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現在 1

遅くなりました。


 ―――――現在






(―――時間がありすぎて、つらつらと今までの生活を振り替えってしまった)




前世の記憶がある私にとっては、異世界であるテヨーワ。

今のこの状況になってしまったのは何故なのか。

生まれてからこれまでの思い出や出来事を頭に浮かべてみた。

余りにも時間が有りすぎて、要は暇すぎて、長々と要らないことまで思い出したけど、なかなかに楽しい十年間だと思う。


あの「イラッと衝撃」は、確かに凄かった。うん。

その衝撃を相手に打ち返せてるか解んないけど、私的には気分スッキリ。



(―――――結局その後はどうなってんのかな)






 現在、王都の大事件から12日が経っています。

 家に帰ってきてからは1週間ですね。


 ずっと、愉快な仲間たちとあーだこーだと兄が道中していたことに対して憶測を広げてたけど、本当のところは一体どうなのかと、質問したくてウズウズする気持ちを押さえてました。


 だって、道中も家に帰ってきてからも、特務団や領地の大人たちと凄い勢いで会議会議会議会議‥‥‥‥‥

 しかも、会議が終わったと思ったら何処かへ出かけたり、帰ってきたと思ったらまた違う会議を始めたりしてましたよ。

 いつ休憩してるのか心配になるくらい、みっちり会議ばっかりしてみんな体調大丈夫かな?


 その会議に参加する特務団の人とか、マルナ領各地の代表者とか、伝令の人とか、あまりの人の出入りの多さに、食堂や庭に行くのも憚られ、むしろ部屋から出ないように言われちゃいました。執事に。


 移動するときは必ず護衛を付けるように言われ、ついでにどうせならと、学習予定をしっかりと決められ、イラルド国やラハト帝国・ホザ王国の歴史や、商業ギルドの仕組み、物流・交易の特徴、計算や商売理念などを他国出身者の愉快な仲間に教えてもらいながら、過ごしましたよ。


 何故に商売関連?

 兄のしていることの方がめっちゃ気になるんですけど。

 ああ、あれか。好奇心で屋敷内をウロウロされるよりは部屋に閉じ込めてた方が安心ってやつですか。

 まあ、すること無いからいいけど。



 部屋で愉快な仲間たちと朝ご飯食べてると、「朝食後に話をしよう」と兄から伝言だと従者に言われました。

 やっと来たか!とウキウキしてオーケーの返事を従者にしに行ってもらい、スキップしそうな勢いで只今執務室に向かっております。

 一見しずしずと執務室へ歩いているが、顔も心も大フィーバー!





 うちの父なら殺ってくれる!

 生かさず殺さず、きっちりと首に縄は着けてくるはず!

 何ならゴアナ国が潰れようがどうなろうが、対価だけは回収するはず!

 刃向かって来たら、有無を言わさず返り討ちにするはず!


 王都にいる父が、ゴアナ国への断罪を曖昧にするはずかない。

 かといって、「今までの対価が結局未払い」なんて事にならないように、うまいこと金額や期限を調整してガッチリ対価だけはぶん獲ってくると思われる。


 じゃないと、マルナ領地はただ損をするだけだ。

 いいようにコキ使われて、怒ったら相手が自滅して、対価ももらえず、結局やることはコキ使われてた時と同じ。なんてことになりかねない。


 特に今、ゴアナ国自体が自滅寸前もしくは存続の危機だし。

 うちへの負債だけじゃなく、他国への賠償金もあるし。

 他国からの信用度が無くなっちゃったし。


 さて、あれからどういうことが話し合われ、決定されたんだろう。

 父の冷笑が大盤振る舞いだろうな。

 たぶん父は、「ゴアナ国」がどうなろうと気にならないんじゃないかな。





 父に想いを馳せ、満面の笑みで執務室のドアをノック。

 中から返事をもらい、愉快な仲間たちと部屋に入りました。



「レミー、何だか久しぶりだね。癒される‥‥‥」


 部屋へ一歩足を踏み入れた瞬間、横から腕が伸びてきて捕獲されました。

 その後は、いつものように ぎゅうぎゅうです。


(―――――くっ苦しい‥‥‥肩が変形する‥‥やめてくれ‥‥‥)


 いつもは上半身が押し潰されそうな感じだけど、今日は体が縦半分に折れそうな感じだよ。

 力加減もちっと考えてくれませんかね、兄よ。

 あら、隈がめっちゃすげぇ。

 顔も疲れてくたびれてる感じだね。

 そんなでもイケメンな兄よ。はぜろ。そして、離れろ。



 ぎゅうぎゅうされながら、兄の顔を見て呆れる私。それを執務机の横に立って待機していた兄の側近に見られ、クスクスと笑われた。


「相変わらず仲がよろしいですね。」


「もちろんだ。」


 側近の声に我に返ったのか、兄復活。

 部屋の雰囲気が柔らかく和やかになり、ソファーへと移動。


 歩きながらふと部屋を見渡すと、執務机にはまだ山のように書類が乗っかっている。

 補佐役の机にも乗っかっている。

 これが、多いのか少ないのか解らないが、やることはまだまだあるようだ。


 話す時間もらってもいいのかな?


 執務机に目を向けてる私に、兄はこれでも少なくなった方だと教えてくれた。

 ついでに、父が帰ってきてからの方がもっと凄くなるらしいとも。


 うん、お疲れさま。頑張って。


 遠くを見るように目線をずらしながら、兄を労い、体調や時間は大丈夫なのか聞くと、大きなものは終わったので、大丈夫とのこと。

 今は、伝令の返答や報告を待っていて、丁度空き時間なのだそうだ。

 後は、兄が癒しを求めたらしい。こそっと側近の人が教えてくれた。



 応接セットのソファーと人数が合わないけど、みんなに話を聞かせてくれるようで、愉快な仲間たちに退室の命令は出なかった。

 兄は一人で、私はその向かいにスーさんとニールに挟まれて座った。兄の側近や他の愉快な仲間はそれぞれの主の後ろへ立ったままで、話を始めるらしい。



「どこから話をしたらいいかな‥‥‥?レミーは何が知りたい?」



 色々ありすぎて、どれをどこから話せばいいのか迷っている兄は、とりあえず私が知りたい事から話してくれるようだ。


 私から聞きたい事は、


  ・ゴアナ国の現状(会議後の動きや 国・貴族・国民の動きなど)

  ・負債の取り立てについて(具体的な方法など)

  ・マルナ領地の現状(対策やこれからの指針など)


 くらいかな。あと、足すなら、


  ・モンスタービート対策について

  ・領政の変更点


 ってとこかな。





 さあ、教えてくだされ、兄よ。







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