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特務団員の分かれ道①

お待たせしましたm(__)m

ボチボチ投稿していきます。

不適切な表現や辻褄が合わない事があるかもしれません。すみませんm(__)m

 モンスタービート会議中、魔物討伐は各地で通常通り行われていた。

 そして、王都の特務団の詰め所でも、書類業務や報告会議など、通常通り業務が行われていた。

 しかし、ある日を境に、休みのはずの隊長クラスが慌ただしく揃って出勤し始める。

 王都の詰め所に勤務している者だけでなく、各森林近くの監視小屋に勤務している隊長クラスも呼び戻されていた。理由を知らない団員は首を傾げながらも、通達が無いため 通常業務に励んでいた。


 そんな中、モンスタービート会議終了直後、王都の詰め所所属の出勤者が集められる。


 王都勤務の副団長と隊長クラスが、何故か横一列になって集まってきた団員たちを迎える。

 その表情は硬い。

 団員たちも揃っている上司の面々に、何事かと困惑と緊張が走る。

 団員たちが集まったところで厳しい顔をして副団長が言った。


「重大な発表がある。モンスタービート会議にて、ゴアナ国の条約違反が判明。魔物討伐に関わってきた我ら特務団にお咎めは一切無く むしろ報奨が出るそうだが、ゴアナ国自体が各国から不信の念を持たれた。そして、ゴアナ国内の魔物討伐に関しては、委託管理という形で、暫定的独立領地となったマルナ領地が全権を持つこととなった。」


 副団長の言葉に「どういう事だ」「なんだそれは」と疑問の声が返された。

 野太い、凄みのある声があちこちから上がるが、その声を無視して副団長は続けた。


「皆に選択してもらいたい。」


 副団長の声が聞こえた前列から声が静まり、それに気付いた者がまた静まり、段々と後列へ沈黙が広がった。


「いいか。次の3つから選択となる。1つ、マルナ領地で特務部隊として今までと同じ仕事をする。2つ、ゴアナ国で特務団員のままでいる。3つ、他の仕事につく。」


 団員の誰かが「代わり映えのない選択肢じゃねぇか」と言った途端、シリアスな雰囲気から一気にダレて呆れた空気が漂い始めた。

 そこへ、先程よりも低く重い声が響いた。


「ただし、ゴアナ国は条約違反に関する処罰や巨額の負債返済がある。国が潰れる程のな。」


 その場の全員の動きが止まった。

 そして、錆び付いた鉄のドアのように、ギギギギギと音がしそうな程のぎこちなさで副団長の顔を、隊長クラスの顔を見ようと首を動かす団員たち。

 副団長の言葉が信じられず、口が開きっぱなしの者や目が点になっている者、目が落ちそうなほど見開いている者など、唖然とした表情が多い。


 副団長や隊長たちの真剣な顔を見て、本当の事だと理解すると、唖然とした表情のまま口々に「マジで?!」「えっ?!この国潰れんの?!」と呟き始めた。

 そして、実感が湧いてくると、顔が青ざめ始める。

 自分達の所属も生活基盤もゴアナ国であるため、混乱に巻き込まれる事に気付いたからだ。

 ブツブツと呟いていた声が途切れた合間に、副団長の声が発せられる。


「そうだ。この国はこれから荒れる。ゴアナ国は、恐らく 治安が悪化し、物価が高騰するだろう。そのきっかけはモンスタービート会議だ。たとえ国が悪くても、モンスタービートに関わりのある我らに、国中から非難がくるかもしれん。この先、我らは混乱の渦中に必ず巻き込まれる。」


 いきなり国が潰れると言われ唖然としているところへ、混乱の中心に自分達は居ることを知らされ、何がどうなってるのか、これからどうすればよいのか、思考が混乱している団員たち。

 口を閉ざし顔色を悪くして頭で色々と考えている様子だが、幸先の不安や絶望に重たい空気となった。


「だから、各々自分の意志で選択してもらいたい。マルナ領地へ行くのか。ゴアナ国に残るのか。他国へ行くのか。」


 誰もが口を開かず沈黙が続く中、太股を指でトントン叩く音、頭を抱える仕草で出る服の擦れる音などの、物音だけが聞こえる。

 この国の行く末を想像したり、選択肢分の自分の様々な未来を考えたりして、思考の波に飲まれている団員たちは、疑問や質問をする様子が見られない。

 ゆっくりと考えて、納得した選択をしてもらうためにも、さっさと話を終わらせようと副団長が口を開いた時、手が上がった。


「ぁ‥‥‥ぁのう‥‥‥。」


 震えた小さな声。上げた手も小刻みに震えている。集団の中程に居るためか、本人の身長が低いためか解らないが、副団長からは顔が見えない。緊張からか、少し高い音だが、若い者の声のようだ。その声を振り絞って吃りながら質問をした。


「ぁ、きゅ、急な事なので、ちょ‥‥‥少し混乱していますが、ぁのう‥‥‥情報がすっ、少なすぎて決められません。み、3つの選択肢のメリットとデメリットとか、な、何か条件とか、‥‥‥あ、ありますでしょうか。」


 副団長から、モンスタービート討伐に赴く前のような張りつめた緊張が漂い始める。その様子に、団員たちにも緊張が伝播していく。


「そうだな。情報が少なすぎだな。それでもお前たちは顔色を悪くしているだろう?なら、多い情報ならどうなる?パニックだ。」


 鋭い眼光に、団員たちは足がその場に縫い付けられたような感覚になり、息をごくりと飲み込む。

 余りの迫力に身動きも出来なくなる。


「数日後には王城中で話題になるだろうが、今言った事は、モンスタービート会議内容に触れる事だ。これ以上の情報は出せん。むしろ、破格の情報だ。何せ、今のところ機密事項と言っても差し支えない内容だからな。」


