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幼女期 6

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「・・・ぼっ・・・冒険者?!」

「レミー、本気かい?!」

「新商品を生み出す頭脳がーーーー!!」

「お嬢様に付いていきます!!」

「あらあら、楽しそうね。」


 上から、

 目を丸くし唖然呆然とする父。

  (―――――威厳もなにもなくなってますよ、父。)

 私の肩を揺さぶりながら、必死な形相の兄。

  (―――――気持ち悪いです。そろそろやめてください、兄よ。)

 頭を抱えて叫ぶジョン。

  (―――――面白い物を作りたいのね。職人気質なのね。)

 片膝ついて私の右手を握りしめ、笑顔のニール。

  (―――――うん、どこまでも付いてくるなこの人。)

 ニコニコと微笑まし気にこちらを見ているスー。

  (―――――第2のお母様と呼ばせてもらおうかしら。いや、周囲に誤解を招くな。)



「マジか・・・」

「・・・昔から発想がおかしいとは思ったけど・・・」

「怪我なさったら大変・・・」

「・・・・・・」


 +4はそれぞれ呆れた様子でした。この+4は幼なじみで、突飛な私の発想に慣れているのもあり、遠慮がない。一応、領主令嬢であることは理解しているので人前では礼儀を弁えてくれるが、それ以外の時はいつも通りだ。変に畏まられても背中がムズムズする。だって、父がすごいのであって、私が偉い訳ではない。一応主人になったので言葉遣いに変化はあるだろうけど、私は言葉遣いとか立ち居振舞いとかをあんまり気にしないので、これからも態度はあんまり変わらないと思われる。





 みんなの混乱が落ち着くのを待っていると、私の爆弾発言?に部屋の隅で固まっていた執事が いち速く我に返り、真剣な表情で質問してきた。


「お嬢様は、なぜ冒険者になりたいのですか?領主の娘としての本気のお言葉ですか?」

「本気よ。領地経営は父と兄、その補佐の方々がいるから大丈夫でしょ?このまま大人になったら、私は女だから何処かへ嫁ぐしかないもの。その嫁ぎ先で今まで必死に訓練してきたことをモンスタービートや領民に対して活かしてもらえるかしら?」

「・・・・・・・」

「まず、無理でしょう?騎士でもない貴族の女性は 武術や魔法が出来るからといってもお遊び程度に見られるし、戦いに参加するのは うちの領以外は 私の身分上まずあり得ない。うちの領みたいに、身分も性別も年も関係なく降りかかるあの災難を経験しなければ、権力や義務に対する考え方にもきっと大きな違いがあるわ。」

「・・・・・・」

「だから、領主の娘として、貴族として、私に出来る最良は、柵のない冒険者になること。」

(―――――ちょっと願望もまじってますが・・・自由気ままに旅とかしてみたいし。)


 執事の顔を見上げ 目をしっかりと会わせて一言一言噛み締めるように伝えた。周りの阿鼻叫喚軍団も静まり返りじっとこちらを見て私たちの会話を聴いていた。執事は同じ姿勢のまま、周囲はそのままその位置で、それぞれ頭の中で私の言葉の意味を考えていた。



 うん、沈黙再びだな。まあ、普通ならあり得ないよね。爵位も高く、嫁ぎ先もたぶん優良物件だろうから、その生活を捨ててまで 生死の境が限りなく身近な危険度MAXの冒険者になりたいなんて、貴族の淑女は考えないわ。でも、貴族のしがらみは本当に面倒くさい!!お茶会ですでにアウト!!年を重ねてずる賢くなった女どもをイチイチ相手するのもイヤ!!親の仕事を自分の手柄のように天狗になってる奴も、自分では何もできないくせに人に頼って甘い汁を啜ろうとする奴も、うちの領の戦力や経済力を頼りにすり寄ってくる奴も イヤ!!そんなんだったら、自分と仲間で力を会わせて楽しく自由気ままに生活したい!!父や兄が失態を犯さない限り、私の辺境伯爵令嬢・妹の身分はそのままだから何かあれば権力に頼れるし、冒険者として自由に動けるって最高じゃない!!しかも、自分で直接モンスタービートにも領民生活にも関われて、貴族の端くれとして義務も果たせる!!



 みんなを待つ間、私は腕を組み これからの自分を想像して考えに没頭。眉を寄せ 首を上下に動かし 、ブツブツと独り言を呟きながら自分の考えに納得していると、ため息がそこかしこから聞こえた。3つはしょうがないな~という、長~い深~いため息。3つはそんな考えがあったんですね~という、恍惚にも似た ほうぅっとしたため息。4つはそうだよね(ですよね)~という、呆れてハアッと出たため息。

 あ、聞こえていたようです。おすまし顔で何にも言ってませんという雰囲気を醸し出して微笑しといた。



 臣下となった皆の未来も関わってくる話なので、まずは領主一家で話し合いをすることにして、その場はとりあえず解散になりました。その後、一週間程毎日父と兄に捕まり数時間話し合いを強制され、私の将来設計を洗いざらい吐かされました。おかげで、私の考え方や生き方に2人とも理解を示してくれ、応援してくれると言ってもらえました。




(―――――だってよく考えたらわかるでしょう?お父様?お兄様?)





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