少女期 4
うおっ。ブックマーク件数と総合評価が一気に上がってますね。びっくりしました。ありがとうございます!
完結まで読んでいただけるようにがんばります。
私の態度が頭に来たのか、真っ赤な顔をした軍服を着ているガッチリ体型の男が怒鳴り付けてきた。
「国王に対してなんという失礼な態度。不敬罪にあたるぞ!!」
なにこのばか。先に許可得たんだけと。白けた目をして、微笑を崩さずに ばか男に顔を向けた。
「恐れ入りますが、マルナ領では社交に出席するのは成人になってからになりますので、貴方様がどなたか存じませんが、会議机に着席されている各国の皆様はもちろんのこと、国王様・宰相様にも失礼があっても許可する旨を、1番初めにいただきましたが?」
(あんた誰?許可もらってるけど?話聞いてんの?)
ばか男は、目を血走らせて黙った。フンッと嘲るような鼻息が、各国から聞こえてくる。
で、一体何なんですかね?婚約なんて。
「では、1つ目の疑問にお答えいただけますか?2回目の使者の方が、軍務団に所属している人だとおっしゃいましたが。」
国王も宰相も答えないまま、ばか男の方に向いている。あれ?この人が軍務団団長なの?マジか。こんなのが?!と呆れていると、白い立派な髭を蓄えたおじいちゃんが厳しい口調で喋りだした。
「ゴアナ国王並びに宰相殿、果てはこの国の貴族の方々よ。これが最後の議題・意見への返答なのじゃな。我々他国の者は、一切内容を知らされておらぬし、今日この場で返答するからと待っておったが、このようなこととは・・・・・・。呆れて物が言えぬわ。」
どうしようもないゴミを見るかのような眼差しで、ゴアナ国の人達を見回すおじいちゃん。
ん?議題・意見への返答?
あれ?支払いは?
貴族の討伐部隊参加は?
まさか、婚約がゴアナ国からマルナ領への返答なのか?!なにそれ!!支払いに対する返事は?!討伐部隊参加の返事は?!!治外法権は?!!!婚約の契約内容も言わずに、『王族に入れてやるから黙れ』っていう上から目線の、反省も後悔も謝罪もない傲慢な態度にしか見えませんけど!!
婚約の契約内容を発表して、父に了承を得て、各国からの理解も得てるなら、おじいちゃんがこんな態度を取るはずがないな。誰だよこんなやり方提案したヤツ。
目に怒りの焔を灯して黙っていると、おじいちゃんがほっこりする笑顔で私の方に向いた。
「はじめましてじゃの。ワシはホザ王国の代表の者じゃ。十才にしては大変聡明な頭脳の持ち主じゃな。この会議の議長をしておる。要は、進行役じゃな。」
優しそうなおじいちゃんだなと思いながら、頭を下げてドレスの端を少し持ち上げ、令嬢としての礼を取った。
「はじめまして。マルナ領主 バルフェ辺境伯爵の娘 レミーナと申します。」
おじいちゃんも各国の皆様も「うむ」と頷いて礼を返して下さった。おい、そういえば、うちの国王は挨拶に挨拶を返さなかったな?もう、マジでこの国、マナー教育からやり直した方がいいんじゃないの?
「さて、モンスタービート会議の続きを再開する。バルフェ家令嬢に椅子を。暫く、話を聞いててくれぬかの?」
私の椅子をもらいましたが、愉快な仲間たちには?あ、身分的に出せない?しょうがないのか。ん?みんないいの?ごめんね。ってか、私の扱いって何なのさ。まあ、座れと言われたから座ってるけど。
「では、ゴアナ国王よ、議題の返答がただの婚約とはどういうことですかの?マルナ領地代表者から5つの案が出されたはずじゃ。その案に対する具体的な返答が1つもないとは、ゴアナ国は1週間前の会議をキチンと聞かれておったのか?」
おじいちゃんが、国王に説教を始めました。うん、目力が凄い。このバカが!!と孫を叱るような感じにしか見えません。どうしよう、笑いそう。
「各国の代表者が、マルナ領地の意見を是としたのじゃ。契約を違反し続けているゴアナ国は、マルナ領地代表者が出した5つの案全てを受け入れ、現状と照らし合わせて具体的にどのように対応するか返答をせねばならぬ。そこへ、何の説明も受けてない他国の少女を無理矢理呼びつけ、自国の王子と婚約しろと命令するとは、どういうつもりかと聞いておるのじゃ。ワシには、幼い少女を使って具体的な返答を避け、うやむやにしようとしているとしか思えんのじゃがな。このような誠意のない態度は各国に悪い印象しか持たれぬわ。」
「そうですな。イラルド国もそのように思います。先週の会議後から、マルナ領地は、『国』として扱われる事が決定しております。議会で決定した事項を理解出来ていない上に、1週間も会議を中断して話し合った結果がこのような事とは、頭がどうかしてるとしか思えませんな。」
「ラハト帝国も、ゴアナ国の皆様から、議題の5つの案への具体的返答と、言い出した婚約の理由・契約内容、そして、バルフェ家令嬢のご質問への回答をお聞きしたい。」
イラルド国のおじさんは怒って、ラハト帝国のおじさんは冷ややかに、ゴアナ国側を見て言った。各国の皆様、どうやらマルナ領地から出した議題の言い分が正しいと判断してる様子だね。確かに、マルナ領地の現状って、おかしい状態だもんね。『よくぞここまで耐えた。マルナ領地』とか『よくぞここまで勘違いした。ゴアナ国』とか思うもん。
さあて、各国から追求されてますから、早く答えてくれませんかね。ゴアナ国のみ・な・さ・ま。
おじいちゃん‥‥白い立派なお髭を蓄えている、ホザ王国の代表者。議長。
こんな事をする国なんてないと思いますが、お話の中なので ぜひスルーしてください。政治的展開が幼稚ですが、これで精一杯です。スミマセンorz
気にせず、お付き合いいただけると嬉しいです。