 苦い顔をしながら言った後、副団長は 目線を下げた。


「だからこそ、モンスタービート議会から許可が出るまで、ゴアナ国の事は家族にも話すな。それがまず、前提だな。条件としては、今のところ、マルナ領地もしくは他国に行けるのは特務団所属の者のみということだ。メリットデメリットは、各自で考えろ。団員同士なら相談出来るだろう。」


 ゴアナ国が潰れるかもしれないのに、家族には言えない。

 しかも、助かる手段は今のところ特務団員である自分のみにしか無い。

 そんな無情な現状に、家族持ちは沸々と怒りが沸いてくるのか、顔が赤くなる。拳を握り、耐えている者もいるが、怒りを露骨にぶつける者も出始める。


「嫁や子供はどうすんだよ!」

「そうだよ!国が潰れるって言ってんのに、置いてけって言うのかよ!」


 副団長をはじめ、各隊長クラスは団員の叫びを真剣な表情で受け止める。

 彼等とて、団員たちと同じ気持ちなのだ。

 団長とオルコに、命令・通達をされた時に同じことをぶつけたのだ。しかし、マルナ領地の議題の事について説明され、「家族たちの安全ひいてはゴアナ国をモンスタービートから一番守っているのは何処か(・・・)」と他国の代表の方々に聞かれたときに、納得せざるを得なかった。

 特務団に居ても、生活基盤がゴアナ国であるため、基本的な常識はやはりゴアナ(・・・)調なのだ。


 非難の嵐だったが、副団長達が何も言わない様子に、


「そういえば、副団長も嫁さんと子供が‥‥‥」


 と、副団長達が自分達と同じ立場であることに団員たちも気付き始めた。

 すると、自分達の気持ちが解るはずなのに、何故こんな無情な事が通達されたのかと、今度は質問が飛び交った。


 そんな団員たちの様子を眼前にしながら、副団長の頭の中は、他国の方々から通達の説明を受けた後の事が思い出されていた。


 元々は、マルナ領地出身の特務団員だけに選択させる案だったが、そこは団長とオルコが魔物討伐及びモンスタービート討伐の範囲や規模を理由に、人数を拡大させたのだ。

 その上で、団員の家族だけでなく、元団員たちやその家族もなんとかゴアナ国から脱出できるように案も考えてくれている。

 それをイラルド国の代表者に温かい笑みと共に聞かされた時には、副団長・隊長クラス達は団長とオルコに文句を言った事を土下座をして謝り、そして、手を尽くしてくれている事に感謝した。

 その時の場景を思い浮かべながら、団長とオルコの心情は本当のところどうなのか、ふと副団長は気になった。団員の家族とはいえ、安全な場所で生活し、魔物討伐にもモンスタービート討伐にも参加していない者だ。マルナ領地では、老若男女問わず全領民があの壮絶なモンスタービートを体験する事を考えると、我らゴアナ国民は今まで本当に恵まれていたのだと申し訳なくなった。


 それが少し顔に出てしまったのか、質問を投げかけていた団員たちが 副団長の申し訳なさそうな表情に戸惑って静まる。

 それを良いタイミングに、口止めもしているし話せるところは話して納得させるか、と副団長は団員たち伝え始めた。


 モンスタービート条約の本質部分。

 それに対するゴアナ国の今までの対応。

 家族たちの安全ひいてはゴアナ国をモンスタービートから一番守っているのは何処か(・・・)

 職業選択の人員を拡大して下さっている事。

 団員の家族だけでなく、元団員たちやその家族にも案を考えて下さっている事。


 ひとつひとつ簡潔に話が進むにつれ、団員たちの頭が1つ‥‥‥また1つ‥‥‥とうつむいていく。文句を言える立場ではないのだと理解し始めたのだろう。

 その様子が目に入って、副団長もスッキリした顔で締めくくった。


「っと、まあ、そういうことだ。団長やオルコ殿に感謝だな。今話した事も当然口外無用だ。返事の期限はまあ、あって無いようなもんだが、一応3ヶ月だ。即刻返事が出来る者は少ないかもしれんが、決めたら俺に言いに来てくれ。通常業務は停止だ。代わりの業務については、各隊長クラスに聞け。以上だ。」


 ざわめきと戸惑いの中、副団長はさっさと自分の執務室へと戻っていった。

 各隊長クラスも、言い付けられている業務を整理すべく、自分の執務室へと戻っていく。

 団員たちは余りの衝撃の事実を知らされ、その場から動けない者が多数。「どうすりゃいいんだ」「さっきの話ってマジで?!」と、自分の未来を決める選択に困惑し、ゴアナ国の現状に呆然としている。




 王都に勤務している彼等は、貴族や王都周辺の出身者が多い。そのため、王城からモンスタービート会議の内容が噂として流れ始めたら、情報確認のため貴族やあらゆる方面から問い合わせが来ることに気付いているだろうか。


 そして、王都が一番混乱する場所であることも。



たっぷりと休ませて頂きました。(´∀`)

少しずつ書いては見直しをして、結局ストックはあと2話しかありません‥‥‥orz

『衝撃』の小説の続きよりも新しい小説の妄想が膨らんで、なかなか手が動きませんでした。きっと、悪役令嬢ざまあの予定から、領地問題ざまあ(?)に話が反れた弊害かと‥‥‥(;・ω・)

あまりに『衝撃』の妄想の邪魔をするので、新しい小説として書き貯めておこうかと思っています。

そのうち放出するかも知れません( ̄ー ̄)


更新は、1週間に一回出来ればと思っています。

これからも、『衝撃は 防御しつつ返すのが当然です』をどうぞよろしくお願いいたしますm(__)m

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