど、戦闘で凹凸や汚れがついた地面がただ目の前に広がっていた。

 ありゃあ、愕然とした。一から村を、町を作るんだからな。


 じいさんや、親父の兄弟、ダチ、近所のおっさん。

 身の回りの誰かしらが魔物やモンスタービートの討伐で犠牲になった。

 畑や建物が魔物に壊され、修復し、また壊される。

 それが当たり前の環境だった。


 家も、畑も、家財道具も、全てが無くなり、そして、知り合いや家族が亡くなる。

 それがどんなに悲しいか。どんなに辛ぇか。どんなに虚しいか。


 モンスタービートを経験しなけりゃ、わかんねぇだろうな。



 その悲しさ、辛さ、虚しさに対しての詫びか、全財産が無くなったことに対しての支援か、よくやってくれたっつう褒美か、よく解んねぇが、給料やマルナ領主からの支給金とは別に国からの手当も出るはずだったって聞きゃあ、怒りも湧いてくる。


 バルフェさんは(こう言ったら王都じゃまず怒られるが)、支給金が少ないことを詫びて、領主自ら率先して村や町の整備工事に参加された。息子のオルコもだ。

 お偉いさんたちは、領城(どっちかっつうと大邸宅みたいな感じだな)を直したら、揃いも揃って自分達の家よりも、領民達の家を建てることを優先させてた。


 モンスタービート討伐には来てくれたのかもしれないが、よく思い出してみりゃあ、領地の復興には国からの手伝いも支援金もほぼ無かった。手伝ってくれたのは、特務団ぐらいだったし。



 こうなりゃ、嫁も恋人もいない俺は、さっさとマルナ領地に帰るか。親も喜ぶだろうし‥‥‥いや、二十歳にもなって、恋人が居ないのを嘆かれるかも‥‥‥


 とにかく、副団長の執務室に行って言うか。





「副団長、自分はマルナ領地に帰ります。」







特務団は、マルナ領地では人気職で、平民や元冒険者が多く就職しています。

ですので、通達直後にマルナ領地へ行く選択をした人が沢山いました。

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