幼女期 3
兄の手紙です。
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レミーナ へ
緑の息吹きが大地を覆い、森の成長が鮮やかに目に映る風景があちこちで見られるようになりましたが、そちらではいかがお過ごしですか?
慌ただしくそちらを出発いたしましたが、早いもので 学園で過ごすのも一年と半年が経ちました。学園生活も日常生活も充実しており、忙しい日々を送っています。
新入生を迎える時期に、準備のため授業が休みになる期間がありましたので、短期間ではありますが、母上の実家にお邪魔させてもらうことにしました。
その時、大変珍しいものを見せて頂きました。モンスタービート後、必ず国から支給される物があるそうです。それは、軍だけでなく、領民・討伐参加冒険者にも支給される物で、効力には幅があるみたいですが、モンスタービートが起こった年の1年間有効の国内全所で使用可能なメダルです。画期的で、効果的で、大変驚きました。素晴らしいです。
我が国でもぜひ発行していただきたいと強く思いました。
そして、―――――――――――――――――
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うちの国とイラルド国の国政策の違いを綴った手紙ですね。
後半は省略です。兄のブラックな感情が隠しきれていない文章満載でしたので。
こんな丁寧な文面、初めて貰いました。怒りが収まらなかったんでしょうね。普通に書くと、見るに耐えない言葉が出るかもしれないと、自重したのでしょう。そして、国への批判めいた手紙もこれっきりでした。たぶん、心配事を私に抱えさせたくなかったのかな?
でも、父からチョコチョコ聞いてるんですよねー。
あと、領地の仕事を担当してる文官?の人達から。
あんまりブラックな事は知らない方が良いこともあるので、自力の範囲で調べることにしています。
ちなみに、手紙を意訳すると、
こっちの領地じゃ、後処理対策ばっちりでめっちゃスムーズに終わって、農地の修復も早いし、森の観光も再開してるよ。そっちはどう?
(そっちは畑なんてまだまだ少ないし、森を手入れする余裕も時間も無いって聞いてるけど?なにこの違い?)
モンスタービートの後に入学したけど、学生は学生生活を頑張れって感じで、勉強に趣味にと時間がたっぷりとれて学園で楽しく過ごしてます。
(俺、少し後処理手伝ってから入学したよね?うちの領地じゃ手が足りないから、子供も大人も関係なく手伝わないと間に合わないよね?子供を働かせ過ぎじゃないの?うちの国。)
時間があったから、祖父母の家で情報収集してみた。
そしたら、まじビックリするものがあった。国から支給されるメダル。国からの手厚い援助!国中でモンスタービートに対する意識が高い!しかも領地の人や討伐参加者に感謝・支援がハンパない!
(うちの国の、モンスタービートに対する対策や支援・援助が少なすぎる!意識も最低!ざけんなよ!!)
という感じでしょうか。兄の裏の感情が丸わかりな手紙で、二度、いえ三度見しました。
(―――――マジで、うちの国おかしいんじゃない?バカなんじゃない?)
という、兄の想いがつまった手紙でした。
兄 オルコ・バルフェ・・・父と母の色を受け継いだ灰銀色の髪で紺色の瞳