少女期 2
レミーナ視点です。少女期1の続きです。
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そして拙い文章を読んでくださった方々も、ありがとうございます。
会議開始から3週間目、外出禁止令が発動されました。
次回への対策を粗方練り終わった後の 最終確認の前に ついに父と兄が動いたようです。
いつもは、
1週間目は、各国からの報告とまとめ。次回への対策の発案。
2週間目は、次回への対策のまとめ。最終確認
となり、3週間目には ほぼ帰れるそうです。
今回は我が国の不手際が目立ち、次回への対策のまとめが遅々として進まず、3週間目に突入する事になったそうです。そして兄から、3週間目の始めに議題を出すことを聞かされました。なので邸宅から外出をしないように言われました。
ってか、父は初日から1度も帰ってないのですが。不手際って何?とキョトンとしていたら、ニヤリとして兄が教えてくれました。
『父上は各国の代表の方々のお世話をしてるんだ。』
『うちの国の人、ほぼ特務団に任せっきりだから。』
『王族からの質問は王族が答えなきゃいけないだろう?』
つまり、各国とも「マルナ領の議題」が気になり代表の方々が父と話がしたいと。
ついでに、会議中に質問に答えられる人が限定されていると。しかも、自国内の事を国王が答えられないと。余計に、各国とも 父と話がしたいと。うん、悪循環だな。父、引っ張りだこだ。こりゃ帰れないわ。きっと中にはモンスタービート関連に答えられない我が国の人達に対して思うことがあるんじゃないでしょうかねえ。
兄も王城から帰れなくなって、はや1週間。すでに会議は4週間目に突入。
どうなってんだろ?買い物は別段困らないし いいんだけど、進展具合が気になります。
―――――なぜか王城に呼ばれました
うん、こんな小娘を王城に呼ぶってどういうこと?しかも、キラキラな迎えの馬車を寄越されて、すぐに出発するって言ってるけど、普通は約束を取り付けてからだよね?こっちの準備も考慮しないと失礼だよね?は?ちょっと引きずらないでくれる?
前もってのお触れも出さず いきなり王城からの使者がやって来て、すぐに王城に来いってわめき散らしてます。しかも、名前を名乗らずに!!執事も王城からの使者としか言ってないし。横暴な男性の後ろには文官らしき人が控えめに立っているけど、止めないのかな。チラッと視線を投げかけると下を向かれました。ああ、止められないんですね。
うちの護衛が横暴な男性を取り押さえようとして、余計に喚かれています。うるさいなー。
「恐れ入りますが、どなた様でいらっしゃいますでしょうか?王城からの使者と偽りをおっしゃっているとは思いませんが、確証もありませんのでまずは証明していただけますか?」
引っ張られた袖を侍女に直してもらいながら、横暴男に顔を向けて言ってみた。護衛に怒鳴っていた男性は今度は私に向かって怒鳴り出した。
「お前は、王城からの使者をこのように扱う※$*◇%¥$・・・・・」
うん、マジでうるさいわ。執事も愉快な仲間たちも顔が般若になってますけど。礼儀知らずはどっちだ。十才の子供を王城に連れていくだけだから、手順はどうでもいいと思ってるのか?十才だから、舐めてんのか?よし、木っ端にして差し上げよう。こんな大人が世の中にはびこる方が危ないもんね。
「本来、マナーとして招待する側の手順は、早馬によるお触れ、もしくは手紙によるお誘いをし、返事を待ってから 使者もしくは手紙による招待状の配布、という流れのはずです。私は、お触れもお手紙も頂いておりません。そして、あなた様から招待状すら渡されていません。ですから、王城からの使者を騙った誘拐ということになりますが。」
目に力を入れ口元を引き上げて、一応微笑しているように見せているけど、怖かったようだ。横暴男は顔をひきつらせて固まった。文官らしき人もびくりと体が震えてた。執事や愉快な仲間たちも私と同じような表情をして、来客2名を睨んでます。さあ、どっちが悪いのかな?
「ああ、ちょうどこの前手に入れた音声レコーダーを試しに使っていたので、今の出来事が録音されてますよ。貴方様が名乗りをしていないことも、お連れの方が止めていらっしゃらなかったことも。私を引きずって連れ去ろうとしていたことも。」
「そうですね。王城からの使者がマナーを知らないなんてあり得ないことです。きっと誘拐犯なのでしょう。十才であるレミー様ですら知っていることを、このような大人が知らないはずがありません。衛兵を呼びましょう。」
目からビームが出そうなほど横暴男を睨んでいたニールが、低い声でノッテきた。視線を向けると、お嬢様もっと殺っちゃってくださいと黒い笑みを返された。おぅ、ニールがめっちゃ怒ってる。
「衛兵ではまどろっこしいから、王城の警備の方を呼んでくれる?」
「さすがはレミー様です。本当に王城の使者なのか一発でわかりますし、この方々を寄越された方も解りますね。」
「そうなの。誘拐を企てるなんて恐ろしい方々を野放しにしておく方が危ないもの。」
「もちろんです。しっかりと調べていただきましょう。」
私とニールが言葉を発するほど来客2名の男達は顔が青ざめていく。自業自得でしょ。たぶん2人とも貴族だと思うけど、私も貴族だ。しかも、辺境伯爵令嬢だし。身分はどっちが上かな。
貴族の権力をかざすならそれなりの義務を背負わないとね。
執事と家の護衛に音声レコーダーを持たせて、王城へと送り出した。来客2名は 一応失礼にならないようにソファーに座らせてはいるが、護衛に両腕を抑えさせ捕らえられている風にしときました。そんなつもりはなかったとか、申し訳なかったとか、大声で私に言ってますが、知らんぷり。だって、使者の確認が取れていないもの。ただの不審者だよ不審者。この2人。
「こんなのが王都の貴族なのかな?終わってんじゃない?」
「そうですね。」
「腕は大丈夫でした?」
侍女に入れてもらったお茶をニールとスーさんと一緒に飲みながら、雑談して執事と護衛が帰ってくるのを待ってました。人目があるので、愉快な仲間の+4とジョンは身分的に一緒にお茶出来ない。ジョンと護衛は不審者に、侍女と従者は私たちのテーブルについてもらっていました。
〈愉快な仲間たち〉
兄のお土産3人
・スーさん‥‥ラハト帝国出身の未亡人。魔術師。
・ニールさん‥‥イラルド国アルナ領出身。下位貴族の三男。書類系担当。
・ジョンさん‥‥ホザ王国出身。平民。護衛兼物作り。
+4(今のところ名前つけてません)
・護衛2人
・侍女1人
・従者1人




