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兄の闘い 2

お兄ちゃん頑張ってます

「挙げさせていただく議題は、先程述べた事です。皆様に解りやすくご説明するために こちらの魔道具を使用いたします。」


 レミーが開発した写真機と写映機を皆に見せて、近くにいた衛兵に危険物ではない確認をしてもらった。


「この魔道具は、最近開発したもので、『写真機』と『写映機』というものです。今、見ている風景を切り取って保存するものです。このように。」


 衛兵から返してもらった1つで、自分を写し、皆に見せた。今回の写映機は遠くからでも見れるように、写真を10倍大きく映し出せるものをレミーに頼んで特別に作ってもらった。

 他国の方々もうちの国の人達も、なんと素晴らしい、こんなものがあるのか、と絶賛のざわめきが起こったが、咳払いをし話を進める。


「まずは、200年前に結ばれたモンスタービート及びアマルナ国に関する契約をご存知ない方がいらっしゃるようですので、そちらを写映機に映します。」


 うちの国王や宰相、貴族どもがざわざわし始める。


「各国の代表者様、お間違いないもので合っておりますか?」


 イラルド国の代表者が、相違ないと発言してくれ、各国とも同意した。さて、うちの国の者共はちゃんと勉強していてるのかね?


「では、我が国の『モンスタービートへの現在までの国の対応の経緯』や『領への対応の経緯』、『領に対する国及び他領地の印象・認識』について追って写映機に映します。」


 国の対応の経緯として、これまでに国にやられた理不尽なことを年表にしてやった。余りにも多すぎて3枚になったので、1枚ずつ要点を押さえながら話した。


  ・領地を減らされたこと

  ・支援金を減らされていること

  ・討伐部隊の人数が減らされていること

  ・討伐特別報酬が廃止になっていること

  ・国から派遣される討伐部隊数が減っていること

  ・国の上層部が討伐に関わっていないこと

  ・国の上層部が会議に関わろうとしないこと

  ・特務団に任せっきりであること


 などを淡々としゃべると、イラルド国代表者から怒声が飛んだ。


「ゴアナ国はマルナ領地をどれ程馬鹿にしているのか!!」


 ええ、僕もそう思います。


「いや、これは・・・」


 と国王と宰相がしどろもどろに何かを言っているが、要点がハッキリとせず、言いたいことがさっぱり解らない。うちの貴族どもは、何がいけないのか解ってない様子だし。


「お言葉ですが、マルナ領地は我が国の領地。国の指針に従うべきではないですか?」


 1人の公爵がさも当たり前のように、壁際から発言した。

 これに、各国の代表者たちが視線を向け、侮蔑の表情をした。公爵は なぜ自分の発言にそのような表情をされるのか解らないようで、顔をひきつらせて目線を下を向けた。そこへ、ラハト帝国の代表者が、試すように冷たい微笑で質問を返した。


「まず、ここに居るゴアナ国の皆様にお聞きしたい。何人の方が、モンスタービート及びアマルナ国に関する契約の内容をご存知なのかな?ほら、今、発言された方、お答えください。」


「・・・モンスタービートに対する対策についての内容だと記憶しています。」


「では、具体的にアマルナ国に対してどのような契約になっていましたか?」


「・・・イラルド国とゴアナ国に取り込みそれぞれの領土とすると・・・」


「「「「「「はあ~」」」」」」


 各国から一斉に溜め息がもらされた。公爵の返答を聞いたラハト帝国の代表者は、目を怒らせ無表情で矛先を変えた。


「今の公爵の方かな?と違う意見の方はいらっしゃらないのかな?」


 会議卓に着席している国王・宰相・軍務団団長と壁際に座っている貴族たちを見回しながら強い口調で聞いた。誰もが目線を反らし青ざめている。


「この国の貴族の方々はそういう教育をされているんですね。では、国王様並びに宰相殿にお尋ねしたい。お答えいただけますね。」


 じっと2人を見つめるラハト帝国の代表者。その視線の強さとプレッシャーに国王と宰相の顔色が悪くなってくる。


「恐れ入りますが、お答えいただけなければ彼等と同じ教育を受けてきたと各国は受け止め、大変な事態になりますがよろしいですか?」


「・・・国を守ってくれている位置にある領地で、モンスタービート関連を受け持つ領土だと ・・・」


 絞り出したような小さな声で国王が答えた。


「他には?」


 切り捨てるように冷たく更に問われる。


「「・・・・・・」」


 結局国王も宰相も黙った。各国の代表者たちの表情は侮蔑・嫌悪・憤慨など、様々な恐ろしいものになっていた。イラルド国の代表者たちからは、父と僕に憐憫の眼差しをくださった。ええ、よく我慢したと思いますよ。先祖の方々は。


 身動き1つ出来ないような重い空気が会議場に広がり、沈黙に包まれた。これでは先へ進めない。


「各国の皆様、あと2項目について発表しておりませんが、いかがいたしましょう。」


 実はまだまだあるんだぜ、と黒い笑みを浮かべて尋ねると、余計に空気が重苦しくなった。




(―――――僕たちの気持ちを思い知れ!!)

 

しれっと新商品の宣伝までする兄(笑)

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